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第5話 愛用の呪物

 出勤途中でモッチャ何とかっていう謎の次元・警察・宇宙人の妨害を受けたけど、魔王晦冥(かいめい)のお陰で無事にやり過ごせて良かったぁ。

 勇者アレクシスの微妙な犠牲もあったけどね。

 帰宅したら最後に叫んでいた女性との関係を問いただしてみよっ。

 仕事中は襲われることはなく、無事に定時を迎えたので帰宅の準備を進める。

 そうだ、晦冥に送ってもらった時、風圧でスカーフが飛びそうだったわ。

 飛ばされない様にハンドバッグの持ち手にシッカリ巻き付けておこうっと。


「ただいま」


 自宅のドアを開けて入る。

 部屋ではアレクシスと晦冥がくつろいでいた。

 アレクシス無事だったのね。

 謎の宇宙人に叩き飛ばされていたから少し心配だったけど安心したわ。

 あれっ、そう言えば何で二人は無言で固まっているのだろう?

 何故か二人の表情がみるみる恐怖に染まっていく。

 思わず背後に宇宙人が立っていないか確認する。

 当然だけどいないわよねーーって事は私が原因?!


「ディスペルッ!」


 アレクシスの叫び声と同時に、私の周囲を眩い光が包む。


「ギャーッ! 死ぬっ!!」


 攻撃魔法を受けたと思い叫び声を上げる。


「もう一度だ! アレクシスッ!」


 晦冥がもう一度魔法を使うようにアレクシスを促す。

 ちょっと、どうしたの二人共?!


「待ちなさいよ! 私が何をしたっていうの?!」

「気付いていないのか莉子さん?! カバンの持ち手に呪いの文様が浮かんでいますよ!!」

「アレクシスの言う通りだ! 持ち手の片側が呪物に浸食されているではないか!!」


 アレクシスと晦冥が私のバッグの持ち手を指差す。

 えっと、コレって、帰宅時にバッグの持ち手に巻き付けたスカーフよね。

 ペイズリー柄お気に入りなんだけどな……二人には呪いの文様に見えるの?

 サラッとスカーフを外して二人に見せる。


「呪いの文様を素手で引きはがしたーっ!!」

「呪物を手で引きはがすだとぉぉぉぉっ!!」

「ただのスカーフでしょ! お気に入りのスカーフを呪物扱いしないでよ!」


 大騒ぎする二人を一喝して黙らせる。


「スカーフってハンカチみたいなやつか?」

「何を言っている? スカーフとはこういうものだろう?」


 二人が手振りで自身が知っているスカーフを表現しようとしている。

 自分達が知っているスカーフと形状が違うから納得いかないみたいね。


「これはね、ツイリースカーフって名前で、細長いスカーフなの。ほらっ、こうやって使うのよ」


 二人が分かる様に、蝶結びにしてみたり、付け根に縛ってクルクルと持ち手に巻き付けてみせる。


「凄いや、変形したっ!」

「うぬっ、朝カバンに付けていたのと同一のものであったか……」


 どうやら二人も呪物ではないって納得してくれたみたいね。

 二人が興味深そうに見ているので、少しだけ貸してあげる事にした。


「二人も使ってみる?」

「いいのか? やったぁぁぁっ!」

「どうしてもと言うなら借りてやらんこともない」


 アレクシスは喜んでいるけど、晦冥は素直じゃないなぁ。

 私は二人に似合う様に、金髪のアレクシスには白系統、黒髪の晦冥には赤系統を選んであげた。


 ーー後日

 出勤前にニュースを見ていると、画面にデカデカと特集の文字が表示される。


『外国人男性にツイリーが大流行!』


 目元は隠されているけど、TVに映っているのアレクシスと晦冥だよね……

 鉢巻の様に額に白いツイリーを巻いているアレクシス。

 右サイドの髪に赤いツイリーを蝶結びしている晦冥。

 あのさぁ、二人の髪色に似合う様に選んだけど……

 本当に頭部につけないでよっ!!

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