表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/209

44

昼からはシャンツァイが全員を相手にするというプログラムなので、訓練場の一角にある演習場にやってきた。


大きな丸型の石の舞台があり、そこに上半身裸のシャンツァイが立っている。


観客席はないので、アユカは用意してもらった椅子に座っている。


アユカの横にはグレコマ・エルダー・クレソン・アキレアがいて、何か飛んできてもグレコマとアキレアが風魔法で守ってくれるそうだ。


リンデンは、審判をするため舞台上にいる。


キャラウェイの訓練は午前中のみだったらしく、訓練場に姿はなかった。

後から知ったら「見たかった」と残念がるだろうなと、今からでも誰かに呼んできてもらった方がいいかなと考えていた。


だが、シャンツァイの筋肉を目にしたらシャンツァイの筋肉が頭の中を占領し、筋肉のことしか認識できなくなったのだ。

そのため、呼べていない。


「ホンマに美しいわ……」


シャンツァイは1分ほど相手をしたら、呆気なく場外に殴り飛ばしている。

赤子と遊んでいるような感覚なのか、汗一つかかずに一息もつかずに、次から次へと相手をしている。


ん? まだ暗殺者おった。

誰を殺したいんやろ?

うちか、シャンか、かなぁ。


それにしても、暗殺者の筋肉って似たり寄ったりやなぁ。

うちのイメージでいくと、もっとしなやかでもいいと思うんやけどな。

うーん、残念!


暗殺者を見つけたら、髪の毛を耳にかける仕草をして伝えると決めていたので、忘れずに髪の毛を耳にかけ直す。

暗殺者は、先に見つけていた新人の1人を含め、全員で3人いた。


「シャン、お疲れ様! めっちゃカッコよかった!」


数えきれないほどの騎士たちを相手にしたはずなのに、シャンツァイは涼しい顔をして舞台から降りてきた。

タオルを渡そうと駆け寄ったが、受け取ってもらえない。


「えっと……タオル……」


「拭いてくれ」


拭く!?

シャンの筋肉を触るってこと!?


無理無理無理無理!

恥ずかしい!!


でも、触ってみたい……でもでも、恥ずかしい!


「ほら、早くしてくれないと風邪引くだろう」


「わわわわかった」


緊張を飲み込むように喉を動かし、震える手でシャンツァイの胸にタオルを当てた。


お、おお、おおおおおおお!!!

かったい! なにこれ!? かったい!!

すっごーい!!!


リンデンの筋肉とは違う質感に、恥ずかしさなんてどっかに飛んでいき、堪能するように心ゆくままに手が動いてしまう。


「クックック」


楽しそうな笑い声が耳に届き、恥ずかしさが途端に戻ってきた。


「笑わんでもいいやん」


「可愛いと思ってな」


くぅ! 可愛いって言われると、何も言えんくなる。


「シャンツァイ様、お召し物を」


「ああ」


クレソンがシャンツァイの背中側で、洋服を広げている。

腕を通すシャンツァイの筋肉の動きを間近で見ているアユカは、胸筋から目を離せない。


「ククッ」


「アユカ、顔が怖いっす」


「目がイッてるんだよ」


「シャンは可愛いって言うてくれた」


「ああ、可愛いぞ」


頭を撫でられ、そのまま髪の毛を耳にかけ直された。

その際に耳を撫でるように触られ、何かが背中を這い回り体が揺れてしまう。

グレコマたちの呆れたようなため息と、シャンツァイの笑い声が耳に纏わりつくが、動くことも話すこともできない。


分からんけど、やらしーー!

手付きがやらしいねん!

シャンは絶対、多くの女の子を泣かせてきてるわ。

そんな気がする。


ってか、なんでずっと触ってんのー!

ゾワゾワするからやめてやー!


シャンツァイの手を掴んで止めさせたいが、いまだにアユカから気軽に触れたことはない。

さっきのタオルも、相当な勇気が必要だった。


「シャンツァイ様。そろそろ1度戻られませんと、モナルダが発狂いたします」


「そうだな」


ほっ。やっと止めてくれた。


「リンデン、お前も来い。アユカ、後でな」


シャンツァイは最後にアユカの頭を軽く叩いてから、クレソンとリンデンを連れて先に訓練場から去っていった。


アユカは倒れ込んでいる騎士たちに手を振ってから、シャンツァイの後を追うように訓練場から出ていく。


「シャンツァイ様は、アユカに甘いっすよねぇ」


「いいことじゃねぇか」


「ん? でも、歴代の彼女たちにも甘かったんちゃうの?」


「いやいや、ものすっごく冷たかったっすよ」


ふーん。彼女がいたことは否定しないと。

まぁ、そうよな。

なんかムカつくけど、あの肉体美には誰だって惚れるよな。


「って言っても、たった1人だからなぁ。比較するのもなぁ」


「そうなん!? めちゃくちゃ遊んでると思ってた」


「それ、絶対にシャンツァイ様には言うなよ」


「なんで?」


「なんででもだ。絶対に言うなよ」


「んー、分かった」




明日は初めての予約投稿をします。

よく分かっていませんので、11時に1話、12時に1話という投稿になります。

投稿分の確認作業は夜にする予定です。

もしかしたら、夜に修正が入るかもしれません。

そんな感じの投稿になります。


いいねやブックマーク登録、ありがとうございます。

読んでくださっている皆様、本当にありがとうございます。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ