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ティアナ・死闘の試練後

試練を終えた勇者達は再び王室へ出向き、決められた部屋で休息を取っていた。

ティアナ騎士団は勇者達の監視を命じられ、数人で監視を行なっていた。

その中にはティアナ騎士団団長ティアナも同席した。


「例の子は見つからなかったのですね」


「はい、森の中をこまなく探しましたが、全く……」


「わかりました、このことは私がマックール王に伝えておきます、あなたはすぐに監視の任務に戻りなさい」


「はっ!!」


死闘の試練で勇者達はより真面目に訓練に励むようになった。

全体的にやる気も上がり、皆朝から訓練し、お昼を食べては訓練、夕食を食べて訓練と休まず続けている。

見違えるほどに成長した勇者に私も驚きを隠せないのだが、同時に不穏な動きをする勇者もちょくちょくいた。


そして死闘の試練で一人だけ行方不明の者を出してしまった。

勇者ひなの、彼女はとても優秀だった。



「惜しい人材を失いました……」



完全な私の不手際、マックール王には一様連絡を取りますが、おそらく、平然と許すでしょう。

たかが勇者一人、失ったところで痛手はない。


なんせ、今の勇者はかなり優秀だから。

とはいえ、少し不自然ではあります、それに真也も行方をくらませている以上、無関係でもないと考えられる。

もしかしたら、これも彼の作戦なのかもしれない。


それにしても最近の勇者祐樹の行動には少し不自然さが目立つ。

まるで落ち着きがない。

そういえば、あの時、拠点を襲わせた時、勇者祐樹の姿を発見できなかったと報告がありましたね。



「念の為、監視をつけておきましょう…」



怪しいと一度思えば、晴れるまで監視をする。

それが私だ。

決して勇敢な騎士ではない、そもそも私に勇気なのどない。



「ああ、少しだけ真也と話したいですね…」



空を見上げてボソリと呟く、心の声。

それは数少ない本心だった。

死闘の試練は大英雄ノアが心を鬼にして行った、最も危険な訓練方法。


これをやろうと言い出したのは真也だった。

真也が見るに勇者は確かに優秀だが、戦う覚悟、そして死ぬことへの恐怖を知らない。

それでは戦場にいざ出た時、本領を発揮できずに死ぬと、そこで出た訓練が死闘の試練。


大英雄ノアが行った訓練の目的は至って単純、死の恐ろしさと強敵と戦う勇気を持たせることにあった。

これはとても危険で実際に死者が出た訓練、具体的な内容を聞くだけ恐ろしいと言われるほどの訓練だった言う。


この訓練を真也が勇者向きに作ったのが死闘の試練。


内容としてはあ、まず弱い勇者は基本、皆殺しに死の恐怖と共に強くならなければ殺されるという感情を植え付けること。


真也がいうには勇者は基本、強くなるために行動するとのこと、これは本能で逆らうことができない。

だから、恐怖を植え付けて戦えなくなるということはない。

そしてある程度強い勇者には強敵と戦う勇気を植え付ける。


これで勇者に必要な勇気を生み出す、これが私たちが行った死闘の試練の目的。



「彼の作戦は成功した、けど…」



私はこの作戦を聞き、王国の利益になると思って受諾した。

だけど、違和感を感じた。

なぜか、真也には何か違う目的があるのではないのかと。


「さて、いきましょう」


私は王室へ向かった。

玉座に堂々と居座るマックール王、王が放つ空気が重く、家臣たちからの目線を感じる。



「なんのようだ、ティアナ騎士団・団長ティアナ」


「はい!!死闘の試練によって勇者たちはより一層、訓練に励むようになり、前とは比較にならないほどに強くなりました」


「それは喜ばしいことだな、だがそれを伝えに我の元まできたわけではないのだろう?」


「はい…実は死闘の試練において、勇者1名、行方不明となり、それを報告しに…」


「そうか…」



マックール王は動揺もせず、返答するが家臣たちは驚いていた。


「なんだと!!勇者が一人、行方不明だと!!」


「これは、一大事ですな、ただでさえ、勇者は貴重だというのに…」


「王よ、このティアナには罰を与えるべきです!!!」


「それは私も賛成です、王よ、ミスをしたものには然るべき罰が必要です!!」



家臣たちは勇者が一人、行方不明となり、その責任としてティアナに罰を与えるべきだと王に言う。


本当にマックール王に依存する無能な家臣が……。


自分達は安全なところで悠々と暮らしておきながら、ミスをすれば、罰なのと、縛りさえなければ、今頃お前らなど……。


「王よ、どういたしますか……」


「ティアナよ、貴様に一つ聞きたい…」


「はい、なんでしょうか」


「勇者が一人減って、我が王国にはどれだけの損失があると思う?」


「私の見解ではそこまで損失はないかと、一人ぐらいなら私の騎士団でも補強できます」


「うむ、なら今回の件に罰を与える必要などないな」


「お待ちください!!王よ!!本当によろしいのですか!!もしかしたら、また同じ過ちを…」


「そんなミスはせんよ、なぁ〜ティアナ」


「はい!!」


「ほら、それにティアナ騎士団は我が王国最強の騎士団、この罰でむしろ騎士団に亀裂でも入れば、それこそ王国の損失だとは思わぬか?」


「そ、それは……」


「もし貴様が、この罰で損失が生まれたとき、その責任を負うのなら、罰を与えないことはないが…」


「いえ、大丈夫です」


マックール王には珍しく、高圧的だった。

正常の判断からも、今はかなり落ち着いているらしい。

勇者召喚に成功して、気持ちが落ち着いてのだろう。


しかし、罰を私に貸したところで私にとっては痛くも痒くもない。

馬鹿な家臣たちだ。


こうして、マックール王への報告が終わり、私は自分の部屋に戻った。




それからあっという間に時間が過ぎていった。

気づけば、死闘の試練から1週間が過ぎていた。


いまだに、真也の姿はなく、私は淡々と任務をこなした。


「大変です!!」


「どうしたの?」


「それが……」


それは信じられない報告だった。

エルキザレオン王国のダンジョンの一つが崩落したとの報告だった。



ダンジョン名『アルマス迷宮』、ダンジョンが崩落したのは約100年ぶりだと言う。



「まさか、現れたというのですが……」


「どうかなされましたか?」


「い、いえなんでもありません…すぐに崩落したダンジョンに向かいましょう」



私はすぐにダンジョンに向かった。

ダンジョンがあった場所に向かうと、すっぽりと大きな穴ができており、無くなっていた。


「この穴はどこまで……」


「ティアナ団長…すでに周辺調査を行いましたが、特に異常はなく、平常でした…」


「そうですか…わかりました、すぐに調べたこと、記述しなさい、まとめ次第、エルキザレオン王国に報告します」


「はっ!!!」


「まさか、本当に……」


ティアナ団長はあり得ないという感想だった。

だってダンジョンが崩落したということは、それはつまり……。



「攻略したということ……」



それがどれだけ凄いことか、その時、一つの可能性が浮かんできた。



「待って……いや、けどまさか」



真也の失踪に勇者ひなのの行方不明、まさかそんなことあり得るの?


「これは、真也にあったら色々聞かなくてはいけませんね……」


こうして調査後、私たちティアナ騎士団は早急にエルキザレオン王国に帰還した。


ダンジョン崩落は各国にとっても、一大ニュースだ。

王国へ到着後、すぐに王室に出向いた。



「ティアナ騎士団、到着しました、お入りください!!」



扉が開かれ、私たちは王室へ足を踏み入れる。

私たちは真っ直ぐ、歩き、マックール王へひざまついた。


「では、報告をしてください、ティアナ騎士団」


「はい、ちょうど先日、ダンジョン『アルマス迷宮』が崩落しました」


その言葉に家臣たちが、どよめいた。

それもそのはずだ、ダンジョン崩落事態は王国では初なのだから。


「それで、その調査はしたのだろう」


「はい、調査の結果、特に周りの変化はなく、ダンジョンがあったところには大きな穴がだけが残されていました」


「なるほど、それでダンジョン『アルマス迷宮』を最後に入ったもの目星はついているのか?」


「それが、ダンジョン『アルマス迷宮』に入ったものはここ5年いなかったと報告を受けています」


「なるほどな、ではあのダンジョン『アルマス迷宮』は人知れず、崩落したと?」


「はい、今のところ、その可能性が高いかと……」


「ふん、ティアナ騎士団よ、下がってよい」



「はっ!!」



そのままティアナ騎士団は王室を後にした。


「ふむ、この事態をどうするべきか」


「やはり、まずは各国へ報告すべきです」


「そうだな……」


こうして報告は終わり、私たちはまた任務に戻った。



「アベル、勇者たちの成長はどうですか?」


「はい、驚きのスピードで成長を見せています、特に勇者祐樹は勇者の中で群を抜いて、成長していますね」


「そうですか…」


勇者祐樹を1週間監視をしてはいるものの、特に不審な動きはなかった。

だがもしかしたら、私の監視に気づいている可能性もある。


「これからも頑張ってください…」


「はっ!!」


「何も起こらなければいいのだけれど……」


ダンジョンの崩落、これが意味すべきものがなんなのか、この王国の者は誰一人知らない。

また新たな時代が動く。


「今日はやけに風が強いですね」


風が少し強く吹き、私の髪を荒らす。



「ああ、槍が疼く……」


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