3人の勇者の力
「さて、どうする?目の前に前回の魔王がいるんだ。精霊的には倒したいだろ?」
「た、確かに殺したいですね。でも―――」
「倒せないし、殺せもしない。ただ目の前にいるだけだろ?」
「くっ!!」
「でも安心しな。痛みはないようにする。だから安心してあいつらを―――俺に預けろ」
「・・・いやです」
「いや?なぜだ?お前は俺を殺されるしか選択肢が残っていないんだ」
「そうかもしれません。でも私だって・・・やらなきゃいけないことがあるんです!!」
目の前には過去の魔王兼勇者の力を持っている奴がいるのにこの精霊は目の色を変えない
たいした覚悟だ
そして、微妙に気に入った
「チャンスやろか?」
「チャンス?そんなの与えてあなたの徳はないでしょ?」
「いや?そうでもないぜ。案外あるかもしれないんだ」
「・・・どういうチャンスですか?」
「簡単だ。今度こそ4人本気で来い」
「!!? まさか、あの子達が本気を出していないのを・・・」
「知っているし、お前が微妙に加勢していたのも知っている。だから来いよ。本気でな」
もしかしたら、俺の出番はないかも知れないな
3人の勇者の力も知りたいし、この精霊の追放なども気になる
ここに連れてきてくれてしかも、勇者まで紹介してくれたので十分だったがそれ以上があるな
この精霊
案外、化けるかもな
「場所は俺が今から作る。お前らは入ってくるだけでいい」
「わ、わかりました」
とりあえず、今の魔王にばれないように場所を作る
まあ、魔法を使えばさっきの空間位なら作れるはずだ
そんな感じの魔法を唱えて、待つ
そして、数時間後
「またせたわね」
金髪の子供勇者が来た
さっきとあまり変わっていない
変わっているとすると・・・
持っている武器だ
さっきとは違い黒髪の子が持っていた剣を持っている
なるほどな
武器を取り変えて本来の力を使っていないのか
うまく手加減できた理由がわかった
ちなみに、黒髪の子は本を持っていて緑色の白衣を着た子は2丁拳銃を持っている
多分、黒髪が魔法で緑の髪の子が銃だ
「それが本気か?」
「そうよ。・・・その前にあなたは武器なしでいいの?」
「いいよ。ハンデだ」
「へえ。よゆうね。でもいつまで続くかわからないわよ?こっちにはまだ隠し玉もあるんだから」
「まあ、グダグダ言わずに来いよ。こっちはもう準備できてんだ」
「そうですよね?私たちの勝ちです!!」
後ろから声が聞こえた
精霊の声だ
話している間に俺の後ろに回ったんだろうな
でも、おしいな
「悪いな。わかっていたよ」
俺は小刀を持った精霊を捕まえた
とりあえず、こいつは動けないくらいまではダメージを―――ってもう来たか
こっちに全速力で駆けつける金髪の子供勇者
そして、その後ろで魔法を唱えて向かってくる勇者を強くして、白衣のやつが2丁拳銃で撃ってくる
息がぴったり合っている
「はあ!!」
迷わずに俺が精霊を掴んでいる腕を切ってきた
俺はとっさに放す
そして、安心する日まもなくに銃弾の雨が襲ってくる
避けようと足を動かそうとすると、足が鉄の塊みたいに動かない
「あちゃー、やっちゃたかな?」
仕方なく受ける
一発一発の銃弾が重たい
なんとか防ぎ切ったのだが・・・
「これで終わりよ!!」
いつの間にか囲まれている
3人の勇者に三角のように囲まれて―――
「「「ライトニングクロス!!」」」
雷が俺の上空から俺に襲い掛かってくる
結構なダメージになるな
もし・・・モンスターとかならだけど
まさか元勇者の俺が勇者しか使えない技をくらってしまうとか
10年前は絶対に考えもしない光景だっただろうな
「やった!!勝った!!」
俺は煙に包まれているために子供勇者たちからは姿が見えない
だから、勝ったと思っているんだろうな
でも、現実の厳しさを教えてやるか
「勝った!!か―――!!」
「よう」
拳を腹に決める
その瞬間に煙は晴れて殴られる状況がみんな見える
ほかの勇者たちは動きもしない
ただ見ているだけ
「カッハ・・・」
そう言って倒れた
一撃だ
なるほどな
金髪の子は防御力が低いっと
「よくも!!!」
「アースブレイク!!」
「おっ2人がかりか」
俺は金髪の子を抱えてその場から離れる
ついでにそこの地面は抉り取られるような感じになった
金髪の子をベンチに置いて―――
「いっせいそう―――しゃ・・」
「まじ―――・・・」
「悪いな。格が違うんだ」
両方に腹に拳をいれた
どちらとも声を出すのはつらそうな感じになって気絶した
「さて、あとは精霊・・・お前だけだ」
「どうしてですか?私だけを残したのは・・・」
「へえ、わかってたんだ。わざわざ攻撃しなかったの」
「当たり前ですよ。だってさっきから私の前で全員を倒しています」
ようやく姿を現した精霊
いや、気配だけで倒すことはできた
だけど、こいつは最後に倒さなきゃいけない
「大丈夫だ。お前が本気出しても―――俺は倒せないから思う存分に来い」
「・・・ありがとうございます」
手招きして俺は挑発する
そして、精霊はお礼を言う
ちゃんとわかったのかな?俺の狙いが・・・
精霊を―――精霊の力を吸収する目的が・・・
「数秒待ってください。本気でやります」
「ああ、数秒っていうか数秒でいいのか?」
「・・・」
聞いていない
集中しているみたいだ
さて、子供3人は安全な場所にでも隔離するか
俺は金髪の少女をここに連れてきて一緒に寝かせるように置く
この子達を・・・勇者にしなきゃいけないんだよな
可哀そうにな
多分、歳は中学生ぐらいなはずだ
三つ子じゃなく多分、仲良し3人組だったんだろうな
そんな子達が急に魔王と戦わないといけないんだ
俺と違って仲間は―――いや、いるか3人なんだから
「終わりましたよ」
「そうか。こっちも終わったところだ」
魔法で結界を作り終えたところに話しかけてきた
なるほどな
魔力の質が変わったことまでが手に取るようにわかる
これはちょっと・・・本気でやるか