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プロローグ 勇者召喚前日

空が闇に覆われている中、二人の争いが勃発する。

一人は人の何倍以上の巨体を持ち、腕を振り回すだけで、岩が砕け、散乱する。

その名はキュロス、数年後、厄災の魔王と呼ばれる存在になる魔族だ。

彼は別に魔王になりたかったわけでない、ただならざる終えなかったのだ。


キュロスと戦っているのは、謎の黒いマントを羽織った謎の人物。

全身が黒いマントに覆われ、顔も体型も何も見えない、目印になるのは唯一持っている、片手剣のみである。

キュロスのオリハルコンより硬い腕と謎の黒いマントを羽織る人物の片手剣がぶつかりある。

その衝撃は大地を震わせた。


「なんという強さだ…」


しかし、実力は互角ではなかった。

最初は互角だったと思いたいが、時間が経つごとにキュロスの体力が奪われ、息を荒くする。

だが、謎の黒いマントを羽織る人物は息を上げることもなく、平然と猛攻を最も容易く、防いでいく。

この時点で実力の差は明白、キュロスは本来、この時点で逃げるなり、するべきであった。

しかし、キュロスにはそれができなかった、いや出来ないようにされていた。


そして、その猛攻の末、ついに謎の黒い人物に隙を与えてしまった。

それを最後にキュロスは意識を失った。

何時間が過ぎただろうか、目を覚めると両腕、両足が揃っているではないか。

焚き火の音、そのすぐ目の前には謎の黒い人物がそこにはいた。


「な、なんのつもりだ…」


キュロスは力を振り絞って、問いかけた。

返答など期待はしていなかったが、それでも聞かずにはいられなかった。


「ふんっ…」


すると、笑ったのだ、鼻で、俺は驚きを隠せなかった。

そしてそのまま謎の黒い人物は語り出した。


「君には素質がある、魔族を束ね、人類を滅ぼす…『魔王』の素質が…ね」

「ま、おう?」

「そうだ…私には君たちの気持ちがよくわかる、『魔王』という存在が居ながら、魔族だからというだけで人類の枠から外され、100年周期での争いのせいで、魔族は平穏な生活が送れない、そんなの理不尽だと思わないか?」


「………」


「だが、それを解決する唯一の方法がある、それが『魔王』…ただの『魔王』じゃない、『勇者』を超える、最強の『魔王』さぁ、その存在が魔族を、そして君の家族を救う唯一の方法…、最強の『魔王』がいれば、『勇者』がきても倒せばいい、圧倒的な力で…この異世界は力こそが全てなのだから…」

「それは無理だ、幻想だ、実際に『魔王』は『勇者』に敗れ、その度に魔族は酷い仕打ちを追う、お前の語るその『魔王』は紛れもない幻想だ…」


「はははっ……そうだろうとも、今はまだ幻想だ、夢物語だ、だが…だからこそ、俺はそんな最強の『魔王』を育てたい、これはねぇ、別に魔族のためでもなんでもない、ただの私自身の自己満足だ」


「自己満足?」


「そう、自己満足!!ただ、私は最強の『魔王』を育てたいだけ、私は最強の『魔王』をキュロス…君を使って育てる、そして君たち魔族は君を中心に雄叫びをあげ、闘争心を燃やして、人類を滅ぼし、平穏を手にする、ギブアンドテイクだと思わないか?」

「私を最強の『魔王』に…?」

「そうだ!!君は私の手によって、最強の『魔王』へと至る、なぁ〜に3年もあれば、いや2年で十分だとも…さぁキュロス、私は提案しよう、私の願い、最強の『魔王』を育ているという願いを受け入れてはくれないか?報酬は最強の『魔王』という保証だ…」


俺は息を呑んだ、こんな胡散臭い提案なんて、受け入れる価値すら本来ならないだろう。

だが、私は一瞬でも想像してしまった、最強の『魔王』が人類を滅ぼし、魔族が…家族が笑顔で暮らす、その姿を…その光景を…だから、私は……。

手にとってはならないその黒き手を取ったんだ。



エルキザレオン王国・王座


門を開くとその最奥で王の覇気を放つ男、マックール王がここに宣言した。


「明日の夕刻、勇者召喚の儀式を行う」


その王の言葉に貴族などお偉い方が大きな拍手と共に喜んだ。

また勇者召喚、どうもまぁ、こんな非効率なことをしているのだろうか、理解できない。

50年前、エルキザレオン王国は勇者召喚を行った。

結果、10名の勇者召喚に成功し、2年後には戦争で9名が死んだ。

簡単にいうと50年前の勇者は弱すぎた、あまりにも平凡で勇者と名乗るにはあまりにも貧弱だった。

エルキザレオン王国は多くの勇者を犠牲に出したとして、シュライン法国が勇者召喚100年禁止令を出された。

これは大きな痛手だ、今の魔物はとても強く一人でも兵士が欲しい状況の中にいた。


だからこそ、勇者召喚100年禁止令は下手をすれば、最悪この王国が滅ぶ可能性がある。

とはいえ、それはまぁ俺の考えとしてはないと思っている。

なんせこのエルキザレオン王国には勇者の他に唯一、この世界の住民で勇者に匹敵する強さを誇る、『槍の名手』ティアナがいる。

とはいえ、王国はそれでも不安なのだろう。

そして王国はついに最終手段をうつ、それがシュライン法国の禁止令を無視した、勇者召喚、見つかれば、間違いなく、シュライン法国を含め、隣国が王国を滅ぼしにくるだろう。

本当にここまで王が愚かだと、王国も大変だな。


「そこで何をしているのですか?」


窓から見える景色を見つめていると、鎧を見につけ、とても目立つ青く輝く槍を持つ少女が話しかけてきた。


「ティアナ、俺は今、この王国が滅びないか心配なんだ…」

「あなたが王国のことを心配するなんて、信じられませんね」

「ひっど、こう見えても王国には感謝してるんだよ…一様ね、それにそれをいうならティアナこそ、王の忠誠心を全然、全く感じられないんだけど?」

「私は別にこの王国の王に忠誠を誓っているわけではありません、私はこの王国に忠誠を誓っているのです、それに私には縛りがあります、忠誠心があろうとなかろうと意味を成しません…」

「それもそうだった…おっそうだ!!ティアナは今回の勇者召喚をどう思う?」

「そうですね、正直に言って……愚策ですね、」


「だよね〜〜」

「しかし…私個人として、異世界の人があなたのように捻くれているのか、それが気になるのである意味では少し楽しみですね」

「おいおい、異世界人を俺基準に考えない方がいいよ、俺…相当変わってるからさぁ」

「そうですね、確かに変わっていますね、なんせあの戦いでただ一人、生き残っているのですから…」

「ははは、それは褒め言葉として受け取っておくよ」

「本当に、あなたの心は50年経っても読める気がしませんね…では」

「ああ…」


さすが『槍の名手』ティアナ、常に俺を警戒している。

まぁいつ裏切るかわからないからしょうがないかぁ。

それにできればティアナとは死闘したくないしね。

君は英雄として死ぬことこそがふさわしいのだから。


「さて、明日は勇者召喚の日、いるといいな、『英雄』の卵が…」


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