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偽物聖女は追放されて当然ですから、決して戻りません。

作者: ぽんぽこ狸



「……様……、イーリス様っ!」


 名前を呼ばれて、イーリスはぱちりと目を覚ました。目の前にいる侍女の顔は見慣れたお付き少女である。


 そんな彼女はイーリスが目を覚ましたことにほっと安堵の表情を見せてそれから表情を引き締めていった。


「急患です。処置をお願いしたいとのこと」

「……わかりました。……ええ、ん、すぐ行きますからね」

「お疲れのところ申し訳ありません」

「いいえ、構わないのです。これが使命ですから」

 

 イーリスは自身のことを気遣う侍女に、あまり心労を掛けないように笑みを浮かべて言葉を返す。


 たしかにまだ日も上っていないような朝というには暗すぎる時間帯だが、それでもイーリスにとってはいつものことだ。


 それにむしろこういう時に対応するために、靴を履き、常に人前に出られるようにソファーで眠っているのだ。起こしてくれなければこの苦労も無駄になってしまう。


 ……だからこそ、逆にありがたいですよ……まぁ、それはそれとして眠たいのはかわりがありませんけど。


 自然と出てくるあくびをかみつぶして、イーリスは侍女から差し出されたお水を飲んで処置室の方へと向かう。


 ふらふらとした足取りも、少し歩けばいつものたしかな足取りに代わり、教会の清潔で大きな寝台が用意されているそこへと入る。


「っ、ひっ、ひっく、痛い、痛いよぉ、ママァ」

「しっかりなさい、大丈夫ですよ。……ほら、もう聖女様がいらしてくださったわ」

「お待たせしました。保護者の方は少し距離を」


 ベッドのそばで小さな子供の手を握っていた女性に指示を出し、イーリスは怪我の具合を見るために、ベッドの上で呻いている少年のことを覗き込んだ。


 つんとした鉄っぽい匂いが鼻をついて、肉が裂け、骨が露出している様は酷くグロテスクだ。


「大丈夫ですよ。すぐによくなりますからね」


 しかし、そんなことで顔をしかめてはいられない。常人ならば取り乱してしまうようなことでも多くの人を救うために活動している水の女神の加護を得た聖女であるイーリスにとっては日常茶飯事だ。


 酷い怪我も、取り返しがつかないような病気も、流行のベルサリア王国をむしばんでいる病だってイーリスの手にかかればたちまち治癒し、残るのは神の加護に感動している患者だけだ。


 貴族だろうと平民だろうと関係なく、昼夜も問わずにイーリスはその加護をふるい多くの人々を苦痛から解放してきた。


 いちいち自宅の屋敷から呼び出されて教会なり、事故現場なりに行くのには手間がかかりすぎるということで、国で一番大きな教会に住み着き文句の一つも言わずに国に貢献してきた。


 その功績は国王から直々に第二王子の妃に指名される程であった。


 将来国を支えるために公爵位を与えられることが約束され、王弟という国の中でも特別な立場になるファビアンとともに、国を内側から支えていく。


 それはとてもイーリスにとっても誇らしいことだった。


 けれどもそれは国民から見た、イーリスの姿であって、本当はイーリスは自らのことをそれほど素晴らしい人間だなどと思っていない。


 ……っ、……。


 聖女として魔法を使うと、魔法石を握りこんでいる手から痺れるような痛みが走って心臓がいやに早く鼓動する。


 胸が苦しくドッと汗が噴き出して、それでも吐息が何とか震えないように勤めて平静を装った。


 次第にふさがっていく傷跡に、イーリスはよかったと毎度、酷く安堵するのだ。


 今日も今日とてきちんと、聖女の魔法を扱えている。


 ……この時ばかりは何度経験しても慣れませんね。


 そんなふうに、とても強靭とは言えない自分の心臓を自嘲した。


 体に合わない強大な力を持った魔法、それは決してイーリスのものではない。


 自身の力ではないからこそ、使うときには苦痛ともいえる体の変化にさいなまれて、患者には見えないところで脂汗をかきながら人を癒しているそんなちっぽけな存在がイーリスだ。


「はぁ、……はぁっ……っ、……あれ? あれ?! もういたくないっ、すごい、ぜんっぜん痛くないよ!」

「突然動くのは、よくありません。女神の加護のある魔法ではありますが、それでも出来る限り安静にしてくださいね」

「わかりました。ありがとうございます! 聖女イーリス。ああ、よかった本当にっ! よかった!」


 当たり前のように目の前にいるイーリスを聖女だと認め、お礼を言って抱きしめあう親子、その光景を見てイーリスはやっぱり素直には喜ぶことが出来ない。


 ……だって私は本物ではない、偽物ですから。


 心の中でそうつぶやく。実際のイーリスには加護のある魔法もなければ、聖女の証である胸の中心の聖痕もない。


 イーリスは人を助けるのがなにより好きだ。この時ばかりは、なんのしがらみも苦しみもなくなり誰もが本当の意味で喜びの表情を浮かべる。


 その本当の心がイーリスは好きだ。けれども、イーリスはずっと嘘をついている。


 だから心の底から本当の意味で彼らとその喜びを分かち合うことはできない。


 ……でも、本当でなくても嬉しいんです。私の力で無かったとしても。


 小さく笑みを浮かべて「また何かあれば、いつでもいらしてくださいね」と口にしつつイーリスは身を翻してその場を離れる。


 それから腰につけているポシェットにきっちりと魔法石を仕舞い込んで、ぱちんとスナップを閉じた。


 その魔法石は、イーリスが聖女を語るうえで最も大切な物。


 本物の水の女神の聖女の魔法がきざまれている。彼女は、イーリスの双子の妹。名前はステファニー。


 とても愛嬌があって可愛らしい父と母に大切にされている女の子だ。


 神聖な白髪に、水の女神の聖女らしいブルーの瞳、たしかにイーリスだってまったく同じ養子をしているけれど、本物の彼女は偽物のイーリスに比べれば輝きが違う……とイーリスは思う。


 昔から癇癪の多い子で、彼女の負担にならないように、双子で体質的に似ているはずのイーリスに彼女の代わりを務めて人々を救うように父と母はイーリスに言い含めた。


 それがどういうことで善なのか悪なのか理解できないような幼いころから、イーリスはそうしてはるか昔にステファニーから与えられた魔法石を使って、聖女の力を行使してきた。


「お疲れ様です。イーリス様。この後はどうされ━━━━」

「聖女イーリス! 魔獣の被害者がほかにも受け入れ可能か確認が来ています!」


 廊下に出たところで、侍女に問いかけられ、まだ時間も早いのでもうひと眠りしようと考えていた矢先、声をかけられた。


 イーリスはどうやら今日はしばらく眠ることが出来ないだろうと考える。


「夜分に申し訳ありませんが、如何ですか? 聖女様」


 窺うような司祭の言葉にイーリスはすぐに了承の返事をするように伝え、出たばかりの処置室へと戻る。


 こうして予期せぬ仕事が舞い込み、十分な休息が取れないことはままある。


 しかしそれでもイーリスは笑みを絶やさないように聖女然としていることを怠らなかった。


 なぜならたとえ偽物だとしても、救いを待っている人がいて、イーリスに希望を託して縋る人がいるのだ。


 そういう人たちに自分は偽物だからとひねた態度をとっても仕方ないだろう。


 それに偽物だとしても、イーリスの活動の結果与えられた、ファビアンとの結婚。


 それだけは、イーリスだけの本当の功績であることには変わりがない。今度の外交から国王陛下と王太子殿下が帰国すれば、はれて結婚へと一歩近づくことが出来る。


 そのために、イーリスの魔法を使う手にはより一層力がこもり、まだ動物たちも眠っているような時間からイーリスは気合いを入れて魔法をふるったのだった。







 ある日突然、イーリスの聖女としての生活は終わりを告げた。


 それは、イーリスにとって何の変哲もないいつもと変わらない日だった。しかし、教会のイーリスの部屋には騎士団の人間がなだれ込み、驚きに固まるイーリスを捕らえ王城へと移送した。


 ただでさえ筋骨隆々な男たちに囲まれて萎縮するイーリスに、騎士たちは何も配慮することなく事情もまったく分からないまま、王城での数日を過ごす。


 そして突然見張りのついた部屋から出されて、騎士に連れられてそれなりにおおきなホールに入る。


 来客や、パーティー用ではないそこは装飾の少ない木の壁に、重たい雰囲気の部屋だった。


 そこには国の上級貴族たちや、国王陛下や王太子殿下の不在により国を任されているファビアンもいる。


 そして何より、イーリスが座るように示された隣の席、そこには久しく顔を合わせていなかったステファニーの姿がある。


 彼女は心配そうな顔をしている両親に囲まれて、小さく笑みを浮かべていた。


「どうした、早く座れ! イーリス」


 せっつくように一番上座にいるファビアンに指示され、イーリスは多くの貴族たちにぎろりとした鋭い視線を向けられつつも、どうにか肩をすくめて小さくなりつつも、椅子に腰かけた。


 ステファニーと隣あっているとはいえ、なんだか裁判の被告人にでもなったような位置に、イーリスはこの状況に疑問の声もあげることが出来なかった。


「それではこれより、水の女神の聖女に関する査問会を始める」


 ファビアンは苛立ったような態度でそう宣言し、それからそばにいた側近の男性が、司会としての役目を果たすために一歩進み出て声をあげた。


「それではまずは状況確認から、意義がある場合には挙手をして発言の許可を求めてください」


 そこから、彼はイーリスが聖女として名乗りを上げたところからかたり始める。


 しかしそんなことはわかり切った昔の出来事だ。それよりも、イーリスは、どうにかファビアンと意思疎通ができないかと彼のことをじっと見つめていた。


 けれども目が合うことはなく、彼は椅子の肘掛けに人差し指をノックしていて、苛立っていることがわかる。


「十二歳を迎えたころに、ファビアン第二王子殿下との婚約の成立。それ以降住まいを中央協会へと移し、聖女の加護による魔法を利用し……」


 話されるイーリスの経歴に、段々と何が起こっているのかイーリスは理解しようとしていた。


 隣にいるステファニー、彼女に寄り添うようにそばにいる両親。


 証人としてやってきている貴族たちの視線。騎士たちの冷たい態度。


 ……わかっています。私は……でも……それでも、私がやっていたことは悪いことではないはずです。だってお父さまもお母さまも繊細なステファニーを守るために……。


 だから仕方のないことで、それに今までのイーリスがやってきたことはちゃんと認められた。それだけは変わらないはずだ。


 そう考えて、こちらを見てと心の底からイーリスはファビアンへと願っていた。


 しかしその願いも、その気持ちもどこにも届かずに続いた言葉に耳を疑った。


「流行の高熱に犯される病にも対処され、その功績は他国にも広まりを見せていました。……しかし、アンデルス伯爵家からの告発により、現在、水の女神の聖女イーリスには王族や国家をだまし聖女を語った詐欺罪の容疑がかけられています」


 静かに告げられるイーリスへの疑惑に、わかっているつもりになっていたイーリスは頭の中が急に真っ白になったような気がした。


「聖女イーリスは、聖女の加護の力を持つ妹ステファニーへと嫉妬を募らせ、両親すら欺き、ステファニーの力を自身が使えるように横暴を働いたと報告を受けています」


 …………え?


 そんなはずはない。


 イーリスは偽物だとばれてしまったのだろうということはわかっていた。それについてバレるときが来るのは仕方がないことだし、イーリスは本物ではない。


 たしかに良いことではない、騙すような形にはなってしまったけれども、それでやっと嘘をつかなくてもよくなってイーリスは内心恐れつつもほっとしているところがあったのだ。


 しかし語られた言葉はまったくもって本当のことではない。


 けれどもすぐに言葉が出ず、イーリスは本当のことを言って欲しくて家族の方を見た。


 するとすぐにステファニーはこらえきれないとばかりに口を開いた。


「そうなのっ! この人は、私が従うのを良いことに、私に魔法石を作らせて! こんな人もう姉でもなんでもない! ずっと恐ろしかった! 自身の名誉の為になんでもするこの人が!」

「そうよ。私たちも話を聞いてまさかとは思ったの。けれどイーリスならばやりかねないわ!」

「ああ、こんなこと認めたくないが、これでやっとステファニーに本当の地位を取り戻してやれる!」

「発言は、挙手を━━━━」


 まるでステファニーは悲劇のヒロインのように叫び、その声に同情の視線が集まっていく。


 彼女をかばう父と母にイーリスは唖然としてしまって、それでも、なんとか言葉を絞り出した。


「っ、そんな。嘘でしょう?」

「王族の方との結婚が決まって、私の力なのに! 私だけが女神さまに見初められたのにっ! お願いファビアン王子殿下っ! お分かりになるでしょう!? お父さまも、お母さまもこう言っている、本当の聖女は私なのっ!」

「あなたを……守るためにって……」


 必死にアピールするように言う彼女に、イーリスは呟くように語り掛けた。


 なにをどうするべきか、最善はわからなかった。


 確かに、彼女の力だ。


 間違いはない。


 けれども、イーリスはただそうするように言われて、それでも人を救いたいからと自らの魔力で魔法を使って、体に合わない魔法でも、魔力が足りない時でも必死にやってきた。


 本物らしくあれるように両親に甘えることをやめて、教会に移り住み、いつだって偽物なりにやってきた。


 ステファニーは人を癒したことなどない。力は持っていても、つかっていない魔力は少なく、常に使用してきたイーリスとは酷く差がある。


 やってきたことはイーリスの中にある。


 けれども、今この場で、誰一人として見方がいないこの状況でそれをつたえられる類の力はイーリスの中にはない。


「一度静粛に━━━━」

「ファビアン王子殿下、本当はあなたは私と結ばれるはずだったの! こんな教会に入り浸って、貴族らしからぬ生活をしている女ではなくて、私と……」


 ステファニーはファビアンに媚びるように言う。


 その様子を見て、イーリスはそうだと思い直した。


 たしかにステファニーの言う通りだ、貴族らしく優雅で落ち着きのある生活を送って流行に乗った話題のある楽しい女ではないかもしれない。


 けれどもそれもこれも、教会にできるだけ長くいるためだ。


 それを、この場にいる上級貴族は理解してくれないかもしれない。けれども、彼だけは……。


 王族に名を連ねてイーリスの功績を認めてくれた彼ならば……。


 あまり深い関係ではないし、彼との関係性はいいとも悪いとも言えないほどに交流もなかったそれでも、イーリスはやっぱり彼を見て願うような、気持ちになった。


 ……たとえ私が偽物でも、やってきたことは……。


「ああ、わかってる! ステファニー、もう説明はいい! お前らもこの様子を見ればわかるだろう! そこの病人が大好きなイカれた教会暮らしの女は私の妃になど相応しくない!」

「……」

「すぐに、真偽を明らかにする方法がある、聖女の魔法を今ここで我々の前でなんの細工もなく、使えること、それがそもそもの聖女たる証明になるはずだ!」


 ファビアンは立ち上がり、ばっとマントを翻し、様々な順序を無視してそう提案する。


 そうすると貴族たちはその考えに賛同するように、パチパチと拍手をして、ステファニーは勝ち誇ったように笑みを浮かべて「もう用済みなのよ」ととても小さな声でイーリスにぽつりと言ったのだった。





 偽物だと大勢の前で証明されたイーリスは長い間奉仕したベルサリア王国を追放されることになった。


 着の身着のまま放り出され、使用人も無く騎士に国境から外へと追い出された。


 当時のことはぼんやりとしか覚えていない。


 それから道中、自分はなんて馬鹿だったのだろうとか、どうしてこんな目にあうのかなどたくさんのことを考えた。


 隣国レオーニアへとつながる街道をぼちぼちと歩きながら、進んだ。


 最後にステファニーから放たれた言葉を思い出し、それでもイーリスはステファニーや自身を捨て置いたファビアンのことを恨み切れずにいた。


 だって、そもそもの初めから、イーリスが偽物などやっていなければこんなことにはならなかったはずなのだ。


 イーリスに非がある。だからもう、イーリスはどんなことがあっても分不相応に人を助けたりしないと心に決めた……ような決めないような。


 そんな抜け殻のようになって、適当に歩いた。


 幸い、野党に襲われるということもなく、イーリスには長年の酷使によって増大した魔力があった。


 それが今こうして、国を追われてそれから役に立つなんてなんて皮肉だろうと考えていた。


 ある時、街道の端に馬車も馬もそばにいない状態で、ぱたりと倒れている人を見つけた。


 彼は、このまま放っておけばあと数時間の命のように見える。


 虫の息とはまさにこのこと、その様子を見ても、イーリスの心は動かなかった。


 何も知らないふりをして通り過ぎて、きっとレオーニアでは偽物などと言われないように。


 そんなふうに言われて追い出されないように、そう思って歩く速度も変えずに数歩、進んだ。


「……」


 ヒューヒューと耳に残る小さな呼吸音、イーリスがどういうふうに思ってどんな事情があったって、彼はここで生きていて、誰かの救いを待っている。


「っ、……」


 それでもイーリスの気持ちはもうあんなことがあったからには動かない……はずであった。


「……っ~、もうっ!」


 しかし結局何もない街道のそばで、行き倒れている彼以外がいない状態で一人で怒って、それからイーリスは来た道を駆けて戻る。


 結局、聖女の魔法なんてなくたって、たちまちすべての傷や病を無かったことにできる素晴らしい力なんてなくたってイーリスは結局、何も変わらない。


 適性のある水の魔法で、完全にとはいかなくとも、彼がつらくないようにと魔法をかける。


 ふわりと風が吹いて、周りの木々がさらさらと音を立てる。薄らぼんやりとしている男性とふと目が合い、彼は丁寧に「ありがとう、ございます……」と口にした。


 その安心したような微笑みに、イーリスはやっぱり自分はこうなのだと、思ってしまった。


 途端に胸が苦しくなって、嫌な汗が出てくる。


 ……? もう、女神の加護のある魔法は私の元に無いはずなのに……。


 胸が酷く熱くて、彼は見る見るうちに回復する。


 その様子に、イーリスは瞳を瞬き、息をのんだのだった。







「もし、ほかにも感染が疑われている方がいればここを紹介してかまいません。それではくれぐれもお大事に」


 イーリスはそう口にして、一つ会釈をしてとても心の籠ったありがとうを言って去っていく女性の背中を見送った。


 街道から少し奥まった林の中に存在している小さな小屋、そこには診療所と看板を掲げてイーリスは住んでいた。


 背筋を伸ばしてきちんとした足取りで去っていく彼女に、イーリスは誇らしい気分になりつつも、いつまでも見送っていても仕方ないので扉を閉めて、昼食作りの続きをしようと腕まくりをした。


 ああして人を助けてからというもの、結局イーリスは、教会にいた時と似たような日々を過ごしている。


 今日も、紹介のあった女性を癒し終えたところだ。


 教会にいた時よりも忙しくないところはいい点だけれど、その分この家には従者や下働きの人もいないので自分でやらなければならないことも多く、暇な日々とはいかなかった。


 食事を作るために手を洗って、エプロンを付け直し準備ができたところでまたノックの音がし、イーリスは小さくため息をつきつつも今日は来客の多い日だと仕方なく思った。


「はーい、少し待っていてくださいね。今開け……」

「俺だ、イーリス」


 すると扉は、勝手に開き、そこからはイーリスよりも幾分身長の高い男性が顔を出す。


 彼はイーリスを見て、元気の良い笑みを浮かべて、目じりに小さく笑い皺を作った。


「……ハインツ様、突然ですね。まさか体調でも悪くなったのですか?」

「いいや、まったく」

「では、なにか怪我でも?」

「いいや、全然」


 彼は、イーリスの言葉に緩く頭を振ってこたえる。その様子は何故だか楽しそうだ。

 

 なんだか気の抜けるような会話だが、これでも彼は、こうしてイーリスが住みつかせてもらっているこの領地、レオーニア王国リースフェルト辺境伯家の立派な跡継ぎの男性だ。


 勝手に商いを始めて勝手に、治療を施し始めたイーリスをはじめは警戒していた様子だが、今では領地に益をもたらしているということで少々の支援をしてもらっているのだ。


 しかし、それでもイーリスの素性についての話はしていない。彼自身もイーリスがそれを話したがらないことを察してか一度も聞いてきたことはない。


 気遣われていると言えば聞こえはいいが、お互いに何も知らない関係で利用し合っているだけとも言える。


 だからこそ、やってきた彼にイーリスはつい警戒して、言った。


「なら、私を捕らえに?」

 

 問いかけると彼は、目を見開いて少し驚く。


「魔法使いの称号もなしに魔法で商いをして、ついでに通常の水の魔法では治らない病も治せるという噂の真偽を確かめるためにいらした……とか?」


 そう口に出して補足すると、彼は少し機嫌が悪そうに口をとがらせて言う。


「俺がそれほど、薄情な人間に見えるか? お前には、隣国からの流行り病の流入を防ぐっていう点でも酷く世話になってる。それなのに突然、俺がそんなことをするとでも?」

「……ふふっ、いいえ。そこまでではないと思っています。ただそれでも、以前いらしたときに、私の噂が独り歩きして探りを入れてきたり、する人間がいると苦言を呈していらっしゃったので……どうぞ中へ、お茶ぐらいは出しますよ」

「ああ、邪魔する」


 彼を中へと招き入れたイーリスは、彼に椅子を勧めてお茶を用意した。身分の高い人ではあるけれども、この家の中には彼の従者は入ってこず、いつもイーリスがお茶を出す係だ。


 ハインツはお礼を言って口をつけ、それから話を戻した。


「それで、たしかに言ったかもしれないが、そんな奴らは相手をするまでもない」

「そうなんですか、ハインツ様は優秀なのですね」

「それはなんとも言えないが、良いんだそういう話ではなくて」

「違うのですか? ならやっぱり具合が悪いのですか?」

 

 イーリスは、伝えたいことがある様子の彼にわざとわからないふりをして目を細めて悪戯っぽく聞いた。


 するとハインツは少し渋い表情をするが「そういう話でもなく」と丁寧に言ってそれからお茶を飲もうとして、それからやっぱりやめてイーリスを見つめていった。


「お前の顔を見に来たんだ。決してほかの用事でもなんでもない」


 真剣に言う様子に、どういうつもりなのだろうとイーリスは少し困った気持ちになるけれど、嬉しくないわけではなかった。

 

 どうして彼がそれほどイーリスのことを気に入ってくれているか、心当たりと言えば、最初に街道で助けた彼。


 それが彼の使いでベルサリア王国の領地へと出向いていた、使用人だったらしい。


 そこから話がつながりハインツとの繋がりも持つことになったのだが、心当たりといえばそのこと。


 もしくは、彼がイーリスのことを実は知っていて様子を伺いに来て、もし利用できるようならと考えているのかもしれない。


 彼も貴族、偽物のイーリスを追放した彼らとまったく違うというわけではないのだ。


「こんな、治療ぐらいしか取り柄の無い女にわざわざ会いに来るとは、よっぽど暇なのかしら」

「辺境伯家跡取りがそう暇な役職に思えるか?」

「だってでなければ可笑しいでしょう」

「別におかしくない、俺はまったくもって丈夫だしどこも悪くない。ただ、こんな何もない所で一人住んでいる女性がいれば気になりもするだろう」

「なら、心配ということですか。大丈夫ですよ。魔法もありますから」

「そうかもしれないが……わかるだろう?」


 問いかけられて本当は少しばかり理解はしているつもりだった。けれどもイーリスは確証がないものは信じるつもりもないのだ。


 それはファビアンのことで心に決めている。けれどもあまりにわからないふりをするのもそれはそれで申し訳が無い気がして、イーリスは困った笑みで返す。


「単に心配している気持ちもあるが、それだけでもない、お前は何という浮世離れしていて突然どこかに行ってしまいそうだ。イーリス、たまに顔を見に来るぐらい、快く受け入れて欲しい」

「どこかになんて行きません。行く当てだってないのですから」

「行く当てがあったら行きそうだと思うと、気になるからその言い方やめてくれ」

「……もう、要望の多い人ですね」

「お前は変わらずつかみどころがないな」

「ミステリアスでしょう?」

「……ああ」


 ハインツは少し、考えるように口をつぐんて、それから答えた。


 暴きたてたいとでも言うつもりだったのだろうかと考えてみる。けれども、それをされてはイーリスは難しい、知られて喜ばれる身の上ではない。


 けれども知ろうとすればきっと彼ほどの身分の人間だったならば、簡単に知ることが出来るはずだ。


 けれどもハインツはそれを引き合いに出すことはない。


 そしてイーリスも、わざわざ彼のことをきちんと敬ったり事情を説明して匿ってもらおうなどとは思わない。


 なにも知らない、もしくは知らないふりをしてくれているからこそイーリスは彼と砕けた態度で過ごせるこの時間がそれなりに好きだった。


 それをハインツもわかってくれているその確信があった。


「本当はもう少し、お前に近づきたいと思う気持ちもあるし心を開いてほしいとも思うが……イーリスが望んでいないからな。俺はそれほど余裕のない男じゃない」

「そう言っていただけるとありがたいです」

「だろう。ならもう少し俺に対する好感度を高くしておいてくれ、毎度来るたびに体調不良を疑われては本当に体調を悪くしそうだ」


 彼の言葉にイーリスはそれは困るなと少し笑ってそれから「善処します」と返す。


 そうしてハインツはしばらく、イーリスの家に入り浸り結局、昼食を食べて帰っていった。


 そんな穏やかな日々が流れる中、このままイーリスはなんとなく過去のトラウマを緩やかに払しょくして生きていくのだろうと想像していた。


 しかしそんな予測とは裏腹に、事態は動いた。






「やっと見つけたわ! イーリス。やっと、やっとこれで私も救われる!」


 いつものようにノックの音がし扉を開くとそこには、酷い隈に髪を乱暴に結い上げたステファニーの姿があった。


 彼女は、数人の騎士ともいえないようなごろつきを連れていて、彼女の変わりようにイーリスは言葉を失って彼女をまじまじと見つめてしまった。


「久しいじゃない、イーリス、ああ、やっと見つけた!」

「……ス、ステファニー」

「さあ、行くのよ私と一緒に、どうせあなたなんでしょう! 私にはわかるのよ!」

「っ、な、今更何ですか!?」

 

 彼女は突然イーリスの腕を掴み、ギラギラとした瞳でイーリスのことを見つめる。


 混乱するイーリスは、どうにかして対抗できそうなものを探すけれど相手には男性もいる。


 平民相手ならまだしもイーリスの持つ魔法はあまり戦闘に向いていないし、なにより人を傷つけるなんてしたことがない。


 それに、どうして彼女がここに、こんな様子でいるのか、まったくもって分からなかった。


 だって彼女は、聖女としての力を認められてファビアンと楽しく暮らしているはずではないのだろうか。


 教会にいた時同様引きこもりのような生活をしていたのでイーリスは国の情勢などにはあまり精通していなかった。


 その混乱した様子に満足したのか、ステファニーはにんまりと嫌な笑みを浮かべて、イーリスに顔を近づけて言った。


「とぼけたって無駄よ! どうやったのかわからないけれど、私の力! 私の聖女の力! 持っているのはあなたなんでしょう!? あれから、もう地獄のような日々だった!」

「っ、」

「せっかく私がファビアンと結婚するための準備が整ったのに、あなたのせいで台無し、お父さまもお母さまも、ファビアンだって、流行病に倒れてそれもこれも全部あなたのせいよ!」


 ……聖女の、力!


 彼女が何を言いたいのか、イーリスはやっと理解した。


 今はイーリスも持つこの力は、結局人を助けることをやめられなかったイーリスの元へとやってきた。

 

 胸にはいつの間にか強く聖痕が輝きを放ち、ステファニーの魔法石がなければ使えなかった加護のある魔法は、イーリスの手から放たれるようになった。


 偽物と言われたイーリスだったが、その力は今、イーリスの体に宿っている。


 それがどういう原理かはわからない、けれどもイーリスにも宿ったのだとイーリスはそのことを好意的に受け止めていた。


 けれども、そうではなかったのだ。


 女神の力は、イーリスにも発現したのではない。ステファニーから失われたのならばきっと、イーリスへと移ったのだ。


「きゃっ」

「大人しくついてきなさい! これでやっとまた、元の地位に戻れるっ!」


 嬉しそうに言う彼女に強くひかれ、後ろにいたごろつきが徐々にイーリスの家へと近づいてくる。


 ステファニーから力が失われたことは知ることが出来たのにあまりに、タイミングが遅すぎた。


 ……せめてもっと早くに情報を得ていれば、警戒することぐらいはできたのに。


 どうして私は……いつもこうなんですかっ。


 自身の鈍感さを苦々しく思いながらもイーリスは、一か八か決意を決めてステファニーの腕を振り払い、部屋の中へと籠城を決め込もうと考えた。


「ぐあっ!」


 しかし突然の野太い悲鳴に、掴み合っていたステファニーとイーリスの意識はその声が上がった方向へと向けられる。


 続く悲鳴と上がる血しぶき、最後の一人のごろつきが倒れるとその向こうから姿を現したのは、見覚えのある彼の姿だった。


 ……ハ、ハインツ……様。


 血を振り払って剣を鞘に収める淡々とした様子は、いつもの気さくな様子とはまた違って見えて鼓動が早くなる。


「ぎゃ、ぎゃあっ!! 人殺しっ、なな、なんなのぉ!! もう!」


 しかし、ステファニーの言葉にハッとしてイーリスは、すぐに彼女に視線を向ける。


「どうしてこうも邪魔が入るのよ!! ここを見つけるのにも散々苦労したのに!! そもそも、あなたが大人しく消え去ってくれればよかったのに! 偽物、私の偽物のくせに!!」


 取り乱した様子でステファニーは自身の髪を引っ張ってヒステリックに叫びだす。


 苛立った瞳でイーリスを見つめている。


「なんの力もない癖に! 私の人生の邪魔をしてたてつくんじゃないわよ!! さっさと私と大人しく来なさいよ! こんな場所で寂しく暮らしてあなただって国に帰りたいと思てんでしょ!?」


 ハインツのことを忘れて、言い放つ彼女に、イーリスはやっとぐっと握っていた手のひらを開く。


 そのまま、胸ぐらを掴んでステファニーの頬に強く手のひらを打ち付けた。


「っ、…………え?」

「……たしかに私は偽物です。あなたの偽物、誰にも認められないし、私は聖女なんかじゃない。正しくない嘘つきです」


 言うつもりもなかった言葉が心からあふれて言葉になる。


 結局人に手を差し伸べて、結局変わらなかったイーリスは、それでもたしかにイーリスが偽物だとしても、それが何より大切なことではないと知っている。


「大義のない私は、捨てられても、放り出されても、私のしたことへの感謝も栄光も無くたって当然のことでした。それはたしかにその通りです。けれどっ」


 いきを切らして、イーリスは続ける。


「私はあなたの偽物であっても、あなた達の道具じゃない、罪びとであっても、私は人を救いたい! それは大義も、恩賞もなくたって私だけが望んで、私だけがやったことです」

「は?」

「後悔はしていません。私はこれからも、手の届く範囲で人を救いたい。その気持ちを見ていてくれる人が必ず私には一人いるから。女神さまがこの気持ちだけは、力をふるうに値する本物の心だと認めてくれたから」


 胸元をぐっと押さえる。


 たった一人でも、イーリスの貢献を認めてくれる人がいる。そして助けた人たちはいつだってイーリスに、ありがとうと言ってくれる。


 偽物でも本物でも、救ったイーリスにだけ言ってくれる。


 本当は報酬などそれだけでよかったはずなのだ。


 だからもう、戻ることはない。


 イーリスは偽物だった、だからいらないと言われて、必要とされなかった。


 力を初めから持ち、生まれてこなかっただけで、イーリスのやってきたことよりも本物というだけの正しさを選ぶ様な人々を、そういう事にしか興味のない人々の元に戻るつもりもないし認めて欲しいとはもう思わない。


「だから戻りたいなんて思いませんし、本物だと知ってもらおうなどとも思いません。私は、私です。偽物でも本物でも。助けた人にとって、いてくれてよかったと思う相手になることが出来ればそれでいい」

「な、なにそれ」

「むしろ追放されてよかった。自分のやっていることを信じることが出来て、胸を張っていけますから。ステファニー、あなたもそろそろ自分の行いを見直して自らの力で何かを成し遂げてみてはいかがですか」

「……」


 言い切ると、彼女はぐっと目を見開いて、それからおもむろに振りかぶった。


 しかし、その手は高く掲げられたところでぐっと掴まれ、あっという間に、小さな悲鳴を上げてステファニーはガクッと意識を失った。


 その様子を見て、それからイーリスはステファニーの意識を奪ったハインツへと視線を向ける。


 彼は適当に、家の壁に寄りかかるようにステファニーを寝かせるとイーリスと目が合ってバツが悪そうに逸らす。


 しばらく宙を見て、それから従者の元へと一度戻って、タオルで返り血をぬぐう。


 ……案外、どうようはしていないのですね。


 ステファニーはその様子に少し他人事のように思ってそれから戻ってくる彼を見て、改めて悲しくなった。


 ……知られてしまいましたね。もちろん、助けてくださったことは嬉しいと思いますが……これではきっとこちらの国でも……。


 会話の内容を聞いていればわかる通り、イーリスは今、まごうことなき聖女だ。


 今度こそなんの偽りもなく、間違いない聖女だ。


 しかし、となればやはり、祭り上げられて今までのように……。


 そう考えると、気分が重たかった。イーリスはもう本当にこれだけでいいのだ、今だけで十分満足している。


 それにむしろ、そういうふうにされることに今は忌避感があるといってもいい。


 だからこそ、知られたくはなかったのだ。


「……イーリス」


 そばに来たハインツは真剣そうな声でイーリスを呼ぶ、小さく返事をしてイーリスはしょんぼりとしてその顔を見上げた。


「ええと…………なんだ、そうだな」


 気まずそうな様子に、こちらまでぎこちなくなりそうだった。


「…………実は俺はすごく耳が遠いってことで何とかならないか?」


 それからそう、少し投げやりにハインツは言って、その言葉にイーリスはキョトンとしてしまい「え?」と声を漏らす。


「ならないか? ならいないよなぁ、ああ、ダメか」

「それは、まぁ、だってどう考えても聞いていたでしょう? 薄っすら、知られているのでは思っていましたが……彼女が言った通りの生い立ちといいますか……」

「ああ、そうだな」

「あなたとしても、黙ってはいられないでしょう、確信を得られては……今まで通りには……」


 イーリスは何故か彼が思うはずのことを口にしてまるで促しているようであった。

 

 それに、ああしてマメに顔を出したのだって、なにか利用できるかもしれないと価値を感じていた部分があったからではないのか。


 こうして確証を得られたからには、イーリス自身のことなど考えるはずもない、そう決めつけていた。


 しかし彼はイーリスの言葉に、少し目を見開き、それから少し唇を尖らせて言った。


「なんだそれ、俺はそんなに薄情じゃない。そもそも、お前が素性を知られることを嫌がっているのに、それを明確にわかったからと言って、どうして利用すると思うんだ」

「……だって、貴族とはそういう打算的なものですし」

「……」

「私自身がどう思っていて何をしたいかなど……どうでもいいと……」


 彼が怒ったように言うのでイーリスは、ついなぜか叱られている子供のように言い訳じみた言葉を言った。


 そしてその言葉に彼はうーんと頭を唸って、それからイーリスのしょんぼりとした額に指をあててびしっと中指をびしっと弾いた。


 じんと痛みが広がる。


「いいわけないだろ。やっぱりわかってなかったか、ともかくこうして、イーリスの危機にはせ参じることが出来て良かった。そうだなこれからはもう少し騎士なり警備を置かせてくれると助かる」

「……」

「なんだ?」


 彼の言葉にイーリスは痛む額を抑えて、彼をじっと見てしまう。


「良いのですか。……これからも、ここにいて」

「ああ、だが、くれぐれも俺が利用目的でこんなことしていると思わないことだな」

「……良いのですか。私は私として、好きなことをしていて」


 ハインツは釘をさすように言ったがイーリスは、再度言葉を変えて聞き直した。


 その言葉にハインツは少し黙ってそれから、とても心のこもった声で「当たり前だろ」と返す。


 それだけで、イーリスはなんだか泣き出しそうになってしまって、とても嬉しかった。


 まるで、まるっと今まで生きていたすべてを認めて許してもらえたようなそんな気持ちになって体が震える。


 しかし身を翻した彼にやるべきことがあることを思い出し、彼が対処したごろつきたちやステファニーもどうにかしなければならない。


 おざなりな返事をして、ハインツの従者たちとともにイーリスは作業を始めた。


 けれどその日から、ぐっとハインツとの距離は近くなり、緩やかな日常は流れていく。


 穏やかな日々の中でイーリスは偽物でも、聖女でもなく、ただ手を差し伸べるだけの人として今日も診療所を営むのだった。






最後まで読んでいただきありがとうございます。


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