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詩集

炎夏が灯すたまゆらの怪し火

作者: ぷらうまん


街角で夏の日の残り火がつぶやきだす

火の雨のような旱天の下で

油蝉の合唱にそっと掠れ声を重ね合わせて


灼け果てた道を影法師がやって来る

無言で此岸への旅路を歩み

地を覆いつくす蛍を迎え火にしながら


誰かの煤けたモノクロ写真が写し出す

命を弔う送り火を待つ子を

切り取られたフレームの外側は見えない


行李の古びた新聞紙が金切り声を上げる

埋み火のような疼きに耐え

借りを清算できる日を待ち焦がれつつ


なくした祖父母の忘れ形見が語りだす

惑いの海に浮かぶ漁り火へ

うろうろして誘われることのないようにと


言い訳を焚き付けに胸の火が吹き上がる

世間体も建前も爛れ落ちて

焼尽の炎夏の末に干からびた抜け殻を遺して


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― 新着の感想 ―
[良い点] 何故か夏になるとメランコリーというか切ない気分になってしまうタチなので、この詩は結構刺さりました。 夏はどこもかしこも生命力に満ちあふれているような季節なのに、どうしてそんなふうに思って…
[良い点] 企画より拝読いたしました。 夏の光は色々あると思いますが、火はやっぱりしっくりきますね。冬もまたしっくりきますが、夏の方が哀愁というかn切なげなイメージが強いですね。
[良い点] いろいろな景色が描き出されて、フォトグラフをめくっているかのようです。 匂い立つような陽光の写真から、セピア色の写真まで、脳裏に浮かんできました。 その写真の一枚一枚が、強い熱の記憶を蘇…
感想一覧
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