29.新たな仲間
リリシアの境遇について話を聞いた。探し人を追ってきたらしい。
「――それで、マスターは、失踪情報が嘘だと思ったのね。」
「まぁね。」
「なるほどね。そんなに強いなら、心配いらないんじゃないかしら?」
「ふふふ。そうですね。皆さんと話していたら、大丈夫な気がしてきました。ありがとうございます。」
「それは良かった。それで、今後のことなんだけど…。」
「は、はい。」
獲って食うようなことはしないが、緊張した面持ちでリリシアが姿勢を正す。
「――良かったらこれからもこの船に乗っていかない?」
「え?それは――。」
「もちろん、お人好しで言ってるわけじゃなくて、こっちにも打算があるから。」
「美女とお近づきになれるからよね?」
「ふぇえ!?」
「イヴ…余計なこと言わなくていいから。」
「ふふふ。ごめんなさい。でも否定はしないのね。」
「否定はできないからね。……話を進めるよ?」
リリシアが顔を真っ赤にしてコクコクとうなずく。可愛い。
「まず、俺らがリリシアを誘う理由は、まず龍族としての戦闘力。実戦経験がないのは知っているし、この船は不戦を掲げているからそこまでの需要があるわけじゃないんだけど、潜在能力は一級品だからね。手持ちの情報も少ないし、居てくれるとすごく嬉しい。
次に、リリシアがいることで得られるダンジョンポイント、メインの理由はこれだね。船にいるだけでかなりのダンジョンポイントが手に入るからいてくれると大変ありがたい。
最後は補足的なものでしかないんだけど、やっぱり仲間がいた方が楽しいからね。それがリリシアのような美人ならなおさら。」
「あ、ありがとうございます…//」
「逆に、こちらからリリシアに提供できるものは3つ、身の安全・美味しいもの・友人の捜索協力だ。
身の安全は文字通りリリシアの安全を保障するよ。航海上のものはもちろん、必要ならば実家からも守るために最大限のことをすると約束する。
美味しいものは、いくつかはもう経験してもらったね。居てくれるならもっと美味しいものを用意するよ。
友人の捜索協力は、できる範囲でになるけど協力する。ただ現状としては、戦闘能力に難ありでしばらく時間はかかるかな。
説明としては以上かな。返事は今すぐじゃなくていいから考えてみて。」
「はい、わかりました。」
修一はそう言うと、考える時間を与えるために一度自室に戻った。
*****
キャビンにはリリシアが一人残される。
「私もやられたことあるわ、あれ。」
イヴが懐かしそうにリリシアに話しかける。
「あれ、ですか?」
「考察だけで色んなことがばれるやつ。」
「本当に吃驚しました。」
「ええ、わかるわ。言葉を失うって初めて経験したわ。でも私はマスターだったからばれて良かったと思えているわ。あなたもそう思える保証はないけれど。」
「ふふふ。修一さんのことを信じているんですね。」
「どうかしらね♪不思議な安心感があるのは確かだけど。」
「わかる気がします。」
「でもこの船に乗るのなら気をつけなさいね。男はみんな狼なんだから、美味しいものに釣られちゃダメよ。そりゃマスターの料理は悪魔的に美味しいのだけれど…。」
「うふふ。他では食べられませんもんね。」
「ええ。でも、他にもおいしいものがいっぱいあるわよ。」
「え?そうなんですか?」
「ええ、例えば――――。」
こうして二人は、修一が再び現れるまでの間、ガールズトークに花を咲かせたのだった。
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