ユルシアとの混浴
「坊主はこれからどうする? 昨日の一件で、お前は召喚士の卵になった訳だが」
「僕はメフィストさんの弟子として、彼女に従って生きていきます」
「すっかりあの女の虜にされちまったみてーだな、まぁ、お前が選んだ道だもんな」
ゾロさんはよっとと言い、立ち上がった。露天商としてやっていけなくなった彼が、この先どうするのか気にかかるけど。
「坊主、元気でな。またいつかどこかで会おうぜ」
「ゾロさん、いつまでもお元気で。また」
彼が向かったのは街の方向ではなかった。
ゾロさんと今度会う時、僕の成長した姿を見せてあげたい。
いずれにせよ、僕は女賢者であるメフィストさんの弟子になった。
彼女の弟子になる以外に僕の生きる道はない。
◇
しばらくして僕は何となしに、賢者の塔へと向かった。
ここは通常、関係者以外の立ち入りを禁じられているけど。
「少年、外の空気はどうだった」
「気分転換するには丁度良かったです」
「そうか、ならば私も少し外へ行って来よう」
賢者の塔の入り口ですれ違ったメフィストさんと同じ黒いローブ姿の賢者の一人は僕を警戒していない。昨日の一件で僕はこの塔の住人に顔が利くようになっていた。
賢者と言えど、僕達と同じ人間であり。
「くぁ~、腰が痛すぎる」
メフィストさんの部屋に向かうまでにすれ違った賢者は、所帯染みた台詞を口にしていた。
「お帰りルウ」
「姉様、すみません。結局僕にはここ以外に行く場所がなくて」
「わかってる、それよりもルウ、お風呂に入って」
お風呂?
地球とは違い、異世界グロウエッグに電気やガスは整備されてない。
その代り台頭するように魔法文明が栄えている。
メフィストさんの付き人をしているユルシアは魔法を繰ってお風呂の用意までこなすのだ。
「……姉様、お風呂ぐらい僕一人でも」
「私も入る時間だから、仕方ないの」
風呂場へと続く脱衣所にて、姉のユルシアに反論せども、一蹴される。
ユルシアは昔から感情の起伏が少なくて。
ことさら言えば、弟の目の前で裸になるのにも、無感動だった。
ユルシアは着痩せする体格だったようで、視界に彼女の豊満な乳房が飛び込んで来た。それに白磁のような白い肌をしていて、姉ながら綺麗な人だよな。
「何を見てるの?」
「べ、別に」
将来、この姉の旦那となる奴を想像すると、ちょっとだけ嫉妬する。
ユルシアと一緒にかけ湯した後は、交互に湯船に浸かるのだろうと思っていた。
「姉様、どうして僕達は窮屈な格好になってまで」
一緒に湯船に浸かっているのだろうか。
僕はユルシアの身体を背にし、股の間に割って入るように居た。
「質問ばかりしないで、何がおかしいの?」
何がおかしいって、色々だ。
ユルシアこれまで僕が苛めに遭ってても、何一つ無関係面していた。
その姉が、今では甲斐甲斐しく僕の世話をしている。
優しくしてくれるのなら、最初からそうして欲しかった。
鬱屈とした僕の思いが、彼女に伝わったのか知れないけど。
ユルシアは背後から僕のお腹に手を回し、抱きしめる。
「……ルウ」
「な、何ですか?」
背中にユルシアの胸の感触がする。
僕だって一応男だ、性的な感情がもたげ、緊張が高まる。
「メフィスト様の弟子になった理由って、あるの? あの人を、女として見ているのなら、辛いだけだよ。もしもルウが恋人欲しさにメフィスト様を師に選んだのなら止した方がいい」
僕はメフィストさんを、恋愛の対象として見てはいない。
いや、正確には淡い恋心はなかった訳じゃないけど。
「僕を拾ってくれたのは、メフィストさんで、あの人以外にMP0の僕を弟子に取るような賢者はいないのでは? なら僕が選んだ道は、僕が生きるためには必然だった」
言うと、ユルシアは口を噤む。
一緒に湯船に溶け込んでいるからか、僕達はお互いに親近感を持った。
「……メフィスト様はね、禁忌的な存在なの」
「そこから先はメフィストさんの口から聞くことにします」
「生意気」
無感動なユルシアが口にするほど、僕は生意気に映ったようだ。
報復の一環なのか、ユルシアは僕の大事な場所を手で弄り始めた。
「止してくださいよ」
「メフィスト様の顔を汚したくなかったら、耐えてみせて」
と言われ、僕はユルシアから延々と身体を苛められた。
「ちょ、そこはお尻の! 駄目ですって!」