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魔術機関から「瘴気に魔力が含まれていること。色味によって保有量が異なること」の調査報告書が上がってきた頃、アユカは各国から到着した医師や調剤師たちを迎えていた。


王であるシャンツァイがただの受講生を出迎えることはできないので、今回はリンデンがアユカの側にいる。

講師を担当する宮廷医のゲイムとソレルも、アユカに同伴している。


昨日到着した、顔を輝かせてやってきたフォーンシヴィ帝国からの3名は、全員2重丸の青年だった。

キアノティスとクテナンテからの贈り物だというスイーツの詰め合わせをもらい、ペペロミアのお披露目話を聞きながら、和気あいあいと滞在先の宮まで案内をした。


今日の午前中に到着したポリティモ国からの3名は、2人は娘盛りの女性で、1人は青年だった。

記号が1人は丸、1人は2重丸。2重丸の女性からは、ホノカから預かっているという手紙を受け取った。

青年は三角だったが、立ち振る舞いや表情に気合いしか表れていなかったので問題ないだろうと判断した。


友好的にできる人を来させるよな。

そりゃそうやわ。


このまま全員を受け入れられるだろうと思っていたのに、ここにきて問題が生じたのだ。

リコティカス国から来た3名の青年だ。


挨拶が始まる前に、アユカが声を発した。


「挨拶はいいから、先に綺麗薬飲んでほしいねん」


綺麗薬という言葉に、ウルティーリ国側の全員に緊張が走る。

リンデンの強張った顔なんて、怒っているようにしか見えない。


「帰れ」


リンデンから放たれた地を這うような低い声に、体を震わせながらもリコティカス国の3名は、130度は曲がっていると思うほど勢いよく頭を下げてきた。


「ももももしわけございません! ですが、わざとではありません! 病の症状がない者たちで来たんです! どうか! どうか! 講習の参加をお許しください!」


「あー、うん。そういうのはいいから薬飲もか。んで、来た道を教えてくれる? 念のため、立ち寄った街に綺麗薬持ってってもらわなあかんから」


アユカの巾着には綺麗薬が入っていないため、ソレルに医局へ取りに行ってもらった。


綺麗薬を飲んでもらわないことには移動できないので、出迎えをしている王宮の広場で立っている状態だ。


グレコマが、自身が持っていた簡易的な地図に、リコティカス国の人たちが通ってきた地域に印を付けていってくれる。


アユカはその様子を見ながら、どうするべきか悩んでいた。


3人共、三角なんよねぇ。

三角が悪いわけちゃうけど、ポリティモの青年のようなやる気は感じへんしなぁ。

でも、切羽詰まってるんは見て分かるほどなんよな。


フォーンシヴィからの帰り道で、シャンから「リコティカスで流行り病が猛威を振るっているそうだ。感染病は本当に恐ろしいな」って言われたんよねぇ。

風邪薬で抑えられるんなら、綺麗薬では治ってると思うんよ。


やから、彼らは絶対に作り方を学んで帰らなあかんはずやねん。

あかんはずやねんけど……うーん……「お前が行って来い」って押し付けられて、嫌々来たとかなんかな?


どうしたもんかねぇ、これ。




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