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弟と共にまた生きていこうとおもいます  作者: シルヴィヌ
愛のための醜さよ
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《緑がいっぱい》イコール

 僕は、その不思議で陽気な音のするピンクの積乱雲の煙を見上げて、この孔明くんのスキルはどんな能力だろうかと、考えていた。

 ポルターガイストでは、殲滅力に欠けるので、〖そいつ〗らを殺虫することができない。

 もしかしたら、この状況から抜け出すためにこのスキルが役立つかもしれないからだ。

 そんな期待を抱いていると、またあの音が聞こえてきた。


 《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》

 《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》


(中はいったいどうなっているんだろう?気になるな)


 まるで、中で雷の光る積乱雲のような見た目だ。そのおどろおどろしい見た目にも関わらず、それが出す音は、ものすごく、ハイテンションで軽快だ。


(すごく、気になる)


 僕は、その積乱雲の中に入ろうとして、 


(;・д・)「ワンッ!!!」


 焦ったような孔明くんの声を聞き、われに帰った。孔明くんが焦るとは、いったい何事かと思い、そこで異常に気づいた。


(何で、僕はあの中に入ろうとした?)


 中がどうなっているかも分からないのに、ましてや、孔明くんを穢す〖そいつ〗らを放っておいて、中に入ることを僕は、優先しようとしていた。


(あり得ない…)


 孔明くんを穢す存在を放っておくなんて……


(あり得ない…)


 再度、呟くように思考した後、周りを見回してみると、〖そいつ〗らの行動がおかしいことに気づいた。

 先ほどまで、散乱していた〖そいつ〗らは、押し合いへし合いしながら、我先にと、その積乱雲の煙の中に入っていく。

 その様は、水をためた洗面台の栓を開けたときの、あの排水溝に向かう水の流れに似ていた。

 渦の中心は、もちろんあの積乱雲である。


(いったいこれは、どういうこと?)


 すると、またあの音が……


 《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》《トゥニャプー》


(ううっ、無性にあの中が気になる~)


 その音が出されているとき、あの積乱雲が気になっていたのは、僕だけでなかった。

 〖そいつ〗らの動きが変わった。


(げっ!)


 渦から離れていた〖そいつ〗らが、一斉に翅を開いたのである。

 〖そいつ〗らは、あの積乱雲を見ていた。


(あぁ、マズイ、イナゴの大軍勢がくる)


 ブアアアッァァァァァ………


(*'▽'*)『パアッ』


(孔明!!!そんな面白そうって、顔してないで、避難!…避難~!)


 だが、しかし、〖そいつ〗らに、包囲されているので、もはや、避難することは不可能だと僕は判断した。

 僕は、ポルターガイストを使い、孔明くんの尻尾の上側の付け根の部分を下に向けて、押さえつけ、孔明くんにお座りをさせた。そして今度は、孔明くんの両前足をポルターガイストで持ち上げて、そのまま体を前に倒して、強制的に、伏せの状態にさせる。


(゜ω゜)『ジーッ』


(孔明くん、顔低くして!!!)


 僕はそう思いながら、這い寄る〖そいつ〗らをポルターガイストで、弾き飛ばす。

 そして、僕と孔明くんの上を翅を羽ばたかせて、〖そいつ〗らが、通過していく。

 飛来する〖そいつ〗らが孔明くんに接触することがないように、できる限り孔明くんの体を低くさせたのだ。

 すると……


 ブアアアッァァァ……バァッバ


 飛んでいる音が衝突音に変わる音があちこちで聞こえる。

 そして、〖そいつ〗らの一体が孔明くんの鼻先に落下してくる。孔明くんは、口を開けて、上を向いている。僕は、ポルターガイストで、〖そいつ〗を上に送り返した。

 〖そいつ〗は、羽ばたく緑の汚物共に紛れていった。

 危うく、孔明くんが穢れるところであった。

 そして、下から、見上げるように、〖そいつ〗らのことを見てしまった。

 それで、僕は、たくさんの〖そいつ〗らの腹側を見てしまい、発狂しそうになる。


(密集しすぎだ……)


 たくさん上空で、〖そいつ〗らが、飛んでいることで、あちこちで、飛んでいる〖そいつ〗らがぶつかりあって、落ちてきている。


(気を緩めたら終わりだ)


 地面からも、〖そいつ〗らは、やってくる。

 草の中から出てきた奴を積乱雲の方に送り飛ばす。


(@^▽^@)《ファッサ、ファッサ》


 孔明くんは僕が穢れから守っているにも関わらず、自分から〖そいつ〗らの方に向かおうとしている。尻尾は正直である。孔明くんが今、何を考えているのか、すぐ分かる。


(ハァ、まったくぅ、この子は~……)


 僕の気持ちを知らないで、よくもまぁ、好き勝手できるものだと思った。でも、可愛ゆき存在であることに間違いはない。

 だからこそ許せるものがある。

 そう考えているときでも、〖そいつ〗らは、容赦がない。


 バッバァァ……


 そんな衝突音をたてて、二匹の〖そいつ〗が落下してくる。

 腹側を下にして…


(腹を見せるな!)


 そう思って、目を背けるのを堪え、ポルターガイストで、先に落ちてきた方を掴み、もう一匹に叩きつける。

 更に、こっそりと、草の影から孔明くんの横っ腹に忍び寄っていた〖そいつ〗も、積乱雲のある方へ、弾き飛ばす。


(クッ……カバーしきれない……)


 〖そいつ〗らは数が多く、どれだけ追い払っても、こっちに向かってくる。

 僕は今度こそ戦況を分析する。

 辺りに何かこの状況を改善する何かがないかを探し、寝床にしていた茂みが見えた。

 僕は寝床まで行けば、孔明くんをこの穢れの魔境から守れると考え……


(ヨシッ、ここから離れよう)


 僕は、この場からの離脱を決意した。


次で、防衛戦は最後です。

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異世界 魔王 勇者
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