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35.ガチャ(後編)

 ガチャ前半戦は、サッカーで言うところの3点のビハインド。つまりはほぼ負け確。


 負けじと修一は10000DPでガチャを回す。結果は――。

 一回目、魔石(小)。10000DPでこれか…微妙だな。いや、まだまだこれから。

 二回目、魔石(中)。ちぃっとレベルアップした。次こそ。

 三回目、たわし。…theはずれアイテム。つ、次こそ…。

 四回目、魔石(小)。心が折れそう。

 五回目、白いフラッグ。はい、白旗ですね。

 ここで、ようやく修一は悟った。

 (そう言えば、俺の運のステータスDだ。これは無理だな。)


 と言うことで、残りの二回はリリシアがまわすことになった。

 結果は、魔石(大)とシャチだった。…シャチってなんやねん。完敗だ。先ほど当たった白旗を振る。


 「あははっ。マスターの完敗ね。」

 「あ、あの…なんか、ごめんなさい…。」

 ぐはぁっ。

 「リリシア?そこで謝ると、とどめを刺すことになるわよ?…でも面白いわ、グッジョブ!」

 「ふぇ?」

 「…気にしないで…。いいの引いてくれてありがとね。」

 「はいっ。」

 「ふふふ。」

 はいそこ、笑わない!


 *****


 先ほどガチャで出たものを調べていく。

 シャチについて分析魔法で調べたところ、ダンジョンモンスターだった。が、水中ステージどころか、ダンジョンフィールドさえないこの船でどうしようかと迷っていると、

 「ダンジョンモンスターは、ダンジョンの外でも生きていくことは可能よ。外で捕食してもダンジョンポイントは入るわ。」

 イヴが補足してくれた。

 ほぉ、便利。

 なので早速、デッキに出てシャチを呼び出してみることにした。


 現れたのは、6mほどの巨躯。背面が黒く、腹面は白い。背には大きな背びれを持ち、両目の上方と根元に白い模様がある。まごうことなきシャチだった。確か、個々の模様や背びれの形状が一頭ずつ異なるため、これを個体識別の材料とするとN○Kの特番でやっていた。

 知性がとても高く、北極では氷上の獲物を、波を起こして氷を砕いて襲ったり、挟み撃ちで逃げ道を防いだりなど、高度な狩りの技術を持っており、身体能力は、海中生物最高峰の時速70kmで泳げ、超音波を用いて土地の形状や物質の成分、果ては内容物まで認識することが可能だという。獲物として追っているアシカの肋骨が折れていることを把握していた例もあるという。骨格もサメに比べ圧倒的にしっかりとしたものであり、食物連鎖の頂上に君臨する。とても強く賢い、正しく海の王者である。

 その一方で、家族やコミュニティをとても大事にする生物で、ベビーシッターや食料分配など社会的な行為も多く見られ、死亡した我が子を何百キロ先まで運ぶ母シャチの姿もしばし観察されているそうだ。

 ダンジョンモンスターがダンジョン関係者を襲うことはないが、うちにはリリシアがいる。生態、戦闘力、知性、親和性全てにおいて理想的な生き物と言えるだろう。


 「「かわいいわね(ですね)。」」

 「シャチっていう生物だよ。この世界にもいるようだけど見たことない?」

 「「はじめてよ(です)。」」

 「頭のいい生き物だから避けているのかな。それに可愛い見た目だけど、かなり強いよ。」

 「へぇそれは楽しみね。名前はどうする?」

 「ん~そうだな…。オルカっていうのはどうかな。」

 「うん、いい名前だと思うわ。」

 「私もそう思います。」

 「よし、じゃあオルカに決定で。」

 「キューン!」

 シャチ――改めオルカも気に入ったのか、鳴き声を上げた。オルカとはシャチの別名であり、そんなに深く考えたわけではないが、このことは黙っていた方が良さそうだな。

 その後、自己紹介とリリシアが仲間であるため襲わないよう伝える。オルカはコクコクと首を振って理解を示していた。可愛い。

ご閲読ありがとうございます。


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