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ぼっちとおじ様



「こんにちは!」


「よおッ!ミネ!2週間ぶり?」


もじゃもじゃのヒゲが伸び放題、ついでに眉毛も伸び放題……放っておくとあんなに伸びるものなのか???


ニシシとした笑みが特徴的なこのおじさん(おじいさんと呼ぶと怒る。)は行商人のタムさん。


見た目よりは若いらしい……人族の基準で判断したら怒られた。


ドワーフという種族らしい。




ドワーフは本来ものづくりが得意な種族らしく、自分の家を見るや否や不安定さが気になったらしくて物凄く強引に修理してくれた事もある。


面倒見の良い人なのだが…………忘れもしない、初対面で鉄拳を食らわして来たちょっと手が先に出ちゃう人でもある。

「おじいさん。」と呼んだからと言って、初対面で鉄拳は--正直如何なもんでしょう。




まあ、ともあれ初対面はお互いに偶然で、自分は散策中、タムさんは近道中と言った感じだった。


それからはほぼ定期的に来てくれて、今では商売人としての付き合いもあるのだ。





※※※※※





--ぽん。


「ほい、いつもの調味料の納品。後は--いつも通り売れ残りなんだが、この布とかどうだ?だいぶ安くするぞ?」



家の前にいつも置きっぱなし……いや出しっぱなしでもはやガーデンテーブルと化しているテーブルに、自分家から持って来た布を無造作にかけた。そのようにすると、いつも通りにタムさんが商品を並べていく。


いつもの調味料に、時々買う布。

あとはたまに買う消耗品や調理器具などだ。



タムさんは行商人だ。

顧客のいそうな地域を商品を運搬しながら販売する、そして買い取りもしてくれる--移動する何でも屋だ。

お付き合いが長くなると、定期的に来てくれて欲しいものも探して持って来てくれるようになった。


ジョウロやフライパン等もタムさんから買わせてもらった。

時々こうして服を仕立てる為に使う布を安く売ってくれる事もあるのだ。



定期的に調味料は補充の為タムさんから買っているので、大体不足する時期が分かるらしい。

タムさん凄いね。



さてさて、今日も満足に買わせて頂きました。

もちろん布も買いましたよ。だいぶ頑丈そうな生地だったから、ズボンでも新調しよう。

変わった青っぽい色も面白そうだ。





タムさんから買うと、今度は自分の番だ。



「ミネんとこの謎作物結構人気何だよな。ニシシ。珍味?珍妙?」


「なんだそれは?!最近今まで以上に失礼な言われ方されてない?前は変わり野菜程度じゃなかったか?!」


「まあまあ、珍しいのは確かだろう!----んで、今回新種はあるのかい?」


ニシシと笑うタムさんにニヤリと笑みを返してみせる。

それだけで伝わったようだ。



新種が--あると。



さすがもう約3年のつき合いである。



「すげーな!ミネの加護の力!また新種が出来たのか!ニシシ。まあ、聞かない礼儀は弁えてるがな!」



そう、加護の力--加護の名前や加護のもたらす詳しい内容は身内など心許す人にしか語ることはないのだ。






タムさんに今回買い取ってもらいたい作物を並べる。

今日収穫したばかりの物だ。



黄色い葉物野菜。

ピーマン型で表面に細かな凹凸のある物。

ジャガイモ型の黄色い物。

黄色くて丸い網目模様のある物。

--がそれぞれ籠にゴロゴロと入って並びます。



「今回はレモ菜、レモピー、レモイモ、そして、レモん、ですね。」



「……。」



「次回にはまた新種が成熟しているはずだよ!」



「--なあ、今回まさかの全部レモンベース???」


熱弁を止めて見たら、タムさんが唖然としていた。



「え?!ダメでした?」




--え?昨日もレモンベースで新しいの作っちゃったけど……だめ?レモンシリーズ多過ぎ?





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