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ライアス・ヴォルフ

「グフフフフ……」


ああ、やっぱりこれはたのしいなぁ!

ん?何をしているかって?エ ゴ サ !


いや〜最強の魔法使いって書くとその功績が出てくるのは最高に楽しい!


今や最強って検索エンジンに入れるだけでもしかしてに出てくる始末だ。


最強の魔法使い。つまりは俺だ。


いや〜スレとか見るだけで俺を祀るかのようなことがツラツラと書いてあるぜえええええ!!!!


いや〜楽し〜



まあ、不満があるとすれば……


チラッとパソコンに目を向けると。


『最強の魔法使い!賢者!その正体とは!?』


とか書いてる。


誰も俺の事を最強の魔法使いであり、賢者だって知らないんだ。


いやね?別に悲しくないよ?バレても大変なだけだし?


けどさ、これだけは言わせてくれ。


「なんで誰も知らねえんだよおおおおおお!!!!」


そう。誰も知らないんだ。


俺の家族は流石に知っているが、それ以外は誰も知らない。


総理大臣とかも全く知らない。


俺がネットに晒されてないのがそう言う機関から何かあったとかじゃなくて、ただ単に気づかれてないって悲しすぎるよね。


「うっさいわ!お前叫ぶ気力があるなら学校に行け!」


そう言って叫ぶのは父である。

熱い、暑苦しい、頭痛いの3Aを達成している。


顔は悪くないが、母さんが綺麗すぎてかわいそうに見えてくる。あと、俺の顔がこいつに似てるから、逆恨みしてる。


母さんみたいな美形に生まれたかった。


そして今俺、絶賛不登校中です。


わかってるよ?流石に高校出て大学出ていい職につかないと行けないのはわかってるよ?


けどさ、いざとなれば俺が賢者だって偉い人に明かせばそこそこ厚遇されると思うんだよ。ビバ!ニート生活!


「大丈夫です!俺は頭いいので、いい高校に入れます!」


まあ、この国の最難関大学なら今でも入れるんだ。今更焦る事ないさ。


「そういうことじゃ無えんだよおおおお!!!お前には力と頭はあるけどそれ以外はなんもねえだろうが!お前友達何人いるか言ってみろやコラ!」

「ハッハッハ、ゼロ!」

「威張れることじゃねえよ!」


全く、これだから父さんは困る。

中学の友達とか要らないだろうに。


「お前の考えが手に取るようにわかるんだが、言っとくがお前、このままだと高校でも友達ゼロの彼女ゼロだからな?」


おう……お前父さんのくせになかなか的確なこと言いやがるじゃねえか。


だが俺はそんなことでは動揺しない!


「そそそそう、そんなことないし?ほら?俺最強だし?いざとなれば……あ、そうか!いざとなれば惚れさせる魔法作ればいいのか!サンキューパッパ!」

「ストオオオオオップ!!!あかん。お前、それはあかん」


なんだろうか?流石に俺でもそんな魔法を作る気はさらさらないのだが?(作れないとは言っていない)


どうやら、この父さん、俺を危険人物だと思ってるな?


心外だ!


全く、俺がやったことなんて魔法を撃とうとしたら暴発してそこらへんで暴れてた魔物を破壊させたり、世界の危機とか言われて目立てるかもと思ってその魔物ぶっ殺したり……あ、あとは男の子がいじめられてたからいじめっ子に石投げたっけ。


そのくらいだぞ!


「あ、そうだ。おいライアス、お前はギムテット王立魔法学校に受験することになったからな?」

「はあ?今更俺が魔法を習うんですか?まあ、あそこはいっぱい推薦持ってるらしいですが、それがどうしたって感じですし」


意味がわからない。父さんもそろそろおかしくなったか。


「いいか?お前には一般常識というものが欠けている」

「まさか!知識の化身と自称しているこの俺が?」

「自称なのか……」

「他称してくれる相手がいないんです……」


悲しい。


「じゃあ、そう言ってもらえるように……いや、友達をそういう風に扱うのは良くないよな……諦めろ」

「くそう!父親風情が良い気になりおって!我が最強の魔法で氷漬けにしてやろうか!」


まあ、その父親風情がいなかったら俺はここにいないんだが。



そんなこんなでギムテット王立魔法学校に通うことになった。




受験?クソ簡単だった。これで落ちてたら逆立ちしながらパスタ鼻から食べてやるよ。


筆記試験だった。

小説とかでよくある実力を見るとかなかった。

せっかく俺の世界を変える魔法の力(ワールド・エンド)(ポップな文字で)が発動することになったと言うのに。


ごめんよ、エンドちゃん。君の活躍はこの世界に崩壊の危機が陥った時まではお預けになったよ。シクシク。


そんな感じで自分の受験番号を確認すると。


「お、あった」


あったあったやったやった〜じゃあ、帰ろっか。


周れ右して帰ろうとすると、首根っこを掴まれる。


「ちょっと!?今あったって言わなかった?帰っちゃダメでしょ!」


ふぇぇぇぇ……帰らせてくれないよぅ……


全く!誰だお前は!


ふむ、美人だ。許す!


色が白いから、先住民の血が濃いのかな?いや、それにしても良いバランスで色が白い。目も緑色で鼻も長く、髪は金色。

胸はかなりある。


これは……


「運命の出会いだと思いませんか?」

「は?」


おっと、驚いてしまった。


何故だろうか?何が足りなかったのか?今の僕には理解できない。


「そ、そんなことより、講堂に行かないと!合格したんでしょ?」

「勿論です!首席ですよ!おそらく!」

「そう?ふふふ、楽しい人だね」


こ、これは!?あんまり褒めるところがない人に言う言葉ランキングでも上位に食い込んでいる、『でも彼楽しい人だよ〜』だ!?


くそう、やはり惚れ魔法を作るしかないのか?


「そんなことよりも、行こう?」

「そ、そうですね!これから学園生活が始まるのかぁ……」


なんだろう。心が苦しい。


そして気づいた。そうか、俺ってコミュ障だったのか!


これなら仕方がない!講堂に着くまでにこの子といっぱい話そう!


「俺はクーラー……じゃなかった。ライアス、君の名前は?」

「クーラー……?私はアニス。アニス・バードルよ。よろしく、ライアス君!」


ライアス君……ライアス君……そうか!


「結婚を前提に結婚してください!」

「いきなり何言ってるの!?」


ダメだったか!ちきしょう!


「ふふふ、なんか、楽しいけど変わった人だね、ライアス君は」

「変わってるかなあ?」


いや、しかし待ってくれ。


若くして世界の危機を救ってきたし、変わった人というのは強ち間違いではない?


「流石ですね、まさか、私の事を見抜くとは!」

「いや、誰だってそう思うよ?あ、ついたね、ここが講堂だよ」

「おお……なんかあれですね……帰って寝たいって気持ちにさせますね。恐らく精神作用のある魔法ですよ」

「禁術なんだけど、それ……ワクワクしない?」


ワクワク……???

作ってワクワクしろと言う意味か?

ならばこの講堂を一回更地にした方がいいな。


「ほら、突っ立ってないで入るよ」

「あーれー」


袖を引っ張られて講堂の中に入れられてしまった。


無念。







講堂はソコソコの広さを有していた。ぶっ壊してしまいたくなるのは性だろうか?


まあいい。


何故なら俺にはアニスがいるから!話してくれよ?多分話してくれないと俺は寝ぼけてこの学園を破壊する。いや、したい。


「あ、私こっちだ。じゃあね、別々のクラスなのは悲しいけど、頑張って卒業しよう!」

「ああ、じゃあね」


哀れ講堂、しめやかに爆散。と言いたいところだが、流石に俺でもそんなことはしない。……筈。


まああれだ。苦情は寝ぼけた俺に言ってくれ。








えーとお?この席かな?

なんでこんな前列のど真ん中にいるのか理解に苦しむな……


うん。番号も合ってる。よし。寝る準備だけはしておこう。


首がカクカクしてもいいように、ポキポキしてると。


「あなた、この席の人?」


横から声がかかってくる。


なんだこいつ、ここに座ってるんだから当たり前だろうが。


ほう、美人だ。今の無礼大目に見てやろう。


アニスが太陽だとしたら、この子は月だろう。


美しい白い肌に、真っ赤な瞳、雪のような髪。

うむ、美しい。


「そうだよ。付き合ってください。あなたの名前は?」

「え?今すごい自然に告白された気が……気のせいよね?私はリヴィア。あなたに聞きたいことがあるの」

「なんでしょうか?俺の3サイズ?極秘情報なんですけどねえ……」

「そんなものに興味はないわ」

「そっすか……」


おいおいまじかよ。昔はお嫁さんになるとか言ってくれた近所のガキはこれでなんでも教えてくれたぞ?


「あなた、どのくらい魔法が得意なの?」

「ほへえ?」


全く予想してなかった問題だが……ああそっか、ここ魔法学校だもんな。気になるのか。


ふっふっふ、じゃあ答えはこれだ!


「その時になったら、わかるさ」


決まった!このハードボイルドっぽい感じは彼女のハートを鷲掴みにして離さない!


「あっそ」


厳しい!

そ、そうだ!俺は知ってるぞ、こう言う質問を相手がする時ってぶっちゃけ『じゃあお前はどうなんだよ〜』って聞かれたい時なんだ!ここは俺が空気を読んで!


「じゃあ、リヴィアはどうなの?」


すると彼女は少し鼻をヒクヒクさせる。


ハッハッハ!見たか父さん!俺はコミュ障なんかじゃねえんだよ!


「私はあの賢者すらをも超えるわ!」




























は?


おいおい、それは言っちゃいけない一言だ。


賢者は、俺は、そんな一言では片付けられないんだ。


それを賢者すら越えるだと?


ライアスちゃん久々に本気になって怒っちゃうぞプンプン。


「ちょっとすみません、通らせ——きゃ!」


うん?俺が怒っていると、横から悲鳴が聞こえる。


振り向くと?


プニン と顔が幸せな何かに包まれる。


「ほわぁぁぁぁぁぁ」


浄化される!俺の心が!洗い流されるだと!?


これは魔乳だ!く!こ、こんなのに屈したりなんか……


「パーフェクトだ!」

「ごごごごご、ごめんなさい!」


女の子は謝ってくるが、何故謝られたのだろうか?


「いやいや、もっとやっててよかったよ?なんなら今ここで!」


「えっと、優しいんですね。ありがとうございます」


ん?なんでそうなるの?


彼女が顔を上げると、乳が揺れる。






馬鹿な!?俺のスカウターでも測りきれないだと!?なんだあの胸!?



リヴィアを見てみる。



…………。


あの胸には魔力が秘められている!

何故だ!目が!目が離せない!


は!?俺の手が、震えている?まさか、この魔力、目だけでなく、手すら効果を受けるのか!?なんてやつだ!


「あの、大丈夫ですか?体が震えていますけど」

「だ、大丈夫!君の名前は?」

「リーリエって言います。さっきはすみません。実は私はあなたの隣の席なんですよ」

「ライアス、とお呼びください。マドモアゼル」

「?よくわかりませんが、これからよろしくお願いしますね、ライアスさん」


父さん、俺、学校に来てよかったよ。

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