3日目
老婆の死の悲しみからようやく立ち直った頃、私に友達ができた。
その子は寒さを感じるような季節にここにやってきた子で、老婆が生きていた場所のすぐ隣に根を生やしていた。
その子が丸い芽を出した頃、周囲の人みんなで老婆から聞いた話をした。
きらきらと周りに笑顔を振りまく彼女は、みんなから「ハナちゃん」と呼ばれ始めた。
ハナちゃんの成長は早く、すぐに私を追い抜いた。
周りが寒さに震え、縮んでいく一方で、ハナちゃんは蕾をつけて、開花の時を今か今かと待っているほどに。
「ハナちゃんは成長が早いね」
「怖くないかい?」
みんな口々にそう聞いていた。
ハナちゃんは笑って「大丈夫よ。私のお母さんも、そのお母さんも経験してきたんだもの」と。
ある日目をあけると、ハナちゃんは綺麗な黄色と、暗い茶色の花を咲かせていた。
花弁が一枚一枚大きく、ほぼ緑や茶色で味気なかったこの周囲を彩っていた。
「綺麗でしょう?」
微笑む彼女は、本当に綺麗だった。
ようやく寒さが弱まり、日中は暖かく、まどろむ季節になってきた頃、周りは蕾をつけ始めた。
ようやく私も蕾が出来て、花が開くのを待っていた。
「あなたもそろそろね。」
シワが目立つようになってきたけれど、まだ綺麗な花を咲かすハナちゃんが微笑んだ。
周りもどんどん花を咲かせはじめ、私の視界は緑だけではなく、白や黄色、赤など、鮮やかな色を咲かせている。
「ありがとう。でも、少し怖いの。」
どんな花を咲かすのか。いつ咲かせば良いのか。未知数なそれに、私は一抹の不安を覚えている。
「大丈夫。あ、今なんだな。ってわかるわ。」
ハナちゃんはそう言って、周りの人たちを安心させていた。
ある朝、太陽の暖かさに私は「今だ」と感じた。
私が周りに生きた証明を咲かすのは、今日が絶好のチャンスだ。
ぐっと力を入れて、蕾を開く。ゆっくり、ゆっくり。
私よりも早く起きてきた人たちに「がんばれ」と応援された。
どんどん応援してくれる人は増え、ハナちゃんの声も聞こえた。
わっと歓声がわき、目を開けると笑顔のみんなが居た。
「おめでとう」
「おめでとう、綺麗な黄色い花よ。」
「たくさんの花びらがついているのね。」
口々にそう言われ、気になった私は花びらを一枚引っ張ってみた。
黄色くて細長い、小さな花びら。それらがたくさんたくさん集まって、1つの花になっているらしかった。
私がもう少し大きければ、この中で一番目立つのではないかと錯覚するほど、それはとても立派な花だった。




