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江戸浪士隊血風録  作者: 川越トーマ
2/17

 戊辰戦争から二十年後 『江戸』

「待て! 陸軍省に何の用だ」

 西洋式の茶褐色の軍服に身を包み、単発式の歩兵銃を肩に担いだ大柄な中年の衛兵が、居丈高な声を発しながら俺の進路を遮った。

 眼には敵意と言ってもいい警戒の色が浮かんでいた。

「……」

 もともと俺の正面に位置していたもう一人の若い衛兵は、腰の拳銃に手をやりながら無言で持ち場を移動し、刀の間合いを避けるように俺の背後へと回り込んだ。

『なんと無礼な!』

 一瞬そう思ったが、警備をする側から見れば、きっと自分は不審人物以外の何者でもないのだろう。

 江戸城の堀の近くに建てられた三階建てレンガ造りの陸軍省の建物の周囲は江戸の街の中心部分に位置するにもかかわらず意外と人通りが少なく、時折軍服姿の関係者が行き交うのみだった。

 そこに突然現れた貧しい身なりの部外者は警戒して当然だった。

「自分は片桐隼人と申します。志あって陸軍に仕官を申し出ようという所存、担当官にお取次ぎ願いたい」

 ここは、むかっ腹を立てずに丁寧に説明しなければと、俺は自らに言い聞かせながら、背筋を伸ばし、腹の底から響かせるように、自分の要件を中年の衛兵に伝えた。

「仕官?」

 中年の衛兵は俺の姿を値踏みした。

 俺は、どう見ても安物にしか見えないくすんだ灰色の麻の着物に、擦り切れてボロボロになった紺色の麻の袴をはき、質素な拵えの刀を一刀だけ下げていた。

「陸軍の採用試験は七月だ。四か月ほど経ってから出直すことだな」

 由緒ある家柄の士族ではなく、明慈めいじの世になって、新たに名字帯刀を許された小作農あたりと判断したのだろう。

 衛兵は冷たく言い放った。

『そんなことも知らないのか、この田舎者が』

 目ではさらにそう語っていた。

「臨時採用はありませんか? 剣の腕には自信があるのですが」

 俺は冷たい視線に負けじと食い下がった。

「戊辰戦争の後、二十年この方、大きな戦いはない。よって兵員は足りている。それに近代戦の主力は鉄砲だ。刀ではない」

 明慈めいじ二十年、鳥羽伏見の戦いに始まる戊辰戦争の後、日本が東西に分裂して二十年の歳月が流れていた。

 日本は、天皇を形式上の頂点にいただく西の日本皇国と、徳川将軍家を頂点とする東の日本連邦に分かれていた。

 国境地帯となった関ケ原の周辺で小競り合いはあるものの、大きな戦いはなく睨みあう状況が続いていた。

「わかりました。出直します」

 俺は軽く頭を下げて踵を返した。

 中年の衛兵の目は冷たいままだった。


 俺は、父と母を早くに失った後、猫の額のような田畑を兄と二人で耕して暮らしていた。

 三年前に兄は妻をめとった。

 そして、すぐに子供が生まれた。

 兄嫁は働き者だったが家族が増えると生活は苦しくなった。

『江戸に行けば働き口があるはずだ』

 兄夫婦に二人目の子供が生まれると兄嫁からしきりに出稼ぎを勧められるようになった。

 そして、俺は江戸に出てきた。

 だから四か月後に出直せと言われても、故郷に帰るわけにはいかなかった。

 陸軍省を後にした俺は、慣れない江戸の街を歩き始めた。

 江戸の街は、西洋文化にあふれていた。

 レンガ造りの西洋建築がいたるところに建っており、洋服を着た人間がたくさん歩いていた。

 たまに和装をした者も見かけたが、女性や年寄り、貧乏そうな男が多かった。

 女性は昔ながらの髪型を結いあげている者が結構いたが、男性では髷を結っている人間はほとんどいなかった。

 自分もそうだが、男性は短く刈った髪型がほとんどで、たまに髷を結っている者がいても、額から頭頂部にかけて髪を剃った月代さかやきをしている者は全くおらず、せいぜい頭の後ろで髪を束ねる総髪くらいのものだった。

 なお、西洋では婦女子がこの髪形をすると子馬のしっぽを意味する『ポニーテール』と言うそうだ。


「悪いが、中途採用はしていない。採用試験は七月の予定だ」

 桜田門近くの警視庁にも足を向けたが陸軍省と全く同じ目にあった。

 どうせ働くなら、剣の腕が生かせて、世のため人のためになる仕事が良いと思っていたが、どうも世の中はそれほど甘くはなかったようだ。

 俺は、江戸の街をあてどもなく彷徨い、奉公人を募集しているところはないかと方々を探し回った。

 幸い三月下旬のこの日は、良く晴れた過ごしやすい日だった。

 これが単なる物見遊山だったら、楽しいひと時だったかもしれないが、事情が事情なのでそうも言ってはいられなかった。

 武蔵国の北のはずれを昨日の日の出前に出発して、すでに一泊分の路銀(ろぎん=旅費)を使っていた。

 この日も朝早くから歩き回り、すでに昼が過ぎていた。

 そろそろ腹の虫が鳴り始めた。

 江戸の町には、牛鍋屋や西洋菓子の店など、田舎にはない興味をそそられる店が多かったが、のんびり飲み食いする気分にはなれなかった。

 警視庁を出てから三時間ほど歩いたところで俺は『口入屋』の看板を見つけた。

 口入屋、要は職業紹介所であった。


「異国の言葉は話せますか? フランス語、プロイセン語、ロシア語、エゲレス語は?」

 入り口付近の机に座っていた西洋風のシャツを着て口ひげを生やした年配の男は、俺が仕事を捜している旨を告げるとガトリング砲のような勢いで質問を開始した。

「自分は、異国の言葉を話すことも読み書きもできません」

 俺は正直に答えた。

「そろばんは?」

「そろばんは苦手です。足し算、引き算はできますが」

 もともと商人になる気がなかったので熱心にそろばんを習ったりはしなかった。

 それで、普通の生活には支障がないとおもっていた。

 事実、今まで困ったことはない。

「四書五経は?」

 四書五経が儒教の書物のことをくくっていう言葉だということは知っていたが、具体的には『論語』がそれに含まれるくらいしかわからなかった。

 俺は儒学者ではないのだ。

「儒学の類は、一般常識程度と思っていただければ」

 質問から察するに、異人相手の商売や家庭教師の務め口はあるらしい。

 いずれも俺には興味のない仕事だった。

「じゃあ、逆に得意なことは?」

「剣術なら少々自信があります」

 俺は、拳を握り締めると背筋を伸ばして元気よく答えた。

 子供のころ、剣で身を立てようと考えて流浪の剣客から剣術の基礎を教わった。

 そして、今まで暇を見つけてはひたすら修行に励んできた。

 木刀をいつも握っていた掌はマメだらけだった。

「多いんだよね。そういうお侍さん」

 しかし、元気よく答えた俺の様子を見て、逆に店の男はため息をついた。

 俺は、陸軍省での冷たい対応を思い出した。

 時代遅れな奴と思われたらしい。

「で、どんな仕事がいいんですか? なにか希望は?」

 一瞬気まずい沈黙が流れた後、店の男は質問をつづけた。

「希望を言ってもよいというのであれば、正義の味方になりたいのです。給金は少なくても構いません」

 気恥ずかしい部分もあり、俺の声は少し小さくなっていた。

「へ?」

 店の男は目を丸くして一瞬口を半開きにした。

「悪を懲らしめるとか、弱きを助けるとか、そんな仕事がしたいのです。それで警察や陸軍に仕官したのですが、今は募集していないと断られました」

 俺は正直な胸の内を語った。

「残念ながら、そんな仕事はないですな……」

 店の男は興味なさそうに話を流そうとしたが、急に眼の奥に恐怖の色を浮かべた。

「まさか、あんた、異人狩りとかしていないでしょうな?」

「何ですか? その異人狩りというのは?」

「天に代わって不埒な異人を成敗すると称している荒くれ者たちのことですよ」

「そんな人たちがいるんですか?」

「年に何人か、そう言う血の気の多いお侍さんが捕まっていますよ。そう言えば先日も『江戸浪士隊』とかを名乗る集団がフランス商館を襲撃したとか……ああ、真似しなさんなよ。警察に捕まれば罰を受けますからな。まず死罪だと思っていい」

「そうなんですか」

 浪士隊と言う名前は、恐らく、かつて京の町で治安維持にあたった新選組にあやかったものなのだろう。彼らは屯所(駐屯地)の場所から「壬生浪士隊」とも呼ばれていた。

「陸軍や警察の採用試験は七月ですから、それまでは意に沿わない仕事でも我慢するしかないでしょうな。それでも仕事の口は難しいですよ」

「で、何かありますか?」

「取り合えずお侍さんが勤まりそうな仕事はないですな。少し前までは鉄道工事の人足の口があったんですがね。西の方は未完成なんで駿河国するがのくににでも行けば、まだ募集しているかもしれませんが」

 俺は、頭脳労働のできない肉体労働向けの人間だと判断されたらしい。

「また来ます。何か自分でも勤まりそうな仕事があったら紹介してください」

 俺は、そうお願いすると店を出た。

 結局、口入屋で仕事を捜すという試みは不首尾に終わってしまった。

 いい加減腹も減っていたので何か食事をと思ったが、江戸の食堂は、びっくりするほど物価が高かった。

 特に西洋風の店はどれも高かった。

 店の前に品書きがあったり、店内の良く見える場所に品書きが貼ってあるのは、まだ、いい方で、気取った店はそれすらない。

 先が見えない中、ぜいたくな食事をするわけにはいかないので、俺はできるだけ庶民的な店を選び、一番値段の安いかけそばを注文してかきこんだ。

『困った。早く仕事を見つけないと、この調子では数日で路銀も底をつくぞ……』

 俺は、どんな仕事でも構わないから早いうちに見つけなければと焦りを感じていた。

 理想もくそもなかった。


「こちらで料理人を募集している由、良ければ自分を雇ってもらえませんか?」

「お侍さん、調理の経験は?」

 俺はようやく見つけた『料理人募集』の貼紙に誘われて、こじんまりした料理屋の暖簾をくぐった。

 夕食時間前の客のいない時間帯で、店主らしい初老の男が奥から出てきて応対してくれた。

「料理屋で働いた経験はありません」

 俺は胸を張って正直に答えた。

 自分や兄のために食事を作ったことはあるが、この店主はそんなことを期待して聞いたのではないだろう。

 白髪混じりのいかつい顔の店主は、気難しい表情になって質問をつづけた。

「じゃあ、いま腰に下げてる刀を包丁に持ち替えて生きていく覚悟は?」

「刀を捨てる気はありません」

 どんな仕事に就いたとしても腰の刀を手放すつもりはなかった。

「じゃあ、帰ってくんな」

 店主は静かにそう言い放つと、俺に背を向けて奥へと引っ込んだ。

 何か言い返したい衝動に駆られたが、結局、俺も黙って店を出た。


 日が西に傾き始めても、これという仕事は見つからなかった。

 今夜の宿も決まっていなかったので、そろそろ安い宿屋を物色する必要も出てきた。

 もしも見つからなければ野宿するしかない。

 今度は宿屋を捜そうと気持ちを切り替えて歩いていると黒山の人だかりで行く手がふさがっているのに出くわした。

 何かの騒ぎで集まってきた野次馬らしい。

『何事だ?』

 興味がわいたので人ごみの中に分け入っていった。

 途中、野次馬のつぶやきが次々に耳に入ってきた。

「ありゃあロシアの兵隊だな。この間の戦争で清国から東北部と朝鮮を奪って調子に乗っているらしい」

「蝦夷地も狙っているそうな」

「警察は何をやっているんじゃ」

「どうせ捕まえてもわが国の法律じゃあ裁けねえ。裁判権は相手国の領事様がにぎっているからな」

 金モールで飾り立てた青い軍服の身体の大きな薄茶色の髪の異人四人と、袴姿で総髪の年配の侍が往来の真ん中で対峙していた。

 年配の侍の背中には、艶やかな振り袖姿の若い娘が怯えたように隠れていた。

「おやめください」

「じい、止めるな!」

 俺のすぐ横で育ちのよさそうな若侍が助太刀しようとして、おつきの爺やに止められていた。

 紺色の丈の短い詰襟の洋服に、地味な拵えの刀を腰にさしていた。

 海軍の下士官のような服装だが軍人の匂いがしない。おそらく学生か何かだろう。

「どうしたんだ?」

 状況を知っていそうだったので、俺は若侍に尋ねた。

 若侍は随分と小柄で線が細かった。

「あの不良外国人が娘さんにちょっかいを出したんだ」

 彼は俺の方に顔を向けて簡潔に答えた。

 ハッとするような美少年だった。

 優しげな顔でまつ毛がやけに長い。一瞬女かと思った。

 つややかな黒髪は短く切っていたが、俺のように襟足を刈り上げたりはしていなかった。

「何だ抜くのか?」

 俺が若侍の容姿に心を奪われていると、危険な感情を乗せた声が耳に入ってきた。

 俺が声の方を見ると、年配の侍が腰の刀を引き抜こうとしていた。

 その瞬間、銃声が轟き、年配の侍は刀の柄を握ったまま、その動きを止めた。

 異人が構えた拳銃の周りには淡い白煙が漂い、年配の侍は膝が砕けたようにゆっくりと崩れ落ちた。

「お父様!」

 倒れた年配の侍に娘が駆け寄った。

 地面に赤いしみが広がっていく。

 俺はショックを受けた。

 目の前で人が一人、銃で撃たれて死んでいく。

「正当防衛だな」

 大型の拳銃を握っていた中央の異人が下品な笑みを浮かべた。

「あやつら!」

 若侍は血相を変えて刀の柄に手を置いた。

「おい、やめておけ」

 俺は、その若侍の肩をつかんで制止した。

 華奢な肩だった。

 頭の中で、先程口入屋で聞いた異人狩りの話を思い出していた。

 『お上に捕まれば死罪』

 それに、この小柄な若侍が銃を持った四人をうち負かすことができるとは到底思えなかった。

 人は見かけによらないという。

 二十年以上昔の話になるが、佐久間象山を暗殺したことで有名な伝説の人斬り、河上彦斎かわかみげんさいという男は、色白で娘のような容貌だったということだ。

 しかし、先程触った肩の筋肉、震える手で刀の柄を握っている様子などから、若侍が修羅場を制して生き残れるとは、とても思えなかった。

「しかし!」

 怒りに燃える若侍の目は澄んでいて、濁りや迷いはなかった。

 非は異人側にあると信じているのだろう。

 俺は彼にまぶしさを感じた。

 強い弱いは関係なく正義の味方という言葉は彼のためにあるような気がした。

 さっきまで職探しをする中で、世のため人のためになりたいとか、正義の味方になりたいとか言っていたくせに、いざとなると、自分は、勝ち負けとか、捕縛されれば死罪になるとか、あれこれ考えてしまう。

「この黄色いサルが!」

 異人が倒れて動かなくなった年配の侍の身体につばを吐きかけた。

 その光景を見た瞬間、俺は頭にかっと血が上り、周りの景色が赤く、暗くなった。

「聞き捨てならんな」

 気が付くと、俺は野次馬から離れて異人たちの前に進み出てしまっていた。

 何でそんなことをしでかしたのはわからない。

 もしかすると、さっきの若侍に先んじて正義の味方になりたかっただけなのかもしれなかった。

 我ながら軽薄だと思った。しかし、動機は軽薄でも引き起こされる結果は重大だ。

『ああ、やってしまった』

 俺は心底後悔した。

「何だ、お前は! 文句でもあるのか?」

 体格のいい、赤ら顔の異人が青い氷のような目を俺の方に向けてきた。

「ああ、ある」

 こうなったら今更ごめんなさいと引っ込むわけにもいかなかった。

 正直、俺は喧嘩が嫌いで素手の喧嘩もほとんどしたことがなかった。

 それなのに江戸に着いた最初の日に、まさか命のやり取りをすることになるとは思ってもみなかった。

「ガキが! お前も、こいつを喰らいたいのか?」

 年配の侍を撃った異人は、一歩前に進むと拳銃をこれ見よがしに振り、銃口を向けてきた。

 六連発の回転式拳銃だった。

 一発しか撃っていないので、当然、まだ弾は残っている。

 周囲の人ごみにどよめきが走り、流れ弾を恐れて俺から遠ざかっていく気配を感じた。

「一手ご教授願おう」

 俺は、精いっぱいの強がりを言いながら刀の間合いの少し外まで進み、軽く腰を落とすと、刀の柄に手を軽く置いた。

 これ以上近づくと居合術の抜刀を警戒され、刀を抜く前にいきなり撃たれる恐れがある。

 もう後戻りはできない。

「さあ、抜けよ!」

 相手はすでに腕を伸ばして銃を構え、こちらの胸に狙いをつけていた。

 こちらが一歩踏み出すか、あるいは刀を抜いた瞬間に引き金を引くつもりだろう。

 この方法で何人もの侍を冥土に送っているようだ。異人の表情に余裕があった。

『落ち着け、刀は何万回、何十万回と振ってきたじゃないか』

 しかし、人を切るのは初めてだった。

 俺はゆっくりと呼吸を整えた。

 異人は薄ら笑いさえ浮かべていた。

『何も考えるな、練習通りだ』

「御助力いたす!」

 例の若侍のものと思われる高い声が背後から聞こえた。

 それが背中を押した。

 躊躇したら状況が変わる。

 一気に腕に力を籠め、抜き打ちに斬りつけた。

 銃声はしなかった。

 手応えもほとんどなかった。

 しかし、拳銃を握った異人の手首が両断され、血しぶきが上がった。

 異人は一瞬何が起こったかわからないという呆然とした表情で何もなくなった自分の手首を見つめ、そのあと絶叫した。

 確かに異人が間合いを測った通り刀の切っ先は彼の胴体には届かなかった。

 だが、前に伸ばした手は別だ。

 俺はこれを狙っていたのだ。

「野郎!」

 手首を切断され、絶叫している男の背後で、腰のホルスターから拳銃を引き抜こうとしている男の姿が目に入った。

 俺は鋭く踏み込んで真向から切り下した。

 拳銃をつかんだ男の腕が飛んだ。

 しかし、マズイことに、ここで刀が折れた。

「しまった!」

 まだ、敵は二人残っていた。

 こういう時のために本当の侍は脇差をさしているのだが、残念ながら由緒正しい侍ではない俺は二本差しを認められていなかった。

 銃声が轟き、頭を金槌で殴られたような衝撃を覚えた。

 そして闇夜でろうそくを吹き消されたように何も見えなくなった。

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