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死闘の試練⑥・這い上がる勇者ひなの

聖魔剣を片手に携えながら、その剣は私に降り掛かる。


私は生きる!!生きるんだ!!生きるんだ!!


渾身の一撃で私は聖魔剣と撃ち合う。

二つの剣が重なる時、地面が揺れた。


「ぐっ!!」

「ふん!」


本来なら聖魔剣の方が有利のはずなのに、私の剣が聖魔剣を受け止めた。

それはあり得ないことだった。


「なっ!!なぜ受け止められる!!俺の最強の剣だぞ!!俺が生み出し、いくとどなく研鑽を重ねて完成させた最強の剣がなぜ受け止められる!!」

「うぐぅぅぅ」


受け止められたとはいえ、気を抜けば、一瞬で押し潰されそうだった。

おそらく私のスキル【感情活性】が剣にまで効果を及ぼしたのだろう。

しかし、この拮抗状態は私に取ってはかなり不利な状況だ。

今でも少しづつだが、相手の方の力が上回りつつある。

そうなる前になんとかしなくてはいけない。

とはいえ、私にはこれ以上、策がない、手段もない。


「もう、限界…」


私の体が沈み出す。


「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」


さらに強い重圧がかかり、剣同士が弾き合った。

あまりにも強い力が衝突したから、剣がそのまま大きな力で返ってきたのだ。

そしてこの瞬間、次の行動をより早くしたほうが有利となる。


「これで終わりだ…主人公」


次の行動が早かったのは勇者祐樹だった。

勇者祐樹はすぐに聖魔剣を構え、次の行動の準備に入っていた。

そしてその聖魔剣の一撃は私の心臓を貫いた。


「ぐはぁ!!」


痛みはなかった、ただその瞬間、私は……。

『ああ、ここで終わりか』と思った。


「ははははははっ!!やったぞ、ついに主人公を、ひなのを殺した!!これでやっと俺が主人公に…ははははははは!!!」


勇者祐樹は高々に笑った。

それは満遍な笑みで……それはもう嬉しそうだった。


「ふん、君が悪いんだ、君が主人公でなければ、こんな手間をかけずに済んだんだ…殺さずに済んだんだ…」


そして貫いた剣を引き抜き、地面に私の体は叩きつけられた。

まさしく、開けっない死に方だった。

勇者祐樹、全く力及ばず、ただただ耐えていただけの哀れな勇者。

それが私だ。


やだ、そんな死に方はやだ!!生きたい!!悔しい!!もっと強ければ!!と無念の感情が溢れ出す。


今までやってきたこと、もっとああしていればよかった、もっといい策があったのでは…と後悔が募っていく。


生きたい!!生きたい!!生きたい!!


体の体温が低下していく、死に向かっているのがわかる。

ああ、ダメだ私は死ぬ。


悟った、自分の結末を……。


もう諦めようと私は心にも蓋をした、なのに……。


生きたい!!生きたい!!生きたい!!生きたい!!生きたい!!


叫んでいる、私ではない何かが、叫んでいるんだ、生きたいって…叫んでいるんだ。

無駄な足掻きなのに、もう死ぬしかないのに生きたいって訴えかけてくるんだ。

いや、違うこれは私だ…私自身が訴えかけているんだ。


諦めるな、諦めるな…生きることを諦めるな!!!!


叫んでいる、叫んでいる、私が私が……。



『貪慾にいこうぜ…主人公』



貪慾に…貪慾に…。


すると体の体温が熱くなっていくのを感じた。

聞いたことない声…のはずだけどなぜか懐かしい気持ちになった気がした。


私は生きたい!!生きたい!!強く!!強く!!強く!!!!生きたい!!!!



『ああ、生きたいよな、なら燃やせその感情を…生きたいというその感情を燃やせ!!そしてそれを憎悪に変えて力に変えろ!!!!』



私は生きる!!生きるんだ!!そのために手段を問うな!!甘ったえるな!!



貫かれた心臓、すでに息たえ、活動することが出来ない体がゆっくりと立ち上がった。

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