第4話 報告と報酬 そしてちょっとの常識
第4話です
よろしくお願いします
異世界に転移して1日目。夜中に魔族達&魔王と戦った。
神に言われていたヒトの敵対勢力の王様を倒し、これでこの世界は平和。
俺たちは伝説として残り、死ぬまで優雅な生活を送ったのでした。
めでたしめでたし
何てことはなく、俺たちは魔王を倒した日から1週間ずっと荒野をハンヴィーで走っていたのである
まあ、そして愚痴を言いながらもプロローグの回へと続くのだ
「おい!街だぜ!よっしゃぁぁぁぁぁあ‼︎」
俺はハイテンションになっていた。
『稜!黙れ!うるせーぞ‼︎』
綺麗に揃った突っ込みが周り+トランシーバーから聞こえる
「あっはははははははっ!」
『笑えねーよ‼︎』
みんなも叫びながらも声は明るい。それはそうだろう。何故ならこの世界に来てから初めて俺たち(召喚した軍人は除く)以外のヒトに会えるのだから
「なあ、康平。街に入ったらまずどうしようか?宿とかいるかなあ?」
「宿は必要ないんじゃないか?第1俺たちはこの世界のお金を持ってないからな。俺としてはラノベみたいに冒険者組合があればそこに行きたい」
「そうかそうか。こちらα!b、c応答せよ!お前らはどこに行きたい?」
「こちらb!武器屋!あ、おすn…俺は奴隷みたい!こら!一斉に喋r…飯も!てめえらぉぁぁぁあ‼︎いいかげんにしろぉぉぉお!」
うん、bは今カオスだ。よかったαで
「こちらc!美女がみたい!風俗行きたい!娼館行きたい!」
うん、こいつらはこいつらで問題あるな。特に2番目と3番目。意味同じだし
「まあいい!取り敢えず街まで全力前進‼︎」
「「うおっしゃぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎」」
うむ、これでよし!
そして俺たちは街へと向かっていった。これから起こることなど考えもせずに
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はあ、はぁ………」
俺たちは今、街を出て近くの森へ逃げ込んでいた。なぜかというと……時間は少し前にさかのぼる
俺たちは街へと向かっていた。城門だろうか?大きな門の近くまで来たとき俺たちは120キロを超えそうなスピードで走っていた。しかもハンヴィーには大量の銃火器が。
ここで問題が起きた。門番達が一斉に魔法?を放ってきたのだ。何故なのかはすぐに分かった。
まず、異世界人から見ると馬にも繋いでない鉄の箱が人を乗せて物凄いスピードで迫って来たことになる。ハンヴィー=車、車=身近にあるもの。という認識の俺たちは気付かなかったが知らないヒトが見たら充分脅威だろう。しかも見たこともない武器を持って(武器と分かったかは別とする)やってくるのである。当然、迎撃されるはずだ。まあ、それで逃げてきたわけだか、そこは流石と言うべきか軍用ハンヴィー。傷1つ無い。むしろ魔法を跳ね返してたように見えたのは気のせいではないだろう。
「これからどうする?」
俺は康平に聞いた
「………やっぱり俺たちが敵ではないということをわかってもらうしかないんじゃないかな?」
「方法は?」
「うーん………それじゃあ俺たちはハンヴィーの横を歩いて行こう。武器も荷台に全部載せて手を上げながら歩くんだ。ハンヴィーも徒歩のスピードに合わせて走らせればいい」
うん。確かにそれなら大丈夫そうだ
「よし、んじゃそうするか。みんなもそれでいいな?」
『オッケー』
よし、それじゃあ行きますか!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結果として成功しました。
ラノベみたいに身分はごまかさずハッキリと神に連れて来られたと言ってやった。門番は驚いたみたいだけど銃やハンヴィーは俺たちの世界の物だと言ったら納得したらしい。
俺たちは王様とやらに会うらしい。玉座の間とかいう所に着くまでに色々な事を教えてもらった(ちなみに俺らは今馬車で移動中)。
この国はライ王国というらしい。今この国を治めているのは第56代国王ソーシ・デ・ライというヒトで、魔族達との戦争中。
魔族に立ち向かうため国力を上げて勇者などを育成しているとのこと。俺たちが魔王を倒したことは言わなきゃいけないだろうから、その勇者育成とかはとんだ散財だな。
ちなみに国のことではなくこの世界の常識も教えてもらった。
冒険者ギルドについても教わった。
このギルドに登録したヒトは冒険者になることが出来る。冒険者になったヒトは依頼を受けてこなしていく。ランクというものがあって下からE級、D級、C級、B級、A級、S級、SS級、X級となっていく。
A級までいけば上級でB級は生活には困らないらしい。E級、D級、C級は初心者でC級までいけば普通の依頼を受け始めるらしい。
S級、SS級は滅多にいない。だが、天才の領域というわけでもなく過去に努力でSS級まで登り詰めたヒトもいるということだ。
X級は化け物とまではいかなくても最強の称号である。冒険者ギルド創設から今までに2人しかいないらしい。
入会には1人あたり銅貨3枚かかり、年会費は1人あたり銀貨1枚だということだ。
この国の(ヒトの国の)貨幣は統一されており、魔金貨、霊銀貨、金貨、銀貨、鉄貨、銅貨となっている。
日本円になおすと、魔金貨=10億円、霊銀貨=1000万円、金貨=10万円、銀貨=1万円、鉄貨=1000円、銅貨=100円となる。
霊銀貨はたまに上級貴族以上が使うらしいが、魔金貨に至っては世界に数枚しか残っていないらしい。なので大きな買い物は基本金貨で行う。
そんなこんなで話しを聞いていたら城に着いてしまった。城の中を案内さんについて行きながら玉座を目指す。
ちなみに俺たちは皆、勇馬の能力で出した六五式作業服に黒いタクティカルベストを着用し、コンバットブーツを履いている。
なぜ六五式作業服を着ているかというと、それなりに清潔であり、それでいてこの世界にはないものだからである。
元々、六五式作業服は1973年に迷彩服1型が出されるまでは戦闘服として使われていた。つまり、戦う意思もあると暗に示しているのである。まあ、俺含め全員が銃で武装しているので戦闘の意思は伝わるだろう。これで相手も大袈裟に出ることはあるまい
そんな事を思い出しながら歩いていたら玉座に着いた。扉の横にいた鎧を着た兵士が横に退いた。
第1印象。国王は予想通りおっさんでした。なんか安心した。これで超絶美少年とかだったら迷いなく撃ち殺していたかもしれない。
国王が話しかけてきた
「………儂がライ王国の第56代国王である、ソーシ・デ・ライだ。お前達の事はだいたい聞かせて貰った。詳しく話してもらえないか?まず、名から伺おう」
俺は康平を小突いた。こういう時こそ隊長の腕の見せ所だろう。程よい地位で甘い汁を啜って面倒くさい事は上にお任せ。ああ、副隊長最高
思考が逸れたが気にしない。俺は再度康平を小突いた
「…僕がTFの隊長を務めている工藤 康平です。隣が副隊長の中藤 稜で、そこから後ろは隊員です。そちらから見て左から順に堀田 孝、秋根 政広、三浦 勇馬、山城 ジョン、寺本 竜志、古井 拓也、高橋 克、松下弘毅です」
「ふむ、なかなか多いの。では康平よ、入ってきたときから聞きたかったのだが、その格好とお主らが持っている物は何じゃ?」
「この格好は六五式戦闘服と言います」
あれ?康平のやつ作業服を戦闘服って言いやがった。警戒心ハンパねぇー
「戦闘服とな?普通の戦では鎧を着る物だがそれは何故じゃ?」
「僕たちの世界では戦闘の際、このような服を着て、ベストやブーツで足りないところを補強します。今回の六五式戦闘服もここまで戦闘をしながらだったもので着たままでございます。これでも新品に換えているので格好については無礼を許されたい」
「戦闘を?ここまでに戦闘をしながら来たのか?」
「はい。幾度となく戦ってまいりました」
嘘をつけ嘘を。俺は思わず心の中で突っ込んだ。今まで戦闘をしたのは俺と康平はケルベロス戦と魔族軍で2回。他のメンバーは魔族軍だけの1回である。まあ、ハッタリをかましとくのも良いかもしれないな。実際こっちは現代兵器で武装していて負ける気は全くしないしな
「そうか、ここまで戦闘をしながら来たのだな?それはさぞ疲れたろう。高級宿をとらせる。存分に休むがよい」
「これは誠に感謝申し上げます。ですが僕たちのような若者ですと高級宿では身分が合わずに眠れぬかもしれませんので普通の宿で結構でございます」
おい康平。てめぇ、何余計なことを言ってんだ。
多分、康平以外の全員が思った
「そうか。ならば普通の宿をとらせる。もうひとつ、その皆が持っている物はなんだ?」
「これは銃という武器でございます。これを使い僕らは敵を倒してまいりました。この経験を活かして冒険者としてこの世界で生きていこうと思っておりますのでよろしくお願いいたします」
「ほう、銃とな?我が国にも銃はあるがその様な物とは少し違うのお。まあ良い。冒険者になるならばついでに手伝ってもらいことがあるのだかいいか?」
「………なんでございましょう?」
「今、我らは魔族と敵対関係にある事は知っておるな?」
「はい」
「この魔族軍殲滅を手伝ってもらいたい。報酬は出そう。どうじゃ?」
ほら来た。だが全く問題はない。何故なら俺たちは既に魔王を倒したから
「つまりは魔王を倒す手伝いということですか?」
「まあ、そうじゃな」
「ならば問題ありません。既に倒してありますから」
「は?」
「魔族軍の魔王はデル・ガントでよろしかったですよね?」
「ああ、そうだが?」
「ならば大丈夫です。此処に来るまでに軍諸共殲滅をいたしました」
「何⁉︎」
玉座に激震が走る。そりゃそうだろう。敵の魔王を倒した奴らがこんなガキだなんて信じられないだろうからな
「………ならば証拠はあるか?」
「証拠、でございますか?」
「そうだ。魔族は倒されると紙を出す。魔物も同様だ。倒したと言うならばその紙を持っているはずだろう」
あ、あれかな?なんかいっぱい地面に転がってた死体から生えてたレシート見たいのがあったんだっけ。情報とか書いてあったし一応全部集めてたんだった。
「はい、康平」
俺はレシートが入った袋を康平に渡す
「ありがと。では王様。お確かめ下さい」
康平はレシートが入った袋を国王に渡した
「‼︎‼︎⁉︎た、確かにこれはデル・ガントのものだ。しかも他の幹部や兵たちのまで………」
軍諸共殲滅をしたのは信じてもらえたようだった
「……………そなたたちの働きを讃え、賞金を贈りたい。少ないが受け取ってもらえるかな?」
「はい、喜んで」
俺たちの完全勝利だ。この場で飛び上がりたくなったが我慢する
「では、受け取ってくれ」
そう言って国王から直接袋を渡された。重そうだ
「それと勲章を皆に受け取ってほしい。1週間後にまた来ていただけるか?」
「はい、喜んで」
「ならばよかった。今日はこのまま宿へ送らせよう。必要な物はその貨幣で揃えるといいだろう」
「わかりました。ありがとうございます。それでは失礼いたしました」
「うむ。では1週間後に」
「はい」
そう言って俺たちは宿へ案内された。普通の宿で大部屋を借りて貰った20人は入れそうな部屋に10人なんだから1人あたり2人分のスペースがあることになる。
高級宿も残念だがこれはこれで贅沢だ。
俺たちは部屋に入った。
「それではこちらがお部屋の鍵でございます。何か不都合なことがありましたらフロントまでよろしくお願いいたします」
「わかりました」
康平が応対をする。そして扉が閉まった。1秒、2秒そして
「よっシャァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼︎」
5秒を過ぎたところで俺たちは大声をあげた。完全勝利だ。
「やったな康平!」
「疲れたぁ」
俺が声をかけると心底疲れたような声で反応してきた。
まあ、疲れただろう。
俺たちはその後近くの食堂に入って飯を食べた。袋に入っていた金貨を1枚持って行ったがお釣りに銀貨が2枚帰ってきた
「よし、みんな。今日はこれで寝よう。明日からはこの国を見回るぞ!」
『はあーい‼︎』
「よし、それじゃあおやすみ!」
『おやすみー!』
こうしてライ王国での1日は終わった。だがこの後俺たちはさらなる面倒ごとに巻き込まれるのをまだ知らない。
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