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神愛転生  作者: クレーン
第三章
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091話:放たれた神獣家族

 さて、華々しい初陣を制したオレだが、まだ戦いは始まったばかりだ。

 そしてペルマンの野郎はっと……。

 うん、地図レーダーで確認したけど、また直ぐに領地の奥の方に逃げ出したみたいだな。

 向かってる方向とアルグランス製の地図から推察すると、どうやら伯爵領の都市に逃げ込もうとしているみたいだ。

 まぁその方向がそのまま帝国の中枢、つまり最終目的地の帝都へと続いているので問題はない。

 じっくりと追い詰めるように前進するとしよう。




 その後、第二陣の約五〇〇〇人と、第三陣の騎士隊一〇〇〇〇騎の領軍とも遭遇したが、全て同じ要領で退散させてやった。

 降参して歯向いさえしてくれなければいいので、こちらの戦力を思い知らせるためにも、この二戦も一切自重はしなかった。


 こんな短時間で第三陣まで突破された上に、その殆どの兵や騎士は武装を投げ捨てているので、ペルマン領軍は壊滅状態だろう。

 たしか軍事的要素でみると、全部隊の三割消失で組織的な抵抗が行えないので全滅。

 五割消失で壊滅。

 一〇割で全部消失で殲滅だったかな?

 情報通りならペルマン領軍の残り戦力は精鋭騎士隊の一〇〇〇〇騎を残すのみなので、現時点でほぼ壊滅ということになる。

 まぁこの辺りは諸説色々あるらしいから、詳しくはどうでもいいや。


 でもって、当然ペルマンは本拠地である都市部に残りの騎士隊を配置しているだろうから、伯爵領での最後の戦いは都市部での戦闘となる。




 そんなことを考えていると、都心部まで残り一キロの地点に到着したが、陽がかなり傾いてきたので、空が若干薄暗い。


 地図レーダーで確認すると、都市を覆う城壁の外側には最終防衛ラインとも言える精鋭騎士隊、約八〇〇〇騎が待機している様子だ。

 となると、最後の二〇〇〇騎は都市部内か?


 ここで手を止めると、ペルマンがあらぬ方向へ逃げ出す可能性は大いに考えられる。

 伯爵領での戦いは本日中にケリを付けたいところでもあるので、このまま夜戦に突入してペルマンを捕らえる作戦でいこうと思う。


「マーク、キャスト、ガドラ。ここはお前たちに任せる。都市に攻め込んでペルマンを捕らえろ。できるか?」

「お任せを、主様! あやつめの臭いは既に捉えております!」

「ようやく私たちの出番ですね!」

「主様~ ボク頑張るね!」


 ハハハ。三頭とも結構退屈そうだったから、ここは華を持たせてやるとしよう。


「じゃあ行ってこい!」

「「「御意!」」」


 颯爽と都市部へ駆けだしたマークたちを見送ると、オレは指先を空に向けて火魔法を唱え、大きな火柱を立てた。

 突然の巨大な火柱のお出ましで、都市を覆う城壁が騒がしくなってるようだな。

 まぁせいぜいオレに気を取られて、マークたちの接近を容易にさせてくれ。


 そんなこんなでしばらくすると、あっちで暴風や落雷、こっちで炎。向こうでは土壁が飛び出して、都市部内外は一気に阿鼻叫喚の木霊するどんちゃか騒ぎになりだした。

 う~ん、マークたち張りきってんな~。

 でも都市部には一般市民もいるだろうから、念話でやり過ぎないように念押ししといた。


 じゃあこっちはのんびりと、徒歩で都市部に向かうとしますかね。

 オレは火魔法を弱め、それを灯りにしながらソルムについてくるよう促す。


「じゃあ行こうか、ソルム」

「は……はい! しかし今更ながらですが……圧倒的ですね……」

「それだけ神様たちの力は伊達じゃないってことだよ」

「まるで夢見物語の光景を見ているような感覚です……」

「やっぱり怖いかい?」

「いえ、そんなことはありません! だって旦那様は今まで一人も殺めていませんから。これほどの力をお持ちでありながら驕らず、しかも敵に敗走するお情けを与える旦那様を、私は誇りに思います!」


 おおう⁈ なんかこの無血占領の方向性が評価されているみたいだ。


「最初、旦那様がペルマン伯爵に宣戦布告をなされた時、私が勝手をしたせいで血の雨が降るのではと怖くなりました……。ですが、あとで旦那様の作戦を聞いた時、私の考えは浅はかであったことを思い知らされました。旦那様は素晴らしい御方です。そんな旦那様にお仕えできる栄誉を賜れたことを、私はとても嬉しく思っています。恐れるどころか、神の御力を賜るに相応しい御方だと、私は改めて感服しております」


 ……………………なにこの高評価?

 ソルムのオレを持ち上げる発言に顔が真っ赤になりそうだ。


 いや……ただ単に、無闇に人を殺めるのには、前世の記憶ゆえの抵抗があったからそうしただけなんだけどなぁ……。

 仮にそれを実行したとしても、恐らく精神力補整で思ってる以上の忌避感は感じないとは思う……。


 でも本当にこの娘は優しいな……。

 急な展開ではあったけど、仲間にして本当に良かったと思うよ。


「ありがとう、ソルム。この世界に来て、まだまだ日の浅いオレだけど、ソルムの期待に添えれるように頑張るから、これからも宜しくね」

「ハイ♪ 旦那様♪」


 うん、マスクをしてても可愛い笑顔だ♪




 ……人を殺めるか…………。

 こんな世界である以上、いずれそういう場面にも出くわすだろうが、ある程度の覚悟は必要だろうな……。

 もしそんな時が来るとするなら、せめて仲間を救うためにであることを切に願うよ……。

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