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「そうやってんね。でもな、うちは……えっと、名前なんて言うん?」


「失礼いたしました。名はチコリと申します」


「可愛い名前やね」


頬を赤らめるチコリに微笑みかける。


「うちはチコリにかけたいと思ったからかけたんやし、それに聖女の魔法だろうが勿体ぶるもんでもないと思うねん。魔力はタダで戻るんやから、使わへん方が勿体無いやん」


「聖女様、カッコよすぎます。惚れました」


「ありがと」


可笑しくて、小さく笑ってからお礼を伝えた。


同年代の女の子から嬉しい言葉をもらったのは、いつぶりなのか分からない。

数分だけ、数時間だけ、1日だけ仲が良かったこともある。

でも、すぐに「遊んじゃダメって言われたから」と、みんな離れていった。


チコリも、今後どうなるかは分からない。

離れていくかもしれない。


それでも今言われた言葉は、10日の間に心に知らず知らずのうちにできていたミミズ腫れを癒してくれるのに十分だった。


「キャラウェイ様と朝ご飯一緒に食べようって約束してんけど、どこに行けばいい?」


「キャラウェイ殿下とですか?」


「うん」


口に握り拳を当てて考え込んだチコリを見る。

思考を妨げない方がいいと思い、静かに待った。


「キャラウェイ殿下は、本日は両陛下とご一緒されるとおうかがいしております。聖女様とのお約束はなかったことになるかと思います」


「そうなんや。んじゃ、うちはうちでご飯食べよかな」


「お部屋がよろしいですか? それとも、庭園がよろしいですか?」


「用意してくれるん?」


「是非ともご用意させてください」


「やったら、テラスがいい。眺め良さそうやったから」


「かしこまりました。少しだけお待ちください」


丁寧に頭を下げてから、チコリは部屋を出ていった。


テラスでご飯とか、優雅すぎるわー。


あ!

エルダーと敵さん、まだおるんかな?


そろりと窓際に近づき、カーテンの隙間から外を見やる。

物音1つしない空間を壊すように、一気にカーテンを開けた。


エルダーも敵さんもおらんなってる。


昨日の夜は暗くて見えなかったが、絶景が窓の向こうに広がっていた。

少しでも近くで見たくなり、足が自然と外に向く。


テラスに出ると、そよぐ風は気持ちよく、景色を埋め尽くすほどのひまわりは太陽に向かって背伸びをしている。


お城ってバラのイメージやけど、ひまわりなんやね。

綺麗やし、元気もらえた気分やわー。


ノック音がして、クローシュを乗せたカートを押したチコリと数名のメイドが入ってきた。

チコリ以外のメイドは、テラスにカートを置くとテラスからも部屋からも退出していく。


「机と椅子を移動させますね」


「手伝うわ」


「いいえ! 私の仕事ですので、ソファにでも座ってお待ちください」


「でも、1人でなんておも……え?」


アユカとほぼ変わらない体型に見えるのに、チコリは右手に机を左手に椅子を持ち、軽々と運びはじめた。


「チコリ……力持ちすぎん?」


「そうですか? 我が国は、全員これくらいできると思いますよ」


そうなん?

マツリカが何かやってるとこ、1回も見ーひんかったで。


アユカがたまげている間に、チコリは迅速に用意してくれた。

デーブルの上には、美味しそうな料理が並んでいる。


椅子を引かれたので大人しく座り、「いただきます」と言ってからご飯を食べはじめた。

紅茶を淹れてくれるチコリを横目で見る。


「なぁ、チコリ」


「はい。なんでしょう」


「うちの今日の予定知ってる?」


「はい。朝食後は、両陛下との謁見がございます。キャラウェイ殿下も同席されると思います」


「ふーん。陛下って、キャラウェイ様の叔父さんて聞いてんけど、どんな人なん?」


「えっと、どんな人とは……」


「優しいとか、筋肉すごいとか、強いとか」


ん? 今、小さく吹き出した?

咳払いで隠したな。

笑ってくれていいのに。


「あくまで私の主観ですが、お金が大好きな方だと思います」


「え?」


「高価な物も豪勢な食事も好まれています。筋肉はさほどありませんね。戦闘力はほとんどないんじゃないでしょうか」


「王様やろ? そんな弱くていいん?」


「シャンツァイ陛下が病で倒れられ、キャラウェイ殿下が成人されるまでの王様ですので。それでも、反対派と賛同派の対立は、まだ続いておりますが」


シャンツァイ陛下が病で倒れてって、まさかそれで聖女が必要なんちゃん!?

やから、キャラウェイ様もあんな嬉しそうな顔で見てきたんやわ。


そっかー、そうなんかー。

うち、治癒魔法使われへんからなぁ。

ポーションで治る範囲の病やったらいいなぁ。

ハイポーションの材料は揃ってないねんなぁ。


「ん? 反対派?」


「半分ほどの騎士たちが反対しております。後は、シャンツァイ陛下に近しい侍従やメイドたちもですね。死去されたわけではありませんから」


「その言い方やと……」


「はい、私も反対派の1人です」


めっちゃ笑顔で答えられたわ。


「そっか。色々あるんやね」


「はい。ですので、聖女様は私が用意したもの以外は口にされないでくださいね」


そっかー!

シャンツァイを治されたら困る人らが、うちを狙ってたってことかー!


「うん、ありがとう」


今ここで、毒は見分けられるとか言わん方がいいよな。

チコリは大丈夫やと思うけど……

今更やけど、チコリの鑑定しとこ。


チコリと食事に対して『アプザル』と心の中で唱えた。


チコリ、1歳上なんか。

レベルは25。土魔法なんやね。

記号は2重丸と。食事は全部新鮮。

うん、よかった。




明日、ウルティーリ国の王様登場します。


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