第二話 お嬢様の押しが強い。
「良かった〜貴方に振られたらどうしようかと思って……」
「僕が星月さんのことを振るわけ無いじゃないですか」
「ちょっと〜敬語やめてよ。あと、星月さんって言うのも。柚乃って呼んで!」
軽いな、ノリ。
「えっと…じゃあ、柚乃、さん……」
「呼び捨てはキツかったか〜。まぁいいわ」
「で、何故告白したのですか、僕に」
あ、敬語になっちゃった。
「あなた本当に敬語ばかりね。ふふっ、まあいいわ。」
「あの…此間、って言っても結構前なんだけど、あなたの机にぶつかっちゃった時の事覚えてる?」
「あぁ、はい。辛うじて」
4月、クラス替えが終わって新しいクラスになり、友達作りに皆が躍起になっている時だ。
僕は友達なんていなくていいので、ラノベに没頭していた。
「その時、私貴方の本落としてしまったでしょう?」
机の上に積んでいたラノベがぶつかった反動で落ちた時のことか。星月さん、じゃなくて柚乃さんが拾ってくれたんだよね、確か。
「あの本、私も好きなの…」
「えぇ!?あのシリーズ好きなの!?あれヒロインめっちゃ可愛いし主人公もイケメンだから良いよね!」
「あら、いきなり元気になって。」
そりゃあそうなるに決まってるでしょ!
だって僕が好きなラノベを知ってる人がいたんだよ!?
しかもまさかの相手が柚乃さんだし!
「誰推し?」
「推し、とは…?」
あら、流石お嬢様。
オタク用語?の推しは知らない様で。
「推しって言うのは、一番好きなキャラの事だよ。」
「あーそうなのね。教えてくれてありがとう。私は香山穂花さん推しよ!」
ほのちゃん推しかー。ほのちゃんは、ショートボブで元気な子。
「僕は海江胡桃ちゃん推しかな」
くるみんは、黒髪長髪でおしとやかな子。
僕はそういうのがとても好き。
「くるみさんなのね…私とはま反対じゃないの…」
黒髪で長髪は一緒だけど、明るい雰囲気を纏っている柚乃さんとは確かにま反対のイメージだ。
「え!あ、柚乃さんのことも好きですよ!」
柚乃さんって意外と落ち込みやすいな。
「好きなの〜。ふふ、ありがとう!」
機嫌直すの早い。
「お嬢様。お迎えに参りました」
「あら、鈴木さん。少し待ってもらえる?」
「わかりました。」
流石お嬢様。車でのお迎えが来ている。
なんでだかわからないけどその鈴木さん?の目つきが僕に対して物凄く怖い気がする…
柚乃さんはそんなことお構いなしにぐいぐい来るなぁ。
「ね、理音くん!ラリン交換しない?」
ラリン?あぁそんなアプリが携帯に入ってたな、そういえば。
メールよりも手軽に連絡出来ることで有名なラリン。
僕には父親と妹の連絡先しか入って無いけど…
あ、母親は僕が中2の時に亡くなったんだ。
「じゃ、これ読み込んで。」
まさか僕のラリンに女子の連絡先が入るなんて。
「あれ?貴方クラスのチャット入ってないの?」
いやクラスチャットとか初耳なんですけど!
あ、友達いないからしょうがないか。
「えっと、ゆのっていうので合ってますか?」
「はい、貴方は…りおんですね?」
「はい。」
「なにか合ったら連絡するね。では。」
柚乃さん、最後も美しい。
「また今度。さようなら。」
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