80.必要なもの
秘宝に一歩近づいた?
吟遊詩人の詩の『白き海』が雲海、ひいては霧峰ではないかと考えた修一らは、濃霧が発生すると考えられる海底火山帯に来ていた。
「マスターの見立て通り、水温はかなり高めね。まだ昼だけど、とりあえず夜まで待機する?」
「そうだね。夜になって、空気が冷え込んでくれると嬉しいんだけど…。イヴ、水温が高い意外に何か気になるところはある?」
「…ん~、特にはないわね。」
「あの、ご主人様…疑うわけではないのですが、本当に濃霧が発生するのですか?もし発生するとなると、ほぼ毎日濃霧が発生することになると思うのですが。」
「…何か他にも発生条件があるのでしょうか。称号や職業など…。」
「リリシア、それはこの前言っていた魔法による制約ってやつ?」
「はい。」
「でも、詩には、勇者という如何にもっていうのも出てるけれど――。」
「愚者も出てます。」
「あっ…、…そうなると条件は無さそうですね。」
「んー…何か見落としてるかぁ。霧の発生原因…霧、靄、雲…。――あ。」
「あらマスター、何か分かったの?」
「…ゴミだ。」
「「「え?」」」
「雲を…霧を作るには、水蒸気に纏わせる塵が必要なんだよ!よし、火を焚こう!それで霧が出来やすくなる!」
「え、何それ?本当に?」
「わかりませんが。とりあえず火、起こしますか?」
「うん。」
ということで、火を起こすためにデッキのBBQコンロに火を入れる。…が、
「…折角だし、そのままBBQしましょう?」
というイヴの一声で、焼肉パーティーを開催することになった。
「バーベキュー…ですか?」
「サーラは初めてだね。まぁ、この上で肉を焼いて食べるだけだよ。…前回はシーオーガだったから、今回は、オーク肉にしてみようか。」
「いいわね!じゃあ私は、サワーで!」
「…何が『じゃあ』だ。お酒はなしだよ。」
「えぇぇ!?」
「当たり前だ。今日のメインはこれじゃないだろ。何かあったときに逃げるために今日は素面でいなきゃ。」
「そう、ですね…。」
少ししょんぼりとしながら、リリシアが言う。
「え、そんなに飲みたかった?」
少し慌てる修一。
「あ、いえ、大丈夫ですっ。気になさらないでください。」
「え、でも――。」
「マスターってリリシアに甘いわよね…。」
「それは私も、同意です。」
リリシアと押し問答をしていると、イヴとサーラの口撃を喰らう。う、反論できない。
「ほら、お肉焦げちゃいますよ!――いただきます!――はむっ…わぁ、美味しいです!」
気を使われてるなー。仕方がない。こっちも食べるとしよう。
箸で摘まみ上げ、口に入れる。
…あぁ…うまいぃ~。
オーク(豚鬼)だからだろう、シーオーガに比べ、脂身が多い。…が、全くしつこくなく、脂身の豊かな甘みが口いっぱいに広がる。野性味あふれていたシーオーガも美味しかったが、こちらはザ王道。また一味違って最高に美味しい。
やはり魔力のせいなのだろうか。弾力はあるのに、硬くはない。引き締まっているのに繊細な、地球では食べたことのない味わいだった。
「う~ん♥これはこれで美味しいわね。こっちの方が、癖がないから色んな料理にも出来そうね。」
「…美味しいです。」
みんなの反応も好感触だ。
こうして、お酒はないが、皆でワイワイと肉をつついたのであった。
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