忘れたい、過去
18年前、サトちゃんが死んだ。
リカちゃんは自分のせいだと責めた。
リカちゃんはそこからどんどん人生が狂っていく
でも、僕らはいつも言っていた。
「リカちゃんのせいじゃないよ」
僕らは29歳になった
たっくんがリカちゃんと結婚するんだって。
リカちゃんには幸せになってほしいな。
それは僕らの願い。
そんな、リカちゃんのお話。
「もう18年も経つんだな」
卓弥はビールを飲み干すなりこう言った。
「なんだかんだ言ってあっという間だったよ」
僕は共に過ごしてきた彼らの顔を思い浮かべた。
「で、今日は。・・・何かあるから僕を呼んだんでしょ。たっくん」
「いや、話せば長くなるような気がする」
「なんだよ、それ」
「まだみんなには話してないんだけどさ。
俺、里華と結婚しようかな、って」
里華ちゃん。ああ、そうか。やっぱり。
「おめでとう。なんか昔からそんな感じがしたよ」
「・・・ありがとう。でもリカがさ、まだいろいろ引きずってるみたいなんだ」
引きずってる、ひきずってる。
「元気かな。里美」
里美・・・サトちゃん。
「18年も会ってないんだ。リカも大分参ってる」
ねぇ、たっくん。
引きずってるのは君だろ。
「サトの事だよ、絶対美人になってる」
ねぇ、たっくん。
「たっくん・・・」
サトちゃんはもうとっくに死んだじゃないか。