66.メイドの真価
メイドが付きました。
サーラが修一のメイドになった翌朝。
「…おはようございます。」
「…おはよう。えっと――何でそこに?」
「…主人が目覚めに合わせて仕えるのは当然です。」
…だそうです。
「んぅ…おはようございます。――サーラさん!?」
隣で寝ていたリリシアが飛び起きる。
「…お気になさらず…。」
「――それは無理ですぅぅ//」
昨晩はナニかしたわけではないのだが、リリシアは恥ずかしいらしい。それにしても、いつの間に現れたんだ?気配を全く感じなかった。あまり心臓に良くないな。
*****
少し遡って――。
サーラを臣下にした後、修一たちは夕食を食べ、彼女の部屋を決めた。
夕食はビーフシチューだったが、大好評だった。サーラも目を丸くしていたし、何よりリリシアが大興奮していた。好みに合ったのかな。また今度作ってあげよう。
サーラの部屋は、倉庫だったところを改造して、水回りとベッドを増設し彼女の部屋にすることなった。『倉庫でいいです。ご主人様の部屋に通じているならこれ以上のものはないので。』という彼女の意向に沿った形だ。倉庫といっても結局一度も使っていなかったし元々クルールーム程度の広さはあったのでやや手狭ではあるが、機能的には問題ない。
しかし、歓迎しないのが約一名――リリシアだ。『ずるいです。』そう言って、昨晩はいつも以上にべったりと修一に甘えていた。距離的に言えばそんなに変わるわけではないのだが、部屋が直接つながっているということが、感情的に面白くないらしい。まぁサーラに対して攻撃的になるわけでは全くないので、しばらくは甘やかしてあげれば問題ないだろう。
「朝食の準備が出来ております。」
「おぉ、それはありがたい。」
サーラが作ってくれたのは、パンとスープというオーソドックスなものだったが、しっかりと味の染み込んだ野菜と、肉の旨味がマッチしてとても美味しかった。
「とても美味しかったわ。」
「実家でもよく口にしていた料理でしたが、とても美味しかったです。サーラさんはお料理も上手なのですね。」
「…メイドですので。」
…サーラはしばしば『メイドだから』で物事を片づける。でも、見たこともない(現実世界の)キッチン用品にアワアワしていたのは見ていたからね?
「欲しい食材や調味料があったら言ってね。」
「かしこまりました。」
その後、実力調査も兼ねて狩りをすることにした。
彼女はアサシンなので、本来正面からの戦闘は向いていない、が――。
「――はっ。――ふっ――。」
次々と魔物が屠られていく。そして、すべてを短剣二本でなぎ倒した後、こちらを向いて華麗なカーテシーを見せた。
「…あの子もかなりやるわね。」
「…この中で一番弱いの、私かもしれません…。」
世界最強種の龍族が軽く落ち込むほど、彼女は強かった。
「流石、74レベル。」
「マスターとどっちが強いかしら?」
「んー…。彼女は隠形だから、正面からやれば流石に負けないと思う。油断はできないけど。」
「…只今戻りました。」
彼女が船に上がってくる。
「お疲れ様。見事な剣捌きだったね。」
「すごくかっこよかったです!」
「…お褒めいただきありがとうございます。」
「でも、なんで靴脱いでるの?」
サーラはなぜか、靴を脱いで甲板に戻ってきた。
「……間違えました。」
少し恥ずかしそうに言う。
可愛いけど、うちのメイドはすこし天然なのかな?というより、靴を脱ぐ文化があるの?それとも甲板を風呂場とでも間違えたのだろうか。
因みに普段、修一とリリシアは靴を履いてはいるが、毎日洗浄魔法で掃除をしている上、外にほとんど出ないため、スリッパみたいな扱いになっている。
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