6日目
「まま! 芽が出たよ!」
子どもたちに揺すられ、目を開けると、先日根を下ろした子だった。
まだ芽が出たと言うには心もとないが、ちょこんと可愛らしく地面から出ている。
新しい世界に戸惑っているのか、辺りをきょろきょろと見渡している。
「ねーねー、名前は!?」
「どこで生まれたの?」
「どんな花を咲かすの?」
一斉に質問する子どもたちにその子はついていけなかった。
話しかけられたことに驚いて、何を聞かれているのかすら頭が間に合っていないようで。言葉にならない言葉を繰り返していた。
「ゆっくりでいいよ、疲れてるだろう。うるさくしてごめんね」
「あ、いえ、大丈夫です。」
ようやくその子の笑顔を見ることが出来た。
放置された子どもたちは拗ねているが、知らない環境で大勢から話しかけられる方はたまったものではないだろう。
ここの環境だとか、ここの人となりだとか、いくつか教えたところで彼女は疲れて寝てしまった。
「根をはるのはとっても大変なのよ。」
ちょうど良いタイミングだ、と地面に降り立ってからのことも子どもたちに教えることにした。
相当疲れることだと分かったらしく、彼女が寝始めたら邪魔をしないように、とみんなして静かになる辺りがまだまだ可愛いところだ。
昼間はまだ騒がしいが、気を使うことが出来るようになっていて、成長を感じて微笑ましい。
本当に、この子たちはとっても大きくなった。
「大木さん。とっても大きいのね。」
彼女と、子どもたちは大木が好きなようで、頻繁にその言葉を聞く。
私としてはあまり話題に出してほしくないが、興味を持っているのにわざわざ取り上げようとは思えなくて、ため息をついた。
「あなたたちが飛び立ったら、私の代わりにあの大木さんとお話をしてきてね。」
どうやら、彼らの中では彼は大きすぎて私たちの声が届いていないことになっているらしい。
それならば彼の声くらい誰かしら聞いているとは思うが、聞き流しておいた。
「うん! お話したら、またここに戻ってくるよ!」
そう言って彼らは笑った。本当に、戻ってきてくれるなら私はどれだけ嬉しいか。
この子たちと離れるのが寂しくなってきていた。




