8.戦う感覚
無事スケルトン撃破。
冷静に考えて、骸骨が動いてたら怖いね。どういう物理法則だよ。
スケルトンを倒した修一らが、次に見つけたのは3体のゾンビだった。
数が多いため隠密で倒したかった修一だが、不運なことにそのうちの1体と目がばっちりと合ってしまう。
「あー…目が合った。こっちに向かって来てる。」
「ゾンビね。強さ的にはさっきのスケルトンと変わらないわよ。」
「真っ向勝負はしてないから当てにならないけどねっ…と。」
ゾンビの殴り攻撃をかわしながら修一は言った。
(でも、向かってきたのが1体だけなのが僥倖かな。それに武器も持ってないし、動きも鈍い、攻撃も掴みと殴りのみか。問題ないな。)
そう判断した修一は、退くのをやめ、ゾンビの攻撃の間を縫って首を狙って剣を薙いだ。首から血が噴き出しゾンビは絶命する。
生ける屍だから絶命するという表現は適切なものなのか分からないが、ゾンビは動かなくなったためそういうことにする。
そのまま、修一は次のターゲットを決め対峙する。先のゾンビが倒れた音でさすがに残りの2体もこちらに気付き、こちらに向かって来ていた。
ゾンビが殴り込んでくる…が胴を抜いた袈裟斬りで対処し、最後の一体も心臓を突き刺した。
「お見事っ。」
「…ふう。ゾンビも異世界じゃ心臓を貫けば死ぬんだな。」
「生きているんだから当然じゃない。でも種族によっては心臓の位置が変わることもあるし、気を付けた方がいいわね。」
「当然なのか…。でもなるほど、一理あるな。それにしても臭いがひどいな。鼻が曲がりそうだ。」
「ふふ…ゾンビだもの、仕方がないわ。ジャンジャン探索を進めましょう。」
「そうだな…おっと。」
肉が腐ったひどい臭いを発していたゾンビだったが、泡状の光に包まれると同時に消えてなくなった。
これは、ダンジョンの機能によるものらしく、ダンジョン内の死体は一往にして一定時間が経過するとこうしてダンジョンに吸収されるとのことだ。
メニューを見てみるとダンジョンポイントも少しだけ増えていた。吸収されたものが加算されたのだろう。召喚分のポイントは賄えていないため、マッチポンプは出来ないみたいだ。
その後も修一は、スケルトンとゾンビを中心にモンスターを狩りながら、途中昼食も挟みつつ探索を進めた。献立はもちろん、パンとスープ。
居心地の悪い場所で、毎度同じ料理…。気持ちは萎えるが、コストパフォーマンスを考えると他の選択肢がないのだ。飲み込むようにして完食する。
残りのダンジョンポイントは450DP。
モンスター狩りで多少は回収したが非常に危険な状態だ。狩った分のポイントを差し引いたらもうゼロなのだ。
探索の楽しみのひとつであるトレジャーボックスは、そのほとんどをイヴがポイントに還元してしまったらしく見つからなかったが、リアルダンジョン探索は訓練としても遊びとしてもとても有意義なものになった。
「それにしてもコアがある部屋に隣接した場所なのに、随分とモンスターは弱いね。」
「だからこそ、よ。」
「なるほどね。木を隠すには…っていうやつか。」
「そういうこと。でも、本来なら罠や仕掛けが沢山あるし、モンスターの練度も低いわけじゃないから、こんなに甘くはないわよ。」
「…訓練様様です。」
「それに次は、今までみたいに簡単にはいかないわよ。」
「え?――いや、そうみたいだね…。」
そう言って修一は歩みを止め、視線を上げる。
少し広い場所に出た修一の目に映ったのは、大剣を引っ提げて立っている体長3mほどの大鎧だった。
「この階層のラストモンスター、カーズアーマーよ。」
いよいよ大詰めらしい。
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