21.コア
チョコレートは最強。反論は認めん。異論はどうぞ。
チョコレートのリラックス効果のおかげか、イヴからコアに関して色々と話を聞くことが出来た。
吸収したものの感覚が別れているなど、ダンジョンとコアの関係性がここまで複雑になっている理由は、コアが自我を持つことが珍しいかららしい。
一般的にコアはあくまで心臓部でしかなく、ダンジョン経営を行うのは、ダンジョンに備わった本能によるものだということだ。そもそもダンジョンに意思はない。ダンジョンとは様々な理由で大量の魔素が吹き溜まったことで生まれるもので、一般的にはモンスターを生成する工場に近いものらしい。
しかしそうなると、イヴのように自我のあるコアがどうして誕生したのか気になる。
イヴはAIが進化したようなものだと思っていたが、寧ろ人間にAIが付属されたという方が近いのかもしれない。コアに自我が目覚めたのではなく、自我ある者がコアになったのではないだろうか。
「ふふふ、面白い考察ね。なんでそう思ったの?」
「何となくだよ。人でなかった者にしては、イヴは感情豊かだなと思って。まぁ、コアにしては、大分抜けてるってことなんだけどね。」
「……それだけ?」
「まあね。でも感情を理解することと、得ることは違うと思うんだよ。」
「えっと、つまり?」
「人間を含めて生物の感情の根源は、欲求だ。食欲、睡眠欲、承認欲…。何かへの願望が感情につながると思うんだ。そういった意味で、無機質だった物は、それがない。種を継続するという究極なそれさえ持ちえないからね。データとして理解はできても真の意味でそれを得ることは出来ないんじゃないかな。」
「なるほどね。それじゃあ、もしその“物”が生殖活動を行うようになったら?」
「んー…考えづらいけどね。生殖活動をするのはとても効率が悪いからね。わざわざ得ようとするとは思えない…いや、もしかすれば、あり得るのか。」
「え?どういうこと?」
「いや、その“物”しか持ちえない願望があったなって。人間への憧憬だよ。――とても非効率で、非理性的だけどね。」
「なるほどね。でも結局私が何だったかは、分からなくなったわね。私もコアになる前の記憶がないから正解は分からないんだけれどね。」
「まぁ、大事なのは“何者だったか“より”どんな者か“だし、どうでもいいけどね。」
「ふふ、フォローどうも。」
「でも、気になってることがあるんだけど、聞いてもいい?」
「ええ、何かしら?」
「俺をこの世界に呼んだ理由って、コアを――お前を破壊させるためだった?」
「―――え。な、何で…そのことを。」
どうやら、呼ばれた理由は当たっていたらしい。
「確信はなかったけどね。でもずっと何で“俺”を呼んだのかは気になってて。」
「マスターを呼んだ理由?」
「そう、ここまで完成されたダンジョンに莫大なポイント使って俺を呼んだ意味が分からなくて。異世界の知識や能力を求めていたとしても、体を用意しないといけない奴を呼ぶとは思えないし。それにイヴは、断ることも結構簡単に容認してたしね。それで、俺を呼んだのは、呼ぶこと自体に意味があったのかと思ったんだ。」
「……。」
「まず、ダンジョンポイントを消費すること。空にしてもダンジョンが死ぬとは思えないけど、経営破綻という意味では有効なのかな。次に、呼んだものにコアおよびダンジョンを破壊させること。初めて会った日にイヴが言っていたお願いっていうのはこのことだったんじゃないかな。結局俺だった意味は、分からないけどね。まあ偶々でしょ。」
「…貧乏くじを引いちゃったわね。」
「まさか。助けてもらって感謝しているよ。それに今の状態を気に入っているんだ。何で、ダンジョンを壊そうと思ったのか今は聞かない。話したくなった時に聞くことにするよ。それに今でも尚、ダンジョンを壊したいと思っているのなら、壊してあげてもいい。」
「…いいえ、この状況は私も気に入っているからいいわ。」
「そっか。チョコレート食べられなくなるのは嫌か(笑)」
「そういうわけじゃないわよっ。」
「あははは。…それじゃこれからもしばらくよろしく。」
「うん…よろしくね。」
少しシリアスになったが、語り合えてよかった。修一はそう思うのであった。
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