33.この世界について
今朝のリリシアは、すっきりとした表情をしていた。何か吹っ切れたのだろうか。悪いことではないしまぁいいか。
早速リリシアの友人の情報を仕入れに移りたい気持ちはあるが、もし今陸に近寄ったら一瞬にしてお陀仏だろう。
今、足りないものは、自分たちの実戦経験、船自体の戦闘力、そして情報だ。
修一はまず、情報から手を付けることにした。知らないとどうしようもないことは存在するし、実戦経験等も知識を入れてからでも損はないためだ。
この世界――マナイーディアのことについて、リリシア監修のもと整理することにする。以前イヴにも教わってはいたが、何百年前のものらしいので色々と正誤がありそうだ。
要点をまとめると以下の通り、
まずこの世界の地理は、大大陸、小大陸、島嶼連合と呼ばれる3つの大陸と、その他に広がる海だけで構成されており、北東の大きな大陸(大大陸)と南西のそれより2周り小さな大陸(小大陸)が、二匹の狼が吠え合うような形をして存在しており、その間から南東方向に島嶼が連なっているらしい。概要はこれだけだが、計算上全体の大きさは地球の2.5倍にあたるそうだ。
そして、“種族の郷”という種族ごとにまとまった生存地域(通称国域)があり、都市レベルまでは点在するものの国としては、種族の郷以外にはほぼ存在しないとのことだ。同時に、種族の間の突発的な衝突はあれど、種族をかけての争いはなく、同族同士の戦争の方が圧倒的に多いそうだ。理由は、種族の郷は各種族に特化した環境になっており、多種族では居住しにくいということや、統治に関して同種の方が容易に行えるということなどがあげられる。
(まぁ、現実世界においても、国家間戦争の勃発は大概にして、エネルギー資源か食糧問題に帰結するからな。魔法という無限機構があるこの世界なら、食糧さえどうにかすれば国は回るよな。言語差も魔法でどうにかなるし、常に魔物という敵が身近にいるのも大きいだろう。)
ただ一方で、外交と言えるほどの国交も行われていないのも確かである。今後も戦争が起きないという保証はないだろう。宗教や民族、マイノリティー、覇権や愛憎など人が争う理由はごまんとあるのだから。
閑話休題、話しを戻そう。
各種族の郷は、さきほどの狼の顔を転用すると、東北の大陸から上あごに妖精族、目に耳長族、額に巨人族、耳に龍族、耳の先に人魚族、後頭部に亜人族、首に人間族と小人族。となっており、南西の大陸は、北部に悪魔族、その他に魔人族。島嶼部は獣人族や魚人族がそれぞれに国を建てているとのことだ。他にも神族や天使族、幻獣族、精霊族があるが、別次元に居を構えていたり、種として群れなかったりと、国としては存在しない。因みに、修一らの現在地点は北西の海のど真ん中であり、一番近い大陸まで東京~イタリア間ほどの距離があるらしい。
次は文化水準についてだ。
地球で言うところの中世ヨーロッパに相当するっぽいが、魔法の存在により、衛生面や軍事面等は発展している。成人のほとんどが生活魔法を使えるため光や火、水に困ることはあまりないそうだ。ただし、属性魔法などその他の魔法のおいては、滅多に使用者がおらずその使用者のほとんどが貴族である。
一方で、魔物や魔獣が原因で、畜産業や水産業の発展は遅れていると言える。魔物とは、ダンジョンおよび魔素溜まりが生み出したモンスターの総称であり、魔獣とは、魔力に飲まれ自我および理性を喪失した化け物の総称である。両者、誰構わず襲う上、一度魔獣に堕ちると元に戻ることはないため殲滅の対象となっている。
学問についてもやはり魔法の影響か、退廃的な部分が多く、科学という分野はない。摩訶不思議が『魔法のせい』で片付くのが要因だろう。
この世界については大方こんなものだろう。
他にも、各種族や国、社会体制についても学んだが、それらは追々まとめていくことにする。
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