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9.VS 呪われた鎧

 ラスボスまで辿りついた修一、目の前には3mほどの大鎧が大剣を携えて佇んでいた。


 「あれに勝てる気がしないんだけど…。」

 「死にはしないんだから頑張ってきなさい。」

 手厳しい意見が返ってきました。まあやるしかないか。


 カーズアーマーに歩み寄ると、それまでピクリともしなかった鎧がのっしりと動き出し、大剣を構え、そして、大振りで振り下ろした。


 ドガァアアアン!


 当然間合いの外なので当たりはしないが、轟音とともに爆風が起き、土煙があがる。


「おいおい凄まじい威力だな。当たったら死ぬだろコレ…。地面にもひびがはいってるし。ここ船だぞ?穴開いたらどうするんだ、全く!」


 船に、そして何より体力や集中力的にも長期戦は不味いと判断し、修一は覚悟を決め飛び込んでいく。


 修一が自身の間合いに入ったその刹那、カーズアーマーが再度その大剣を振り下ろす。

 修一は右に跳躍してこれを回避、すかさず残っていたカーズアーマーの左小手に一撃を叩き込んだ。…が。


 カキィィィン!


 甲高い音が鳴るばかりで、甲冑に小さな傷がついただけであった。


 敵の反撃の足蹴りを避け、修一は間合いを取る。


 「硬過ぎるだろ!斬り付けた剣の方がダメージ喰らったぞ!!」

 毒づきながら、戦略を練る。


 (こりゃ鎧部分はダメだな。狙うは関節の隙間か…。)


 再度、間合いに入った修一は、先ほど同様振り下ろされた大剣を交わし、肘関節を斬りつけた。

 先ほどとは異なり、刃が通る感触を得る。


 (よし、刃が通った!)

 有効性を確認した修一は、そのままカーズアーマーの股下をダッシュでくぐり、体をひねって膝裏にも一撃を食らわせる。


 『グオォオオ!!』

 カーズアーマーがうなり声をあげた。


 「よし、これなら何とか行けるか…。…が。」

 (決め手がない。ゲームのようにHPの概念がないからヒット&(斬っては逃げ)ラン戦法(るの繰り返し)が出来ない…。このままじゃ頭にも届かないし、足を削って跪かせるしかない…か。)


 心を決めた修一は足を狙い続けた。

 (自我のないダンジョンモンスターだからか機械的な動きが多いいな…。これならいけ…ハッ——

 ドガガッシャァァアアアアン!!!!


 カーズアーマーの強烈な一撃をくらい、修一は吹き飛ばされた。


 *****


 「ゴホッゴホッ…。ィッテェ…。」

 (一体何が起こった…?)


 修一は油断していた。

 連続の攻撃成功や敵の機械的な動作、そして死の危機にないという安心感から生じた罠に修一は嵌まったのだ。


 そのため、カーズアーマーが大剣を短く持ち直し、振り下ろしの攻撃の後すぐに薙ぎ払いをしたことに対応しきれなかったのだった。


 (クソッ!驕った…。向こうの一撃の重さを分かっていたはずなのに油断した…。)

 敵は悠然として動かない。こちらが間合いに入るまで動かないのだろう。


 修一は立ち上がろうと力を籠める。体中がミシミシと悲鳴を上げた。

 「イッツ…。高い勉強代になったな…。」


 何とか踏ん張って立ち上がり、ふらつきながらも剣を構える。

 吹き飛ばされても尚、剣を手放さなかったのは剣術家としてのプライドだ。


 (これが訓練でよかった。咄嗟に剣を合せたから体にダメージはそこまで通らなかったんだろうが、それにしてもギリギリだった。

 振り下ろしたまま手首を返さずに薙いでくるとは…。手首を返してたら、俺にバレるだろうことを予想して、大剣の横っ面でそのままブッ叩きてきやがった。何が、機械的だ…、相手はきちんと戦略を練ってきたぞ。

 さぁどうする…もう逃げ回るだけの体力は、俺にも剣にも残ってないぞ…。)


 形勢逆転、背水の陣。

 修一は勝負を決めに前に出る。

ご閲読ありがとうございます。


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