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のんびり散歩を終え、滞在先の部屋に戻ると、部屋の前でクテナンテのメイドが待っていた。


「両陛下が、シャンツァイ陛下とアユカ様をご招待されております」と告げられ、行きたくなさそうにしているシャンツァイとクテナンテの宮に向かった。


クテナンテの宮に到着したが、案内されたのはクテナンテの部屋ではなくサンルームだった。


泣き腫らした顔のキアノティスとクテナンテに出迎えられ、ペペロミアは柵型のベビーベッドでお昼寝中のようで「スピースピー」と聞こえてくる。


「アユカ、本当に恩にきる。こんなにも元気な2人に会えて感無量だ。アユカのおかげだ。本当に本当に本当に! ありがとう!」


椅子から立ち上がった2人に、背中が見えるほど深く頭を下げられる。

アユカは、シャンツァイと視線を合わせてから声を発した。


「いいよ。それにクテナンテ様を治したんはホノカやから。うちちゃうよ」


顔を上げた2人と微笑み合い、キアノティスに座るよう促されたので、シャンツァイと並んで席に着いた。


「ああ、ホノカにも後でお礼を言おうと思っている。一緒に呼ぼうかと思ったんだが、会議室で何も言わなかったし、ここにも1人で来ていたと聞いてな。イフェイオンのこともあるし、呼ばなかったんだよ」


「話してると思うけどなぁ。確かに1人やったけど、これからお茶したり遊んだりするんやったら説明しとかなあかんやん。ホノカが自分から『友達になる』って言ってくれたんやし」


「そうだな。お礼をするときにイフェイオンも呼ぶようにするよ」


幸せそうにアイコンタクトをとるキアノティスとクテナンテを見て、アユカもほわほわした気分になる。

治せてよかったと嬉しくなる。


「シャンツァイも呼んだのはお礼についてだ。こちらで用意して渡そうと思ったんだが、もし希望するものがあるならと思ってな。ウルティーリ国として欲しいものはあるか?」


「アユ、何かあるか?」


「うーん……特にないからお金。いくらにしよっかなぁ」


シャンツァイは笑っているし、キアノティスとクテナンテは目を丸くしている。


「もちろん金は用意する。他には無いのか?」


「シャン、なんかある?」


「いいや。治したのはアユだからな。俺や国は関係ない」


ほら、シャンは優しい。

キアノティス様に請求する言うてたのに、何も請求してへんやん。

うちが何をしてもいいように言うてくれただけって証明してるやん。


「シャンツァイ、甘すぎるぞ。むしり取る勢いで要求するべきだろ。皇后と皇子の命を救ったんだぞ。しかも皇子のっ」


泣きだしたキアノティスの腕を、クテナンテが涙を流しながら摩っている。

2人とも本当に温かい人たちだなと好感度が上がっていく。


「いいんだよ。要請されて治したんじゃねぇ。アユが治したいと思ったから治したんだ。だから、お礼はアユにだけでいい。

というか、そうしてくれ。国としてとなると他の国がうるさくなる。鬱陶しいだろ」


「分かった。アユカにたんまり持たせるから、後で回収してくれ」


「そうさせてもらうよ」


見つめて微笑み合ってるシーン、素敵やね。

お茶も美味しいし、3人の顔面偏差値高いしな。

こういうのを贅沢な時間っていうんやろうな。




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