KOMA:「"KOMA" 柴犬型機体軍団、出動す」
日没後の新宿副都心。
かつて賑わいの象徴だったその街並みは、今や立入封鎖区域に指定され、ゾンビ化患者《NRV感染軽中等度群》が彷徨う緩衝地帯となっていた。
廃ビルの屋上に黒い影が降り立つ。
「KOMA-4、システムオンライン。生体反応検出、30秒ごとに更新。モード:《軽感染者対象・治療優先》」
銀色のメダルに丸菱重工のロゴが光る首輪をつけた、柴犬型アニマトロニクス「満KOMA」は、わずかに鼻を鳴らして風を読む。
その背後、建物の縁からぞろりと顔を出す個性的なKOMA軍団たち。満以外のKOMAのAIのニューロチップは並列化により均質化をしても成長に応じて個体差が生じるのだ。
▽KOMA隊列
・KOMA-7 “ピエロ”:カラフルな首輪に、アヒルのおもちゃを噛んで出撃。外見はおどけているが、体内には超高性能スティム噴霧機構。
→「はいはい、治療の時間だよ〜♪おくち、あーんして〜♪」
・KOMA-9 “ロクさん”:黒とオリーブドラブの迷彩パターンに、無骨なスパイク付き首輪。セリフはほぼ全部カタカナで叫ぶ。
→「ア、アレ、カンセンシャ。テキ、ト、ミナス。ソッコウ、ヤクザイ、トウニュウ!」
・KOMA-2 “レイちゃん”:美少女AIを模したボイスユニットを搭載。首輪はピンクのリボン付き。軽症患者に対してのみ行動。
→「もぉ〜、人間ってば無茶しちゃって〜! ハイ、これ飲んで!」
・KOMA-13 “フルメタ”:旧軍事用ボディの流用。見た目は柴犬というより装甲獣。全身チタン合金の凶悪な耐久性。
→「安全距離確保……削除開始」
▽作戦名:第27回《市中浮遊感染除去作戦》
満KOMAの指令が響く。
「各機、フェーズAを開始。軽症者には経口ワクチンを、ゾンビ化傾向強の個体にはスタン散布+捕獲行動を優先」
ゴミの散らかったアーケード、ローソン跡地、アイドルカフェ跡の階段裏——
KOMA軍団は一斉に街へと散開した。
▽交戦ログ:22時34分、歌舞伎町二丁目
「ぎゃああああッ!」
ゾンビ化患者が低くうなり、歩道に這い出てくる。
ピエロKOMAが跳ねながら接近。
「だーめっ!路上寝は禁止だよ〜♪ はい、おクスリ注射しまーす!」
背中のノズルから、治療用ナノミストが一斉噴射。
患者は数秒後に呼吸を整え、硬直を解いた。
「……さむ……い……ありがとう……」
「どういたしまして〜!またね!」
▽そのころ、満KOMAとフルメタKOMA
「地下駐車場、患者4名確認。うち2名、過剰興奮状態」
「ヤクザイ、ブッコメ」
「……おい、待てってフルメタ。殺すなよ、治療優先だってば」
「了解。削除保留。スタン→ワクチン投入に切り替える」
「それでいいんだってば……ほんと君たち、火力大好きだよね」
▽作戦終了間際、美鈴の声がモニター越しに入る。
「満……また子供みたいな顔になってる。あたしのとこにも寄ってよね?」
「……今夜はお前より、犬がモテるみたいだぞ」
「だったら……次は猫型で来なさいよ。爪研ぎ用意して待ってるから」
▽深夜2時、掃討完了
戦線に戻ったKOMA軍団たち。
レイちゃんは小児科の壁にラクガキを残し、ロクさんはベンチでバッテリー切れ寸前の寝落ち。
ピエロはどこからか拾ったガチャガチャのカプセルで遊び、フルメタは終始、物陰で周囲を警戒し続けた。
その中央に、満KOMAが座る。
首輪のメダルが月光を反射し、街を見下ろすその瞳は、どこか誇らしげだった。
【あとがき的注記】
彼らは兵器ではない。
人類の絶望に“笑い”と“優しさ”をもたらす、最前線の“癒し系”だった。
でも、やっぱり——
「KOMAって名前の由来? “こまったちゃん”だよ、ぜんぶ」
満はそう言って、いたずらっぽく笑った。
【作者的注】
これは決して甲〇機動隊のタチ〇マをパクった訳ではありません。参考にさせていただいただけです。士郎正〇先生ごめんなさい。




