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第6話 《火炎竜討伐》前編

ダダダッダダダッダダダッ!!!


タタタタタタタタタタッッ!


「ふぅ、こんなもんか。おい、剥ぎ取るぞ」


「オッケ。タカさんは本当に人使いが荒いんだから」


「はあ?お前はコクローチだろ?人じゃないじゃん?」


「タカさん酷くない⁉︎」


「酷くないぞ?《半不死身》なんてさらにコクローチっぽい能力を手に入れといて何言ってんだ?」


「そうだけど!そうだけどね!…ぅう、言い返せない自分が辛い」


「孝くんも政広くんもそろそろ行くよ?」


「おう、分かった勇馬。ほら、行くぞ」


「はあ」


俺たちたかし政広まさひろ勇馬ゆうまの3人は現在、火炎竜討伐へと火炎竜の住処のモルス火山に向かっていた。


「あの、よろしいですか?」


「ん?なんだい、お嬢さん?」


「ヒッ⁉︎」


「おい、コクローチ。アノさんが引いてるからやめろ。キモい。クズが。クタバレ。死ねば?」


「孝くん。それは流石にちょっとだけ酷いんじゃないかな?いくら政広くんが気持ち悪くて頭も良くなくて、不潔で学年中の女子全員に嫌悪されている通称《変態政広》だとしてもそこまで言わなくても……」


「やめろ勇馬。もう政広のHPは0を通り越してマイナス値だ」


「ひぐっうっぐ…う、うぅ……」


「あの〜?」


「ああ、アノさんすいません。何ですか?」


「いえ、どうやってあの《ロックウルフ》を倒したのかと思いまして…」


「ロックウルフ?」


そう、俺たちは今さっきまで茶色い岩の表皮?を持つ狼と戦っていたのだが(実際は蹂躙していた)おそらく、あの狼は強かったのだろう。俺たちにとっては大した脅威にはならないが。


「あの狼なら、ひたすら弾丸を叩き込んだだけで他は特に何もしてないですよ」


「はあ?」


アノさんはイマイチ納得していないようなので詳しく説明する。


「それじゃあ、例えを出しましょうか。アノさん、例えば岩を剣で切りつけたら岩はどうなりますか?」


「少し傷がつくだけで切れたり割れたりはしない」


「正解。じゃあ、剣で突いたらどうなる?」


「切りつけた時よりも深くて小さい傷がつくのでは?」


「それも正解。じゃあ、ノミで何度も何度も同じ場所を叩きつけていたら?」


「それは、岩が割れる?」


「正解です。それと同じで銃弾を連射しまくって同じ位置に何度も当てれば倒せます」


「へえ。そうだったのね」


こんな話をしながら俺たちはモルス火山へと向かっていった。途中、何度も魔物の襲撃があったが全て蹴散らした。魔物との戦闘(と言う名蹂躙)が終わるたびに俺はアノさんと戦闘の話を続けた。くどぅーや、稜からの余計なこと言うなオーラも有ったので極力、言わないほうがいいことは言わなかった。銃の名前、性能、どれくらい続けているのかなどの様々なことを聞いてきたがそれも軽く流した。


俺たちはそうこうしているうちにモルス火山へと到着した。ちなみに、俺とアノさんが話をしているのを視線で人を殺せそうなほど恨めしそうな顔で見ていた政広が居たのはある意味当然だっただろう。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「よし、んじゃあ野営の準備するか」


「「はーい」」


「あの、私はどうしたら…」


「何もしなくていいから座っててくれ」


「はあ」


「よし、んじゃ勇馬。テントよろしく」


「うん。ほいっと」


勇馬が能力でICSを取り出す。ICSは2000年代に入ってアメリカ軍で採用された個人用ドーム型テントだ。強化プラスチック製のポール二本をクロスして支える方式だ。風雨に対する強度が高く、又軽量で小さくして持ち運びがしやすいのが特徴だ。


俺はそれを勇馬から受け取り、アノさんへ渡す。


「これを使ってください」


「え?いいんですか?」


「はい。使ってください」


「ありがとうございます!」


俺は感謝の声を聞きながら俺たち用のテントの準備を始める。次に勇馬が取り出したのはM1931ポンチョだ。これは第二次世界大戦時にドイツ軍が使用していた物で、4枚を合わせて1つの簡易テントにする。ポンチョはこうしてテントになるだけではなく、負傷者を運ぶ担架の代用などの様々なことに使えるので気に入っている。


「コクローチ。そっちを引っ張れ」


「あいよー」


「勇馬は飯の準備を頼む」


「わかったよー。どこがいい?」


「それじゃあ……」


「あ、あの!」


「何ですか?」


「わ、私もお食事の準備を手伝います」


「「「え?」」」


俺を含め、3人とも声がハモった。


「あのですね?」


「何ですか?これでも料理には自信があるんですよ!」


「いえ、僕らが食べるのはレーションという軍用食で既に調理がされてる物なんですよ」


「え?」


「すんません。なのでそのまま座っててください」


「はい…」


「じゃあ勇馬。レーションもアメリカ軍のでよろしく」


「わかったよー」


こうして野営の準備が終わり、食事も終わって(ちなみにアノさんはレーションの味にめちゃくちゃ感動してた)俺たちはテントに入って眠りについた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



朝、俺たちは起きてレーション(自衛隊)を食べ、テント等の後片付けを済ませてハンヴィーに乗り込んだ。


そのままモルス火山の麓から中腹にあるはずの洞窟を目指す。走り出して1時間弱くらいか、目当ての洞窟が見えてきた。俺たちはハンヴィーを少し離れたところへ止めてから降りた。弘毅が召喚した軍人にハンヴィーを任せて洞窟へ近づいていく。


「うお、こりゃあ洞窟ってよりも穴、か」


「そのようですね」


「孝くん。どうするの?」


「うーん、そうだなぁ。あ、コクローチ。ちょっときて」


「何?」


「荷物をとりあえず全部地面に下ろして」


今、俺たちは通常装備の六五式作業服に黒いタクティカルベスト、コンバットブーツだ。それに加えてそれぞれ各員にバックパックとRPG-7が計6発分だ。政広には自分の分のRPGを地面に置かせ、代わりに八八式鉄帽をかぶせた。


「よし、これでいいな」


「これでいいって何が………」


「よし、行ってこい!」


「え⁉︎」


ゲシッ!


そんな音を立てながら俺は政広を穴の中に蹴り飛ばして落とした。


「うわぁぁぁぁああぁ…ぁぁ…………」


「よし。ん、どした?」


アノさんと勇馬が微妙な顔をしているが気にしない。2人が責めるような目で俺を見ている間に俺は降下用意を終わらせる。


「それじゃあ行こうか?」


「うん、分かった」


「あ、ああ。行こうか」


そして俺は何だか諦めたような顔をした勇馬とまだ混乱しているアノさんを連れて穴に降りていくのだった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「タカさん‼︎何すんだ⁉︎」


「あ、やっぱり生きてたか」


俺たちが下へ降りると政広が待っていた。装備は汚れているが怪我はない。


「生きてたか、じゃないよ⁉︎死にかけたんだからな⁉︎」


「いや、お前これくらいじゃ死なないだろ?半不死身なんだし」


「それでも、痛いし怖いんだよ⁉︎ていうか俺を落とす意味あった⁉︎」


「安全確認?」


「何で疑問形⁉︎」


「ま、無事ならいいじゃないか」


「良くないよ⁉︎全然良くないからね⁉︎」


「そんなことよりもここに魔物はいたか?」


「そんなことって……。ああ、魔物ね。ここにはいなそうだよ。奥に入る気配はあるけどね。それも中々、強力なやつの」


「やっぱりか」


俺は政広の報告を聞いて作戦を考える。恐らく奥にいるのは火炎竜だろう。竜なら銃弾が弾かれる可能性が高い。勝負を決めるのはRPG-7になるだろう。となると、取れる方法は限られてくる。


「よし、作戦を決めた」


「丼なのにするの?孝くん?」


「いいか?先ずは様子見を兼ねて普通に銃撃をする。この時は単射セミオートじゃなくて最初から連射フルオートにしておけよ?銃弾が効くようなら楽だが恐らく効果は薄いと思う。だから俺が指示を出したタイミングで勇馬と政広は全力で走りながら撃ち続けてくれ。お前たちに注意が向いてる間にRPGをぶち込む。いいな?」


「「おう!」」


「私は⁉︎」


「…正直に言って、邪魔です。安全なところで見ていてください」


「え?でも…」


「2度は言いません。離れていてください」


「…わかりました」


「よし、行くぞお前ら!」


「「了解ヤー!」」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



俺たちが歩き始めて3分ほど。火炎竜と思われる竜を見つけた。


「アノさん。あれが火炎竜ですか?」


「はい。あれが火炎竜ファイアドレイクです。でも…」


「どうかしました?」


「いえ、少し違うような気がして」


「?まあ、個体で細かいとこが違うものもあるのでは?」


「あ、はい。そうかもしれません」


「よし、それじゃあ行こうか?」


俺たちの火炎竜狩りが始まる。

どうもお久しぶりです。ソイボーイです!


久しぶりの投稿となります。ご意見、ご感想お待ちしてます。

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