第六話『初めての冒険者ギルド』
初めて冒険者ギルドにお出かけしたシャロン。またまた、懐かしい存在に会うことになります。
「ナタリー! 用意できたか?」
「はい、できております。では、行きましょうか」
「ああ!」
「ワンッ!」
今日は私の10歳の誕生日。
初めて王都の中を歩き回り、王都の冒険者ギルドに行く日だ。
「楽しみだな、ダリア」
「アンッ!」
ナタリーの前のため、犬の鳴き声で返事を返してくるダリアを、もふもふと撫でて。
生まれ変わって初めて、邸の中から出た。
今日の服装は、いかにも平民の女の子といった茶色の地味なワンピースで、腰までの長い黒髪をまとめて帽子の中に隠している。
平民は魔女の伝説なんて知らないだろうが、念のためだ。
しかし、服には若干不満がある。平民が着る麻の服は可愛くなく、ごわごわと肌触りが悪いのだ。
仮にも貴族令嬢の着る服に馴れたと言えばそれまでだが。平民の服も五百年前のほうがデザイン性も質も間違いなく高かった。まさに時代変わればなんとやら、だ。
まあ、それが吹き飛んでしまうほど楽しみなのだが。
「おお! 活気に満ちてるな!」
「アルメリナ王国の王都ですから。大国の王都はどこもこのような様子にござ……様子ですよ」
「ははは! 姉さん、それでもちょっと不自然かもしれんぞ!」
500年前とも違う街中の様子に、歓声を上げる。
わざわざ説明してくれたナタリーは、頑張って、侍女の言葉遣いにならないよう努力していることはわかるが、私たちは姉妹の設定だ。敬語を使うのはちょっとおかしいだろう。
カラカラと笑う私に、ナタリーはそわそわと落ち着かなさそうだった。
「どうした? 姉さん」
「お嬢様、演技がお上手でございますね……いや、少々スカートが短いのが気になってしまって……」
当たり前のように淀みなく「姉さん」と言った私に、感心したような目線を投げ掛けながら、少しスカートを下に引っ張った。
ナタリーは脹ら脛まであるワンピースを着ており、平民女性の一般的な服装だ。しかし、踝まで隠れるロングドレスのメイド服を着なれているナタリーには、短く感じられたらしい。
「まぁ、できるだけ気にしないようにだな」
「……そうですね」
「アンッ! アンッ!!」
大きな声で鳴いたダリアに、どうしたの? と問いかける。
すると、ダリアはグイグイと首にかかっている首輪を引っ張って、ある細道に向かって行こうとした。
「わわっ!」
もちろん、その首輪と繋がったリードを持っている私も引っ張られる。
細道に入った大通りの裏道を通って、ダリア、私、ナタリーの順で着いたそこは、見上げるほど大きな建物だった。
レンガ造りの茶色の建物は、歴史を感じさせ、そこに悠然として建っているだけでも存在感に溢れている。
「ワンッ!」
「おお、ここが……冒険者ギルドか?」
「アンッ!!」
「案内してくれてありがとうございます、ダリア様」と律儀に感謝を述べているナタリーを見てから、目の前の大きな建物に入った。
「……おお!」
「……うっ、お酒の臭いが……」
意外と傭兵ギルドと様子が変わらない。
近くに受付の人が数人いて、奥は酒場になっており、昼過ぎだというのにお酒の臭いが漂っていた。
私にとっては懐かしい香りだが、どうやら、ナタリーはお酒の臭いが苦手らしい。
「……とりあえず、ギルドカードだけは作って帰ろうな」
「……そうですね」
「アンッ!」
トットコと先に受付のほうに行くダリアにつられ、私たちも受付のお姉さんの前まで行った。
「なぁ、冒険者ギルドに登録ってできるか? 初めてなんだが……」
「はい、お嬢ちゃんは何歳ですか?」
「10歳だ」
「でしたら大丈夫ですね」
ニコッと愛想よく笑う受付嬢さんに、よかったと笑い返す。実は登録できるのは10歳以上だとダリアから事前に聞いていたのだが。
「まずは冒険者ギルドの説明をさせていただきます」
冒険者はGランク~Sランクまであり、初めてなので私たちはGランクから。
Gランクのクエストを無理なく受けてほしいということ。
ギルドカードもGランク~Eランク用で作るが、ランクがDランクになれば変わるとのこと。
また、ギルドカードを紛失したもしくは破壊した場合、再発行には2000ギルかかるのでなくさないようにしてほしいということ。
「ギルドカードの初回手数料は1500ギルです。前払いですので、お支払ください」
「二人分なので、3000ギルですね」
「おう」
ナタリーから渡されたお金を、前にいる私がお姉さんに手渡した。
「では、ギルドカードを二つ作っていきます。まずはお名前、年齢を」
「私は、シャロン! さっきも言ったが10歳だ」
「私はナタリー、28歳です」
それから、簡単に犯罪歴や家族構成などを聞かれ、答えると、最後は魔力測定と血液認定だ。
「はい、ではこのナイフで指先を少しだけ切り、このカードに垂らしてください」
ナタリーはちょっと怖がっていたが、私は躊躇なく切り、ぷくっと出てきた血を茶色のカードに押し付けた。
「はい、どちらも問題な……!!」
私たちが浮かび上がってきた文字を見る前に、二つとも持ち上げて確認したお姉さんが固まった。
「……え、ま、魔法適性……い、10000オーバー? 六属性……?」
(あっちゃー。バレるのか……)
ギョッと目を向けてくるお姉さんに、内心いい測定器を使っているな、と思いながら笑って誤魔化す。いや、誤魔化しきれなかった。当たり前だが。
「少々お待ち下さい。ギルマスを呼んできます!」
「え? いや、いやいやいや」
「相変わらずの数値でございますね、お嬢様」
「ここでは、ただのシャロンだ……!」
「ワンワンッ!」
“花の祝福”の結果を聞いていたナタリーは全く驚いてないし、ダリアも何故か嬉しそうだ。
お姉さんを待ってるうちに、酒場で飲んでいた男性の冒険者が赤ら顔でふらふらとこちらに近づいてきた。
「げへへ……お姉ちゃん、いい身体してるなぁ。どうだい? 一杯」
「遠慮しておきます」
「つれねぇなぁ。いいじゃねぇか」
(うわぁ、いかにもな小者……傭兵ギルドにもいたなぁ)
即答したナタリーに構わず、私という一応子どもが見ている前で、ナタリーのお尻に手を伸ばした。その不埒な手を、私が思いっきり叩き落とす。できれば触れたくなかったが。
ーーパンッ!
「ッて!」
「おじょ……シャロン! ありがとうございます」
「このクソガキ、何すんだ!!」
結構派手に音がなり、酒場の男衆の注目がこちらに移る。
誰かが「おい、子どもだぞ」と言っていたのも聞こえたが、私がこんな男に負けるはずもない。そんな心配をされる方が私に対する侮辱である。
「こっちのセリフだ、おっさん。姉さんに何してくれてんだ?」
「先輩からの指導だろうがぁー! 手取り足取りな!」
「じゃあ、私も後輩だから、手取り足取り指導してくれるのか? まぁ、生ゴミ並の人間に何教わるんだって感じだがな。ははは!」
酔った様子のその男は、ああ!? と簡単に逆上して腕を振り上げて殴りかかってきた。
「……線が単純だ」
ーーダァン!!
「グ、ガァッ!! 」
殴りかかってきた拳の勢いをそのままに、腕を掴んでひらりと避け、男が横転したところで背中に掴んだ腕を床に固定する。
「「「…………」」」
幼い少女の私が、大きな冒険者の男を押さえつけてる非日常に、見ていた酒場が静まり返った。
私が高度な訓練しているところを毎日見ているナタリーは、ありがとうございます、の一言で終わったが。
「酒場のおにーさん達? この生ゴミ、回収してくれないのか?」
「あ、ああ! すまないな!」
「こいつは荒くれ者でね……」
そそくさとパーティーの仲間らしき男たちにひきずられて行った名前も知らない冒険者に、手を振って見送ったあと、受付のほうに体の向きを戻した。そこに、受付嬢のお姉さんと一緒に見覚えのある二人がいて目を丸くする。
一人は、長い巻き毛の豪奢な金髪にエルフの特徴である尖った耳。スラリと背が高く男性を感じさせるが、華奢で女物の服がよく似合っている。
もう一人は、いかにも大男といった大柄で筋肉質な体つきなのが服の上からでもわかった。背中には愛用の大剣を背負っていて。
その全てが、前世の記憶と重なった。
「……アフロディーテ! ギルバート!!」
「まったく……アイツはゲランだったわね。あとで嫌がらせしてやるわ。それよりシャロン、ずっと待ってたのよ? 久しぶりにお話ししたいわ!」
「久しぶりだな、シャロン」
「ほんとに久しぶりだな!!」
ギュッと泣きそうな顔をして抱き締め会う私たちに、事情を知らないナタリーだけが目を丸くして驚いていた。
「お、お嬢様! どういう関係で!? “森の賢者”様や“大剣使い”様とお知り合いだったんですか!!?」
「ふへ?」
なんだか知らない単語が出て来て首を傾げる。
そんな私を見て、アフロディーテとギルバートが笑った。
「私の通り名が“森の賢者”よ。で……」
「俺が“大剣使い”だ。俺たちはSランク冒険者にでな」
「えええ!?」
五百年前とは違う新しい通り名が付いてたことにもビックリだが、Sランク冒険者ということの方が非日常だ。さっきのお姉さんの説明からすると、最高ランクの冒険者。
一体何をやらかせば最高ランクの冒険者になれるんだろう。私もなれるのだろうか。
「あー、この子は昔合ったことのある知人なのよ。女の子同士で盛り上がっちゃって……」
「いや、アフロディーテは男だぞ」
「だまらっしゃい! やだー、久しぶりすぎて笑えてきたわー」
トントンとアフロディーテが肘でギルバートの脇腹をつつく。
「……あ、ああ。そうだったな。最後に会ったのは……五、年前くらいか? シャロン」
「……ああ! そのくらい前のはずだ、ギルバート!」
誤魔化そうとしてくれてることがわかって、必死に話を会わせる。
実際の年数には、ゼロが二つも足りないが。
「五年前……私が帰省する際に休んだときですか? そのときに外に出たのですか?」
「い、いやぁ……詳しくは覚えてないさ。五年前だからな……」
そう言えば、五年前くらいにナタリーの母親が倒れたからって休みを取らせた気がする。
ナイス、五年前の私。グッジョブ。
「……そうでございますか。積もる話もあるでしょうし、私はここで待っていましょうか?」
「いや、ナタリーが一人で待ってたら、絶対またナンパされるだろ!」
「護身術くらいは身に付けております」
一人で歩いて帰るのは許さないと暗に示すナタリーに、ムムと口を尖らせた。
「あら、テレポートで帰ればいいじゃない! それなら歩かないわ。責任もって私が送るから」
「……承知いたしました。“森の賢者”様に送っていただけるのなら。五時までですからね、お嬢様」
では失礼します、と言ってナタリーはギルドから帰っていった。
「よし、連れ込みましょう!」
「わかった」
ガバッとギルバートに抱き上げられ、わたわたとしているうちに、アフロディーテはダリアを連れて私を抱き上げたままのギルバートと一緒に受付の奥の階段に向かっていく。
「え、どこ行くんだ?」
「遠慮なく話せるところだ」
端的にギルバートに答えられ、私たちはギルドの階段を上がっていった。
後に残されたのは、呆然と階段を見る冒険者達と、ギルドの職員達。私たちの姿が消えてからも、しばらくの間は誰一人動かなかったらしい。
私が連れてこられたのは、意外にも広いギルマスの執務室だった。可愛らしく上品な調度品が並ぶ華やかな部屋は、間違いなく女より女らしいアフロディーテの趣味だ。簡素なものが好みのギルバートはストレスを感じながら執務を行っていることだろう。ちょっと不憫に思えてくる。
私を抱いたまま横長のソファーに腰かけたそのギルバートは、感極まったようにきつく抱き締めてくる。
「シャロン……俺たちのリーダー……っ」
そしたら、隣に座ったアフロディーテにも泣きながら抱き締められ、ダリアもちょこんと膝元に乗ってくる。
二人のいい大人に抱き締められ、息苦しく感じながらも、私は文句を言えなかった。
あれから、500年。
長寿な三人にとっても、決して短いとは言いがたい時間が経っていた。
「シャロン……! 私たちのリーダー!」
「よかった……また、みんなで会えたよ!」
「……シャロン……もう、死なないでくれ」
「……ん、ごめんな……」
長寿な仲間達のなかで、リーダーである私が一番寿命が短いのはわかっていた。
それでも、死による決別を覚悟してリーダーになったのだ。
「『ミューズ』……また、みんなで集まれたな。……本当に、待っててくれて……ありがとう!」
いつの間にか帽子が取られ、時折、唇が髪や額に押し付けられる。温かくて大きな手が、頭をゆっくりと撫でる。柔らかい毛を顔に擦り付けられる。
溢れ出した涙を拭うこともしないまま、私たちは長い間離れることはなかった。
「シャロン、これからは毎日会えるわねっ!」
「……茶を出す」
みんなで顔をぐちゃぐちゃにして泣き合い、少し落ち着いたあと。
嬉しそうにニコニコとして言ってくる、泣いて崩れたメイクまで魔法で完璧に戻したアフロディーテに、「あー……」と曖昧な返事をした。
その途中で、長くなることを予想したのか、いそいそとギルバートがお茶を用意するために席を立った。
「……ちょっと勉強頑張んないといけないから、週に二日くらいしか来れないかも……」
「ええっ! 勉強!? なんでよー!!」
カチャリと紅茶を目の前に置いてくれたギルバートに、ありがとうと言いながら、明らかにアフロディーテの趣味の可愛らしいカップを持ち上げた。
香りを嗅いでからコクリと喉を潤す。
「ふぅ……相変わらず旨いな、ギルバートがいれるお茶は」
「……ありがとう」
少し照れている様子のギルバートに、ふふ、と笑う。
「たとえば、だ。……この紅茶、トリクト産の初摘みダージリンだろう?」
「え?」
いきなり言われた言葉に、アフロディーテとギルバートが目を丸くする。
「……合ってる」
「やっぱりな。こういう淑女教育と、跡継ぎの当主教育を受けないといけないんだよ。それに、結構楽しいしな」
「跡継ぎ? 何、やっぱり貴族令嬢にでも生まれ変わってたの?」
「せいかーい。ま、立場がちょっと微妙でね。色々あったんだけど……」
ふと、窓から外を見て、だいぶ日が傾いていることに気づく。
「あー、私の記憶を読み取ったほうが早いかも。もうそろそろ、帰んないといけないし」
「わかったわ。ダリアは知ってるの?」
「うん! 一緒に住んでるもん!」
「……羨ましい……」
アフロディーテとギルバートが手を私の頭に当てて、滑らかに詠唱した。
「《この子の・記憶を・読み取って》」
「《リーダーの・記憶を・読み取れ》」
すうっと何か頭の中から出ていく感覚のあと、アフロディーテたちを見ると、怒りに目を染めていた。
「何なの!? あれ、ほんとに父親!!?」
「……シャロンの害になる者など……滅べばいい」
「はははは……」
さすが、アフロディーテとギルバート。当たり前のように詠唱をアレンジして三小節にした上に、一瞬で全ての記憶を読み取っている。
ちなみに、他の魔導師がこの魔法を行うと、六小節は厳格な言葉で詠唱する上に、十年分の記憶となると、すぐに読み取ることは難しいだろう。
それよりもさらに技術が衰退したと女神が言っていたこの時代では、一体どうなることやら。
「……なんでお貴族の令嬢なんかやるのよ。今の時代の冒険者として昔みたいに自由に生きればいいじゃない!」
「アフロディーテ」
ギルバートの咎めるような呼び掛けに、フイッとアフロディーテがそっぽを向いた。
でも、私を思っての言葉だと思うと嬉しくなる。
「はは……ありがとな、アフロディーテ。でもね、いいんだよ」
「……っ、なんでよ……っ!」
悔しそうなアフロディーテに、フフンと笑って宣言する。
「ははは! アフロディーテ、私が泣き寝入りするような人間に見えるか? 確かに悲しかったがな、生憎、ズルズル三年も引きずるほど繊細な女じゃないんだよ。せっかく貴族になれたのだから、貴族のやり方で叩き潰してやるさ!!」
「「「…………え」」」
三人から、思わず漏れたといったような声が聞こえたが、スルーして続ける。
「まず、母様が亡くなった次の日に愛人を妻にする非常識な父親が当主なのに、なんでオリバティス家はあんなに裕福なんだと思う?」
「…………援助か」
ポツリと呟いた私たち『ミューズ』のプレーン、ギルバートに、芝居じみた動作でパチパチと拍手を送る。
「大正解ー! 元々、私の母様はディスティリオ公爵家のご令嬢だったんだ。無理やりお父様の妻になる条件で、援助をしてたみたいで」
「うわっ! そのアホ親父は援助を目的に結婚しといて嫁を放置!? 最っ低ね!」
女の敵よ! と、ドン引きした様子で言ったアフロディーテの言葉に、うんうんと頷く。
「昨日の誕生日は、その援助をしているお祖父様や叔父様たちが来てくださって、いつでも叔父様たちの養子に迎えてやれるって。何かあったら頼りなさいって言われた。まあ、当たり前だが、そうなれば援助も打ち切りだよな」
「そっか! シャロンがお母様の子供として生きてたから、援助してくれてたんだ!」
ハッと気づいたダリアが、キラキラとした目で言った。
そんなことが考えられるほど大人になったのを喜べばいいのか、ずる賢くなったのを悲しめばいいのか。
ちょっと複雑な気持ちでダリアの頭をなで、続きを口に出した。
「援助を打ち切られたら、伯爵家は没落の片切符を手に入れるんだよ。つまり、私があの家に留まるかどうかで自分たちの運命が決まるのに、まったく気づいてないんだぞ!? さすがにマヌケ過ぎて笑えてくるわ!」
ケラケラとお腹を抱えて笑う私に、三人がそうだった、なんて呆れたようなため息を溢した。
「……昔も、シャロンの座右の銘は“やられたら百倍返し”だったな」
「ダリアが酔った同業者一人に一発殴られたからって、ソイツの仲間までボッコボコにして、極めつけに氷のオブジェとして街中に放置してたわね……」
「いちゃもんつけてきた相手を逆に言葉でメッタメタにしてたよね……」
「相手の立場や行動、何をされたかを正確に見極め、同じ舞台でダメージを百倍にしてたからな……」
一気にシリアスなリーダーの幻想が崩れたといった三人に、カラカラと笑う。
しょうがない。
誰でも、会えなくなって久しい者は、どんどん美化していく傾向にあるのだ。
「ということだ! 実はもう、家出の準備を始めてる。十年分の恨みを、じっくり時間を掛けて仕返ししたいからな。だから、毎日は来れない! それでも私は、自由だ! 昔と、何一つ変わってないさ!!」
反省もしていないし、後悔もしていない。
よって、謝る気は一切なく、自信満々に言ってのける。
ふははは! と悪役さながらに笑って見せる私の顔を見て、プッと三人が吹き出し、みんなでカラカラと笑った。
間違いなく、生まれ変わって一番楽しい日だった。
帰ったのが結局五時半になり、ナタリーに雷を落とされることがなければ。
やっと前世の仲間全員と再会を果たしました! 勝ち気なシャロンがとてもカッコよかったですね。