67.大陸発見?
前回のパワーワード『メイドですので』。
彼女の実力を確認し昼食を取った後、久しぶりに紫雲の様子を確認してみると――。
「お、紫雲が陸に向かってる!」
何と彼の目に陸と思しき影が映っていた。
「あら、意外と近かったわね。」
日にして8日間、1日10時間飛行すると仮定すると(実際はもっと飛んでいるだろう)、距離にして約4000kmといったところだろうか。地球でいう東京~ベトナムくらいの距離はあるので全然近くはない。
「…まぁ島の可能性もあるけどね。」
「…でも、島があるということは――。」
「大陸には近づいているということです。」
「なるほど。あれが大陸だとして…どのあたりなんだろ?」
「紫雲さんがどこかの国まで行かないと分からないかと。」
「それじゃあ、もう少し時間がかかるかな。」
そう思い、接続を切ろうとした瞬間――。紫雲の周りに光の玉が集まりだし、あっという間に囲まれていった。
「わ、なんか紫雲が光るマリモに囲まれたんだけど。」
「光るマリモ?…ですか?」
「…おそらくは精霊だと思います。」
「これが…?」
「あぁ、そういうことですね。」
「……。」
「精霊族は保有する魔力量によって、下位から順に浮遊・下級・中級・上級・大精霊・精霊王と格付けされます。精霊族はほとんど人前に姿を現さないので噂の域を出ませんが、浮遊精霊は光の玉のようだと伝えられていますね。」
「なるほど…。」
長文だからか、口を紡いだサーラに代わってリリシアが説明する。
最初は得体の知らない光に囲まれ困惑していた紫雲も、害はないと判断したのか、すっかりと落ち着き、打ち解けた様子を見せている。
そして、修一にある思念を飛ばす。
―――コノ子達、助ケヲ求メテル。
(え、まじで?)
修一は詳細を尋ねた。しかし要領が得ない。
「…ダメだ。全然わからない。」
「紫雲もよくわかってないみたいね。」
「浮遊精霊なので力が足りなくて、上手に会話が成立していないのかもしれないですね。」
「おそらく、そんな感じだろうね。とりあえず、紫雲の要請もあったし向かうだけ向かってみようか。」
「分かったわ。」
「両舷前進微速赤黒なし。進路六十五度、ヨーソロー。…まぁ時間がかかるだろうし、焦らなくていいよ。この船についても工作が必要だし、精霊族についてももう少し知っておきたいな。二人とも知ってる範囲でいいから教えてくれる?」
「はい!」「…御意。」
ということで、大陸を目指すことにした。
彼女たちに教えてもらったことをまとめると、精霊族とは魔素から派生して誕生する種族で、属性を有することが多いとのことだ。自然と同義の存在として、世界中を漂うが、人前には滅多に現れないため、詳細は解明されておらず、姿形の定説はない。大精霊クラスになると力がそのまま自然と直結するので暴走させると龍族を凌ぐパワーを発揮するとされているとのことだ。
だが、無為な自然破壊を良しとせず、戦争や開発に対しては消極的なため、種族間戦争の発生を防ぐ要因のひとつになっているとも言われているそうだ。
「不思議な存在だね。」
「そうですね。」
「浮遊精霊とは言え、目にできるなんてかなりいい経験をしたわね。」
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