3.ダンジョン
ダンジョンマスターになりました。
ダンジョンマスターとしての最初の仕事は、ダンジョンマスターとしてコアへ登録することだった。
ダンジョンコア改めイヴが自身に手をかざせというので、かざすと、水晶玉がぱぁっと蒼く光る。
…これだけで、完了らしい。血の契約とか憧れて…いえ何でもありません。
その後、ダンジョンについての説明を受けた。まとめると以下の通り、
・ダンジョンには、ダンジョンポイントというものがあり、これを稼ぎ、用いてダンジョンの運営を行う。
・ダンジョンポイントは、領内に関係者(召喚したモンスターや家臣等)以外が滞在することで一定時間ごとに溜まり、切傷および殺害を行うことで、ボーナスポイントが獲得できる。
・ダンジョンポイントでできる行為は、ダンジョン拡張/変更、トラップ設置、ダンジョンモンスターの設置/強化等多岐にわたる。
・ダンジョンマスターが死んでもダンジョンは滅亡しないが、コアが破壊されるとダンジョンは滅亡する。
「要するに、ダンジョンポイントっていうやつを溜めていけばいいのか。」
「そうなるわね。でも、このダンジョンに誰かが来たのは、300年前が最後ね。」
「え!?そんなに前!?」
「残念ながら本当よ。幽霊船っていうのがいけないのか、誰も近づきたがらなくて。」
…これは初手詰みっていうやつではないだろうか?
*****
誰も訪れないダンジョンは、平和で安心だね(遠い目)。
早速、修一は戦略を練ることにした。現状確認と遠近の目標および着手する優先順位の設定である。
まず、ダンジョンとして一般的に考えられているだろう『敵が良く集まるが、踏破されない堅固なダンジョンを作る』ことは諦めた方がいいだろう。まず、海上にいるから恒常的に敵を集めることが難しいし、そして何より、ダンジョンポイントが圧倒的に足りない。
もう一度言おう、ダンジョンポイントが圧倒的に足りないのである。
良くも悪くもダンジョンは、ダンジョンポイントに全てが委ねられている。ダンジョン拡張や罠の設置、モンスター召喚等ダンジョンを強化するのはもちろん、来訪の餌となるトレジャーボックスの設置やモンスターの再配置などのダンジョン管理、おまけに照明や水道といったインフラ関係から、修一の食事や衣服までのすべてがダンジョンポイントで賄われるのである。
魔法のない世界からきた俺には、まったくその原理はわからないが、ひとまずそれは置いといて…。
話しを戻そう。今、修一たちは、猛烈な金欠――もとい、ダンジョンポイント不足に苛まれているのである。
どれほどかって?――残高5000ちょっと。向こう1週間の飯も確保できない程度です。
「あなたを呼ぶために、残っていたダンジョンポイントほぼ使い切っちゃった。」
イヴからそう聞かされた時は、頭を抱えた。
この船の耐久性や殺傷能力、修一自身の戦闘能力の確認も考えていたが、まずはダンジョンポイントを稼がねば…。
…ぐぅ~。お腹が空いた。うん、食事にしよう。
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