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たんぽぽ  作者: 諫早
8/8

エピローグ


「来たね」


母のその言葉とほぼ同時に地面に叩きつけられそうになる。


体の一部が引きちぎれるような激痛が走り、思わず目を閉じた。


突風が止んで目を開けると、ずっと見てきた青と緑だった。


その境は綺麗な一直線になっていて、目を奪われそうになる。


ふと思い出して下を見ればもう母の姿は見えなく、ただ緑が広がっていた。

一緒に話したハナおばさんも、最近来たあの女の子もあの中に居るのだろうか。



「あ……」


ふと、一際深い緑の塊が木だということにようやく気づいた。


あれはあの大木だ。


てっぺんすら見えず、声をかけても反応してくれない彼。


そんな彼が太陽の眩しさに目を細めながらこっちを見ていた。


門出を祝ってくれている気がして、大きく手を振る。


向こうはこんな小さな私なんて見えている筈もないのに、上の生い茂る葉を揺らして答えてくれた。


「……なんだ、優しい人なんだね。」


母の聞いていたのとは違う。

きっと誰も彼に気づかないだけなんだ。




「またね!」



母にも、おばさんにも、女の子にも。


もちろんあの木にも向かって私は叫んだ。



私はもう会えなくとも、私の話を聞いた子どもや孫たちがあなた達に会えるように。

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