81.霧峰
すみません、遅くなりました。
必要なものは肉だった(錯乱)。
陽が沈み、夜の帳が落ちる頃。
修一らの眼前には、城壁のような濃霧が発生していた。
「…本当に霧が出来たわね。」
「うん。いざ目の前にするとすごい迫力だね。」
「…はい。ほとんど先が見えません。」
リリシアの指摘通り、視界はほぼゼロだった。
「よし、じゃあ、乗り込もうか。一番霧が濃い部分に入ってみて。」
「了解。」
船は霧に潜り込み、間もなく辺りが白一色に染まる。夜なので正しく言えば白とは言えないのだが、遂に目先の視界さえ儘ならなくなった。
「みんな大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「私も問題ありません。」
「良かった。何が起きるか分からないから、どっかに掴まっておいて。…イヴ、アクティブソナーで状況確認して。」
「了解。…何の反応もないわね。」
唐突にそれは起きた。
風がピタリと凪いだかと思うと、その刹那、
――ビュゥォォオオオオオオ!
突発的な強風に襲われたのだ。
波が荒れ、船が揺られる。
刹那、修一は、激しい眩暈に覚え、思わず跪いた。
「ぅう…。なんだこれ…?」
「「大丈夫 (ですか)!?」」
「な、何とか…。でも意識が持ってかれそうだ…。」
「撤退しましょう!」
「いや、間に合わないみたいだ。とりあえず、俺の意識が戻るまでここで待機していてくれ!」
「!?」
「大丈夫、嫌な感じはしない。まるで誰かに呼ばれてるみたいだ。…じゃあいってくr…。」
「マスター!」「修一さん!」「ご主人様!」
そう残して、修一は意識を失った。
*****
気が付くと、海の上に立っていた。いや、正確に言えば、海の上空に浮いていた。足元には、グロリアス=グロストン号だろうと思われる船影も見える。
「良かった、気が付いたのね。」
どこからかイヴの声が聞こえた。
「イヴか、どこにいるんだ?」
声はするものの水晶玉は見当たらない。
「ここにいるわ。といっても水晶があるわけじゃないし、見えないでしょうけど。」
「水晶がない?船みたいに魔力が通っているのか?」
「いいえ、違うみたい。」
「他のみんなは?」
「来てないわ。私とマスターだけね。」
「そうか。向こうは何にもないと良いんだけど。」
「残念ながら、船との接続が切れているから分からないわ。それよりも今は自分たちの心配をする方がいいんじゃない?」
「全くだな(笑)…とは言っても、とりあえず待機だな。」
「そうなの?」
「何か起きるかと思ったんだけど、その様子がないからね。詩に従ってとりあえず朝を待つよ。」
修一はそう言って、いつかのメモ用紙を取り出す。
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世界が眠る刻 …=夜?
白き海 …何か特別な海域(白い海が実在する)?白波? 霧峰(濃霧)
潜りて昇らん
いざ深海(神界)への扉が開く …深海へ潜るために潜る。では昇るとは? 濃霧に潜り込んで神界に昇る
立ち込めて問い …問いとは、問うのか、問われるのか
愚者は絶え
賢者は惑い
勇者は堕ちる …3つの例。誰も到達しえないことの示唆か
世界が再び廻るとき …=夜明け・朝?
宮廷への道開かれん …秘宝の在処は宮廷(古代王朝?)
秘宝を手にする者
死者を越えて命を得られん …不老不死またはそれに近しいものになれる?
~~~~~
「今俺たちは、神界にいるんだよね?」
「おそらくね。」
「結局『立ち込めて問い』って何だったんだろう?」
「さぁね。マスターが分からないなら、私には無理よ。」
「随分と他力本願だな(笑)」
「ふふふ。それよりも朝まで暇ね。何か良い暇つぶしある?」
「緊張感がないな…。えーっと、それじゃあ、トランプでもやる?」
「いいわね。ブラックジャックやりましょう。」
「…はいはい(笑)」
二人は朝を待ちながら、賑やかに過ごすのであった。
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