《緑がいっぱい》ゴブリン
次回は、遂に、戦闘します
次の日の朝、孔明くんにペロンペロされて、目覚めたのだが、それが気持ちがいいので、寝たふりをしていたのだが、
( -_-)o『カプッ……カプカプ』
(イテッ、イテテッ)
どうやら、僕があまりにも起きないので、孔明くんはしびれを切らして噛み付いてきたようだ。
(あ~ぁ……せっかくのご褒美タイムがァァァ……)
僕は、しぶしぶ、浮かび上がって自分が起きていることを示した。
孔明くんは僕が起きたことを確認すると、寝床の外に出て行った。僕もそれに続いて、寝床から出る。
(オォッオォ!!、神秘だ♡)
寝床から出たとき、目に入ったのは、尻尾を上にカールさせた孔明くんのお尻であった。
(なっ、何というこっとんだ♡、これは、百合の花ではないか♡)
尻尾を上にカールさせた孔明くんのお尻は真上から見た百合の花に見えるのだ。
70年ほど前から、今まで、孔明くんのお尻をよく見ていなかったから忘れていたが、孔明くんのお尻は、百合の花に見えるのだ。
肛門の形と奥行きが、めしべとおしべに見え、周りのもふもぉふが、百合の花の花弁に見える。
(孔明くん、あなたはどこまで………いったい、どこまで自分の可愛ゆさを見せつけてくれるのだ。世界の可愛ゆさの上限を突破して、可愛ゆさの超越者の領域に足を踏みいれているのではなかろうか♡。いや、足どころか、体丸ごとスッポリと、入っているのでは?)
そんな幸せな感情に浸っているのを引き裂くように〖そいつ〗は、現れた。
(☆。☆)『ハッ!ジー…トトト』
(ん?どっした?孔明?)
孔明くんは、山が見える側の草原地帯の方に向かって小走りしていく。
孔明くんが、何か見つけたようだ。そして、それに興味がある目をしている。
(もしかしたら、食べ物を見つけたのかな?)
そんなことを考えて、孔明くんが走る方向を見てみたが、どこを見回しても草しかない。
孔明くんが興味を持つようなものはない。
しかし、孔明くんのあの表情は何か気になるものがあった時の表情だということは、分かった。
普段の顔から急に耳と目を興味のある対象に向けて対象に寄ってくので分かりやすいのだ。
(なんか気になる匂いでもしているのかな?)
孔明くんは、鼻が僕よりすごく匂いに敏感だから、何か僕に感じとれないものを感じているに違いない。
そう考えて、僕は急いで、孔明の元に飛んでいく。
僕が孔明くんの尻尾まで到着したとき、孔明くんは、左に曲がって、全力疾走しだした。
(待って~!兄ちゃんを置いて行かないで~!)
声を出せないのに、声を出しているように思いながら、孔明くんを追いかける。
(。・ω・。)「ハッ!!」
すると、孔明くんはそんな声をあげて、草の中に右前足を突き出した。
どうやら、何かを捕まえたらしい。
(にゃにをちゅかまえたぁ?)
《何を捕まえた?》と思い、僕は孔明の頭の前に回り込んで、孔明くんの右前足が抑えているものを見た。
(なんか、足の下で暴れてる)
足の下で見えないが、孔明の右前足の周りの草が不自然に動いている。
(☆。☆)「スンスン、クンクン」
孔明くんは暴れている奴を引き寄せて匂いを嗅いでいる。
(孔明、ちょっと足退けてね)
もしも、毒のある生物だったらまずい。この世界の生物については、何も知らないし、ましてや、スキルのある世界だから、おそらく、魔物みたいな超常生物もいるかもしれないので、注意していた方がいいだろう。
そして、僕は、念力……いや、ポルターガイストの方が、かっこいいと思ったので、ポルターガイストとこのスキルを呼ぼう。
(ほいっ)
僕は、ポルターガイストを使い、孔明くんの足を退かすと、見てしまった、〖そいつ〗を見てしまったのだ。
カサカサッ
(ぇっあ・・・)
押さえていた足から解放されたその姿を……僕は、逃げていくその姿を見てしまった………緑の〖そいつ〗を見てしまった。
(異世界で緑はゴブリンでしょ!!)
我が家で何度その姿を見たことか、名前を呼ぶだけで、口が穢れ、名前を聞くだけで鼓膜が拒絶反応を起こした〖それ〗に〖そいつ〗は似ていた。
体色が緑色であること以外、全てが似ていた。
すると、斜め後方から、
カサカサッ…
左横から、
カサカサッ…
僕の下の地面から、
カサカサッ…
どうやら、〖そいつ〗は、大量発生しているのか、群れているのか、分からないが、とにかく、たくさんいる。
(異世界で緑の代表はゴブリンでしょ!!!なんで!、どうして!!、前の世界の黒の代表が異世界で緑の代表やってるねんだよ!!!)
震えが止まらず、最後の部分の思考がおかしくなっているが、そんなことを考えていても仕方がないのだ。
周りでは《緑がいっぱい》だ。ここから、どうにかして、脱出しなければならないのだ。
(どないしよう)
〖そいつ〗らが前後左右、いたるところで、這い歩く音が聞こえる。震えが止まらない。
(孔明くんが捕まえたのが、蝗みたいな虫だったら、佃煮にして、食べられたのに)
僕は、このとき、恐怖のあまり混乱していた。
佃煮を作るための材料も知らないし、そんな材料あるわけが無い。そもそも、佃煮の《佃》も知らない。そもそも、蝗みたいな虫がこの世界にいるのかどうかも分からない。
訂正しよう、極大混乱していた。
(とりあえず、寝床に戻って対策を練ろう)
そう思ったとき、孔明がいないことに気付いた。
慌てて、辺りを見渡すと、懸命に元気に、楽しそうに走り回って、〖そいつ〗らを追い回す我が家の末っ子がいた。
僕は空を見上げて、なぜゴブリンではなく、名前の似ている〖それ〗とそっくりな体型をした生物がいるのかと、天を仰いだ。
空には、UFOに似た波打つ空間の穴と雲があるだけだ。
(…………運命のいたずらだわな~こりゃ…………)
そんな風に自分の不運を嘲ることを上品に置き換える。
何故そんなことをしたのかというと、今の状況に頭が心が拒絶反応を起こしているからだ。
しかし、僕は急いで、穢れから天使を守るために、現場に急行した。