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神愛転生  作者: クレーン
第三章
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087話:偶像神との対話

 戦いの神、戦神(せんじん)スクレーダ。

 読んで字の如く「戦い」を司る神であり、勇猛な神として崇められている、フォーランドでも多くの信仰を集める人気の神様だ。

 武を尊ぶアルグランス武王国では国を上げて崇拝する神であり、アルグランスの全ての都市や町には、必ず神殿や教会があるほどだ。

 シグマ陛下やアリオス爺は無論、シルフィーやエルナイナ、ダイルやドランの爺さんなどの騎士団関係者も大半はスクレーダを信仰している。

 とはいえ、信仰は別に一つに拘る必要はなく、等しく信仰できるのであれば、ライラのようにスクレーダとセイトルナスと、複数の神を信仰しても大丈夫らしい。

 まぁ勿論、その神の神官や教会に勤める者はその限りにあらずだが。




 で、そのアルグランスが崇める戦神様なんだが…………


「スイマセン、スイマセン、ホントスイマセン…………」


 今もオレの前で絶賛土下座中だったりする…………。







 他の偶像神たちが宥めて、ようやくスクレーダが落ち着きを取り戻した。


「…………というわけで、本当にわた……俺の信者が迷惑をかけまし……かけて申し訳ない……」

「ああ、なるほど~。ドランの爺さんと戦ったあの時か?」


 スクレーダが脅えていた理由が解った。

 ドランと初めて戦った時、確かにスクレーダの名前を聞いて恨んだというか、文句言ってやろうかとか思ってたわ。


「いや、あれは話の流れでそう思っただけで、そこまで怒ったわけじゃないから気にしないでよ」

「そう言って下さいま……くれると助かる……」


 スクレーダからすると、オレと最初に会う時はハナから完全平伏モードでいくつもりだったらしく、なかなか素に切り替えられないようだ。

 まぁその辺りは徐々に慣らしてよ。

 というか、そんなにオレが怖いか?




「で、なんでまたみんなはこの場に?」

「いや、そこのソルムがなかなかソーマ様の話を信じようとしないので、オレたちフォーランド十三神が説得したほうが理解し易いかもと思って……」


 オレの率直な質問にフェルナリオが答える。


 あ~なるほど。確かに舞踏神様のような、存在すらも知らない神様の声より、こうしてソルムたちフォーランドの住人が信仰している、身近な神の声の方が説得力もあるか?


 するとソルムが後ろからクイクイとオレの服を引っ張る。


「どうしたの? ソルム?」

「旦那様、申し訳ございません……。少しでも旦那様のお言葉を疑った私めをどうかお許し下さい……。まさか本当に神々たちとこのようなお付き合いをされているとは……」


 ハハハ……経緯はどうあれ、彼らのおかげでソルムもオレの言葉を信じてくれる気になってくれたみたいだな。


 しかし彼らを見ただけで、よくすんなりと神だと思えたな?

 その辺りを聞いてみたら、やはり毎日祈りを捧げているだけに、特にリネールの姿を見た瞬間、間違いなく神だと直感したそうだ。


 なるほどね~。

 フォーランドの住人からすれば、やはり存在すらも知らない上神様たちより、彼らの信仰によって生まれた偶像神たちの方が馴染みが深く、その存在も感知しやすいってことか?


 そうなると、舞踏神様に突っかかったライラたちも、上神様に馴染みが無かったがゆえの行動と考えると、凄く納得がいく。

 もしそれがセイトルナスとかだったら、また違った反応だったのかも知れないね。




「何はともあれ、みんなのおかげでソルムもオレの話を信じてくれるようになったから助かったよ」

「そう言ってくれると、オレたちも降臨した甲斐があったというものだ」


 フェルナリオが凄く誇らしげだ。


「でも確か時空神様の話じゃ、キミらと接触するのは神殿や教会に行く必要があるって聞いてたけど?」

「ああ……それね。確かにそうなんだけど、いや……なかなかソーマ様が僕たちの神殿に来てくれなかったというか…………」


 すんません! 王都にもいくつか神殿があったそうだが、連日のドタバタで行くのスッカリ忘れてました!


「で、天界からたまたまお二人のお話をお伺いしてましたら、これは私たちの出番ではと思い立ち、こうして馳せ参じた次第ですわ」

「でも今回は、この都市に私たちの神殿があってラッキーだったよね~♪」

「どういうこと?」


 リネールの話では、彼ら偶像神は、彼らがそれぞれ祀られている神殿の近くにまでしか地上に降臨できないそうだ。

 つまり、今回はこのデオンフォード侯爵領の都市に、この五柱の神が祀られている神殿があるので、このような面子になったらしい。


「そうか~ じゃあまた別の街とかに行けば、他の偶像神たちにも会えるってことか?」

「そういうことになる。そしてできれば、今度はソーマ様から神殿を介して我々に接触を図って欲しい」

「うんうん! 私たちからこうして地上に降臨して接触するのは、かなり神力を消耗するんだよ」


 オレからの接触と、彼らからの接触では神力の消耗が段違いらしく、今回の彼らによる地上への降臨は、偶像神が行使できる数々の奇跡の中でもトップレベルの力の行使だったそうだ。

 そう考えると、場所の制限もなく、容易く地上に降臨できる上神様たちの神力が、如何に彼ら偶像神と比べて桁違いなのかがよく解る……。

 うん……ちょっとフラメン姉さんを見直した。




「では、目的も果たせたことだし、そろそろ我々は退散するとしよう」

「今日はソーマ様に直接会えて嬉しかったよ」

「王都には今日来たわたくしたち以外の仲間の神殿もありますので、またお帰りになられたら訪れて下さいましね」

「うん……今回は俺が取り乱したが、次回はゆっくりと話がしたいので、是非来てほしい……」

「じゃあソルム、ソーマ様と仲良くやるんだよ♪」


 最後にリネールがそう言いながら、ソルムの額にキスをした。


「はわわわ⁈」

「あははは♪ じゃあソーマ様、おっじゃましました~♪」


 突然のリネールのスキンシップに慌てるソルムをよそに、五柱の偶像神たちの体は徐々に最初の時のような光の粒子へと姿を変えてゆく……。


「「「「「また会える日を楽しみに!」」」」」


 そして最後にそう言い残し、光の粒子が弾け飛びながら消えた……。




「だ、旦那様…………。私、凄い体験をしました……」

「うん、そうだね……。でも神様って思ってたより面白い存在だろう?」

「う~ん……今はまだそう思えませんが、旦那様と一緒にいると、そう思える日が案外早く来るかも知れませんね……」

「じゃあソルム、もう少し先に踏み込んだ神の世界を見るためにも、オレの話を聞いてくれるかな?」

「ハイ旦那様♪ どうか私を未知の世界へ誘い下さいませ♪」


 うん、いい笑顔だ! …………んん?


「旦那様? どうかなさいましたか?」

「え? あ……いいや…… じゃあ話を続けようか」


 さっきソルムのステータスを見たら、一つの項目が加わっていた。

 まぁなんというか……良かったね、ソルム。


>メイド「ソルム」に豊穣神リネールの加護が付きました

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