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シャンツァイとキアノティスに別れを告げて、アユカたちはフォーンシヴィ帝国のダイヤフォレアンス宮に戻った。


聖女の湖には、先にモエカとアスプレニウムに行ってもらい、1人で帰ってくるパキラに今度はユウカを運んでもらう。

アスプレニウムには、モエカたちの護衛をお願いしている。


アユカは、ホノカを迎えにウルティーリ国のロッククリスタル宮殿の祈祷室に移動した。


「シャンに聞くん忘れるとかアホやわ。キャラウェイかモナルダ見つけて、ホノカの場所教えてもらわな」


「だったら、キャラウェイの宮に行ってみよ」


祈祷室を出たところで、掠れた声が聞こえてきた。


「……ア、ユカ様?」


横を向いたアユカは、久しぶりに会うチコリに向かって、両手を大きく振った。

アユカは大きく微笑んでいるが、瞳には溢れんばかりの涙を溜めている。


「チコリ! 元気やった?」


「アユカ様!!」


見開ききった瞳からとめどなく涙を流しているチコリが、突進するようにアユカに抱きついてきた。

パキラが風の魔法で支えてくれていなかったら、アユカは倒れていただろう。

ホノカと違って、チコリは力が強いのだから。


「アユカ様! 本物ですよね! 怪我していませんか? ああ、髪の毛が短くなられて! その姿もとても可愛らしいです! って、どうしましょう! 今、シャンツァイ陛下はいらっしゃらないんです!」


捲し立てるように早口で言われ、アユカが口を挟む暇がない。


「お腹空いていませんか? すぐに用意いたしますね。それとも、スイーツの方がよろしいでしょうか?」


「チコリ。ごめんやけど、ちょっと待ってや。うち、ホノカを呼びに来たねん」


「ホノカ様をですか?」


「ん? ホノカの居場所知ってるん?」


「はい。私がお世話を申しつかっております」


「そうなんや。今からする大仕事に、ホノカの力が必要やねん。案内してもらっていい?」


「はい。こちらになります」


チコリに詳しく話している時間はないので、突っ込んで聞かれなくてよかったと、アユカは思った。


チコリとしては、行方不明だった期間のことを尋ねたい。

綺麗な鳥と小さな子供も気になる。

だが、アユカは、ホノカの力が必要な大仕事と言った。


アユカを見る限り、髪の毛は短くなっているが健康そのものに見える。

怪我をしていなければ、痩せてもいない。


とくれば、隠れて何かしていたんだろうと予想ができた。

今、感情を優先して邪魔をしてはいけないと思い、従順に案内することにしたのだ。


チコリの案内で歩いていると、道すがら会う使用人や騎士たちがアユカを見るなり喜んでくれ、アユカは涙目になりながら手を振っていた。


ホノカが滞在している宮殿は、ムサイエフ宮殿といい、王の宮殿なので許可がない者は出入りできないそうだ。

シャンツァイが過ごしていなくても、それは変わらないらしい。


クテナンテとペペロミアもムサイエフ宮殿に滞在していて、3人は毎日時間を共有しているとチコリが教えてくれた。


ムサイエフ宮殿に着くと、チコリの説明通り、アユカを見て号泣した警備の騎士にパキラだけが止められてしまった。


「殺していい?」と聞いてくるパキラをアユカが宥め、魔塔主で友達だと説明すると、騎士たちは深く腰を折ってパキラに謝っていた。

チコリも、慌てふためきながらパキラに挨拶をしていた。


友達という言葉が嬉しかったのか、パキラは「僕はアニスの友達だからね」と気分良さそうに騎士たちを許したのだった。


という、どこを訪れても一悶着あったが、ようやく聖女4人が聖女の湖に集合した。


ホノカは、「空のん瘴気で、一緒に消してほしいねん」という言葉だけで、「うん、やろう」と快諾してくれていた。

見送ってくれたクテナンテは、祈るように頭を下げていた。




本日投稿分の2話(205・206)に関して

昨日予約投稿をしたと思っていたのですが、予約になってなく、1度夜に投稿してしまっていました。すみません……

タイミングよく読んでくださった皆様は「あれ?」となったことだと思います。本当にすみませんでした。


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