91.Side イヴ④
イヴ視点のお話です。
先日は、更新できずに申し訳ありませんでした。
私情により、しばらく不定期になるかもしれませんが、お付き合いいただけるととてもうれしいです。
よろしくお願いいたします。
ジャグジーから、しばし遡りて――。
――イヴさん、この水着もとても可愛らしいですよ。
――イヴさんにはこちらもお似合いかと。
――…さん?――…ヴさん?
「イヴさん!」
「!?…あら、ボーっとしちゃってたわ。ごめんなさい。」
「大丈夫ですか?」
「ええ、全然問題ないわ。なんだかこれまでの日々を思い出しちゃって。」
「…長かったですか?」
「ええ、とっても。でも、一人でいた時間の方が遥かに長いはずなのに、このところの方がずっと長かったわ。不思議ね。」
「ふふ、そうですね。」
「リリシア…私はマスターが好きよ。」
「!?……はいっ。」
「サーラ、この気持ちをマスターに伝えたいのだけれど、構わないかしら。」
「もちろんです、イヴさん。」
「ご決心されたんですね。」
「ええ。マスターが、何者でも良いって、今の私で十分だって言ってくれたから。」
「そうですか♥頑張ってください!」
「ありがとう。そういえば、確認したことなかったけれど、サーラもマスターが好きなのよね?」
「へっ!?わ、わたくしですか?」
「ええ。聞いたことがなかったなぁと思って。」
「えっと…それは…。…私もご主人様のことが好き…です//」
「よろしい♪」
「えへへ。みんな一緒です。みんなで修一さんを支えていきましょう!」
「ええ、そうね。」
「はい。イヴさん、頑張ってください。」
「ありがとうサーラ。って、水着選ばなきゃ!マスターを見惚れさせるものはないかしら。」
「あ、それならこんなものはいかがでしょう——?」
「こっちのも、可愛いですね――。」
「リリシアにはこれがいいわ――!」
「サーラさん、こういうのはいかがですか――?」
「こ、こんなの恥ずかしくて着れません――!」
姦しくも楽し気な声が船内に響いていた。
――良かった。みんな認めてくれた。
それがとても嬉しかった。そして、とても心強かった。
やはり心底のどこかで不安はあった。
それでも、彼女たちが背中を押してくれ、勇気をもらった。
それでもう十分だ。
目指すところは見えている。あとは進むだけなのだから。
*****
リリシアとサーラは先に船内に降りたため、フライブリッジには修一とイヴの二人が残っていた。
「マスター、おかわりいただけるかしら?」
「湯船に浸かってると、酔いやすいから気を付けろよ。」
「そうなの?」
「血流が良くなるからね。」
「へぇ。」
「聞く気ないな。」
「そんなことはないわよ。あぁ美味しい。酔うとお酒ってさらに美味しくなるのね。」
「それはそうだな。」
そう答え、修一もグラスを傾けた。
火照った体に、冷えたシャンペンがのどを通る。ほろ酔いも相まってたまらない快感だった。
また、左隣からイヴの声が聞こえるのが、慣れないものだったが、心地よかった。
「体の調子はどうだ?コアの機能とかも含めて。」
「全く問題ないわ。コアとしての機能もほとんど変化ないわ。」
「そっか、それは良かった。」
「ええ、素敵なプレゼントありがとね。ふふ、そう言えば、約束、覚えてる?」
「約束?」
「ええ、約束。」
そう言うと、イヴは体を回転させ、修一の膝に乗り上げた。互いに見つめ合うような体勢になる。
「ちょtt――。」
感じたのは、少しの重みと、女性特有の柔らかさ。
イヴの突然の行動に、修一は思わず取り乱す。
そのまま、端正な彼女の顔が近づく。
そして――ちゅっ。
唇と唇が合わさった。
「…折角体が出来たんだもの。色んな経験してみたいじゃない?」
「俺で良かったのか?」
「もちろんよ。誰でもいいわけないでしょ。…言わせないでよ、恥ずかしい。」
「すまん…。」
「これからも、色々な景色を見て、色々なものを食べて、色々な経験をしたい。あなたと共に、あなたの横で、この世界を見てみたいの。」
イヴはそのまま、体を倒し、修一の背に手を回した。
「大好きよ、マスター。」
「ありがとう。俺もイヴのことが大好きだ。こうして触れ合って、その思いは更に強くなったよ。こうして、イヴに触れられることが心の底から嬉しいんだ。」
「ふふふ、私もよ。」
「なぁ、イヴ、新しい約束しよう。」
「ええと?」
「何があっても、互いがそう望む限り、一緒にいよう。この先何が起こっても。互いに何が有ろうとだ。」
「…!?…ええ、もちろん。もちろんよ。」
「イヴ。」
「マスター。」
「「愛してる。」」
声と共に、水面に映る二つの影が再び重なった。水面が優しく揺れた。
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