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三、金の王子様と能力者の性 ③

短いです。


 先日シンが世話になった病院へ駆け込むとココを医師のサイモンに引き渡す。


 彼は素早くココの身体を確認すると、足の治療を始めた。不安げにラビはシンの横を離れなかった。

 目の前で流されるココを目撃したのだ。怖かったのだろう。

 嫌がれるのを承知で頭を撫でてみる。

 案の定、ラビは横に飛びのいたが元気はない。


「シン、お前ぇの応急処置のおかげで大事には至ってない」


 サイモンはひと段落着くと、振り返ってにかっと笑う。


「ココ、大丈夫なの? 起きないの?」


 一緒に遊んでいたラビは、サイモンににじり寄る。


「大丈夫、大丈夫。今は薬で眠ってるだけだ」


 ラビは一安心したらしく、ココの顔を覗き込んでしばらく離れなかった。





「シンって色々できるようだね」


 感心したように、呟いたのはオリビアだった。


「えっ?」


 シンは食事が終わり一階のソファに腰掛けてオリビアに借りた本を苦心しながら読んでいるところだった。


「どういうこと?」


 目線を上げて聞き返すと、食器などを洗い終えたオリビアがシンの隣に腰を下ろしながら答えた。


「サイモンさんに聞いたよ。応急処置できるんだって?


 それも、すっごく的確な。どこで、習ったの?」


 興味有り気にオリビアはこちらを見ている。


「どこで…うーん。王都の…学校で習ったんだ…」


 本当は、軍の基礎知識として叩き込まれたんだけど。

 簡単な手術もできるが、シンのドジぶりを知る者は頼んでこない。多分、大事件が起きると思われていたのだろう。


「学校? 行かなかったんじゃないの」


 オリビアが首を傾げる。

 自分が、オリビアに告げた言葉を忘れていた。これじゃ矛盾が生まれるではないか。


「…あ、仕事に就いてから行かされたんだよ」


「ふーん、そうなんだ。何していたの?」


「仕事は…簡単な情報整理とか」


 目線を合わせずに、そらしつつ答える。


「でも、畑仕事も詳しいってココが言ってたわよ。それは?」


 次々と核心に迫る質問を投げられ半ば自棄になって言う。


「実家が、農業をしていたんだ。とっても貧乏なね。だから、家を出て王都で仕事をしていた」


「そうか、だから両方できるんだね」


 納得したように笑うオリビアにシンも尋ね返す。


「じゃあオリビアは、あの館でどんな仕事してるの?」


「お館様の仕事を、手伝っているんだよ。言ったじゃない。大体シンも何で隣国に行こうとしてたの」 


 オリビアが、すねた様に顔を逸らす。

 どうやら、オリビアはシンにその事について話すつもりはないらしい。

 今日は互いにここで諦めるしかなかった。



シンがちゃんと自発的に能力を使ってます…!

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