40.朽木流剣術
イヴの速度狂に続き、リリシアが狙撃狂だと発覚した。
ライフルはリリシアにあげることにした。
遠慮こそしていたが、物欲しそうな視線が隠しきれていなかったよ。
リリシアは狙撃で十分な成果を上げたので、再び修一の番となった。一気に魔物を集めてもらう。ここまで狩った7匹、すべてが居合で一斬だったが、今度は色々なことを試したい。
元々、朽木流剣術は技の多様さが持ち味なのだ。
鎌倉時代に発祥し、室町時代に流派の原形が完成したという同流派は、時代の移ろいとともに公家に捧げる剣舞からはじまり、ゲリラ戦下のサバイバル術など様々なものを柔軟に吸収し、深化してきたのだ。
結果、朽木流剣術は四季と白を根底に、“型”と“式”とで剣技が分けられる剣術となった。型とは実戦のためのものであり、生き抜き敵を屠ることに特化したものが多い一方で、式とは格式に則った剣技であり、技を季節のものに例えるなど、概念的なものが多い。
前世では、戦闘中は型を用いることが圧倒的に多かったが、魔法とうまく合わせれば式も剣技として応用できるかもしれない。修一はそう考えていた。
因みに、白という色が根底にあるのは、源平合戦に由来する。つまり、紅白に分かれて争ったこの合戦で祖先は源氏に仕えていたのだ。当時は特に、白色に強いこだわりがあったため、返り血を浴びるなどで刃を血で汚すことさえ赦されなかったそうだ。
(春の千刀、夏の双刀、秋の無刀、冬の一刀。そしてそれぞれ、桜、波、月、雪を想いて剣を振る。是れ乃ち朽木流。)
「冬景一刀術単雪。」
静謐に告げ、抜刀する。
サハギンはもうすぐそばまで迫ってきていた。
「三の型、雪時雨。」
これは1秒間の動作を3つに分けそれぞれの速度を違えさせることで、相手に倍速で動いているようにも止まっているようにも見せる技である。修練こそいるが、体術ひとつで出来る上、破られにくいので修一が愛用していた技のひとつだった。
魔物の襲撃は踊るように躱され、返す刀で次々と屠られていく。
「八の式、千鳥。」
属性魔法(水)を発動させ、2×4mの水製の鏡を8面作り、残っていた魔物たちを囲う。そして、修一が刀を振り下ろすと鏡の中で一閃が反射し、8面の鏡によってその数が乗倍していく。そして、
ズザザザザザザ!
一閃以外虚構であるはずの斬撃によって魔物たちは全滅させられた。
数にして、30もの魔物が殲滅された。
「…やっぱり、氷魔法が欲しいな。あれじゃただ水板だ。でもまあ、式技も何とか形にはなったか。魔法と合わせることで実現は可能だってことは分かったし、後は威力や消費魔力、継戦力へ影響等実戦レベルで適用できるかどうかが問題になるかな。」
「…もう驚きすぎて疲れたわ。」
「…私、修一さんにも勝てる気がしません。」
日々、秘密裏にイメージし、特訓しまくった成果が出たようだ。
日も暮れてきたので、今日の訓練はここまでにした。
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