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瘴気についての話し合いが始まり、まずは魔力測定値メガネで瘴気が魔力の塊なのかどうかを確かめることになった。


実は、アユカはテルゴルゴ地区の浄化の時に『アプザル』をしていたので、結果がどうなるかは分かっている。

今になって魔力の塊だったと言うのは変に思われると思って、伝えないようにしていたのだ。


それに、鑑定結果が全てだが、納得ができないこともある。

瘴気と魔物の違いが分からないのだ。

考えても答えは出ないので思考を放棄しているが、納得していないのだ。


話し合いは、瘴気が魔力だったと仮定をして進んでいく。


瘴気を集められる魔道具と、使い終わった魔石に魔力を注げるかどうかの実験を、同時進行することになった。

「瘴気は触れると死ぬって言われてるんやろ。やったら、魔力を遮断する防護服を作った方がいいんちゃん」というアユカの意見に、全員がアユカを称賛したのだった。


話し合いが終わり、意気込んでいる職員6名に見送られながら、アユカたちは帰路に就いた。


「新しい相談は、防護服のことでしたか?」


窓の外を眺めていたアユカが、モナルダに向き直した。


「ううん、ちゃうよ。もし、空の魔石に瘴気を入れられるんやったら、人工魔石の応用で爆弾か銃の玉作られへんかと思ってん。戦争の兵器にもなりそうやけど、うちとしては、魔物に襲われそうな村や街にあったら安全度が上がるんちゃうかなって思ってんよ。魔物は瘴気に勝たれへんって分かってることやし」


「なるほど。検討する余地はありますね。しかし、なぜ陛下ではなく私なのでしょうか?」


「シャンはきっと作らへんって言うやろうからさ。モナルダにまで話がいかへんと思ったんよ」


「正解ですね。陛下なら、ご自身が強くなるから必要ないと仰られるでしょう。持つことさえ危ういものは、たくさんありますからね。

では、なぜそのことを魔術機関で陳述されなかったんでしょうか?」


アユカの悩むように伏せらせる瞳が、言葉を選んでいると言ってしまっている。


「んー……チャービルって、なんか分かった?」


「いえ、まだお伝えできるようなことはありません。何か関係があるのですか?」


表情が変わらないモナルダからは、何も読み取れない。


「うん、ちょっとな。影の人たちを割いてもらうんは悪いんやけど、アンゼリカにもつけることできる?」


「可能ですよ。セージにもつけますか?」


「セージって、だれ?」


「1度しかお会いしてませんものね。覚えていなくても仕方がありません。と言うとでも思いましたか?」


ええ!? さっきまで冷静を具現化したような感じやったのに、急に怒りだしたやん。

セージって、だーれーよー!


「アユカ様は王妃になられるんですよ。人の顔も名前も1度で完璧に覚えてください」


難しい。それは無茶ってもんよ。


「分かりましたか?」


「精進します……」


「努力していただけるのを楽しみにしています」


おかん気質のモナルダには逆らってはいけない。

重要事項やから覚えてたうちは偉い。


「セージはアンゼリカの父親ですよ。顔合わせの時に、第2や第3夫人にアンゼリカを薦められたでしょう」


あ! ああ!


「こじんまりとした人!」


「そうです。その男がセージですよ」


確か、あの人三角やってんよなぁ。

今見たら、カッコ付き髑髏か純粋な髑髏に変わってたりするんかな?


「それと、先程のチャービルのことは訂正いたします。チャービルは1度だけセージの家に訪れています」


「何しに?」


「チャービルは青果店で雑用をしていまして、果物の納品の手伝いで訪れたようでした。チャービルには何も怪しい点が見つからず、今その青果店を探っているところです」


「そっかー。んじゃ、うちが1回セージん家行ってみたらいいんちゃん」


眉間に、めっちゃ皺寄せるやん。

「何言ってんだ」って目で訴えてこんとって。


「セージは、うちとアンゼリカに仲良くなってほしいんやろ。やったら、うちがセージん家に招待されるんは簡単やん」


これ見よがしにため息を吐き出され、頭を軽く振られた。


「王宮に到着しますね。この話は陛下と相談させていただきますので、先走るような行動はおやめくださいね」


アユカの心臓が萎縮するほどの圧をかけて放たれた言葉に、アユカはしっかりと大きく頷いたのだった。




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