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神愛転生  作者: クレーン
第三章
90/210

084話:怒りの鉄拳三倍返し

サブタイが少し微妙だったので変更しました

 傷ついたソルムの怪我を治したオレはそのまま彼女を後ろに下がらせると、ペルマンを睨みながら叫んだ。


「おい! ペルマンのオッサン!」


 オレの一喝でペルマンの眉がピクリと動く。

 オッサン呼ばわりされてムカついてる様子だな。

 まぁせいぜい挑発しながら啖呵切ってやる。


「お前、今さっき言ったな? この場にいる全員に首を洗って待っていろと? つまりそれはこのオレにもクレイト帝国が刃を向けるってことで間違いないんだろうな?」

「何を今更……ああ、その通りだ! 貴様は特に念入りに殺してやるぞ! 生意気な小僧め!」

「フン……できるもんならやってみろよ? だけどその前にもう一つ確認だ。お前は今さっき、このソルムの耳を切り落としたな? 間違いないか?」

「それだ! 貴様なぜ再生魔法などを――」

「そんなことはどうでもいい!! 質問に答えろ! この下品な髭野郎が!」

「ひ……髭……野郎…………貴様、言うに事欠いてこの私を侮辱するか⁈」


 ペルマンの顔が茹蛸のように真っ赤になる。

 今まで散々言いたい放題言っといて、どの口が言うんだか?


「いいからささっと質問に答えろ!」

「ああそうだ! そこに落ちている汚らしい獣人の耳は私が切り落とした! それがどうしっ――――」


 その聞きたかった言葉を確認したと同時に、オレはペルマンの鳩尾に思いっきり拳を抉り込んだ。


「がっ……ががっ…………な……なぜ魔法障壁が……発動しな…………」


 魔法障壁は発動している。

 だがオレがそのままぶち破っただけだ。

 障壁に当たった瞬間に薄いプラ板のようなものに当たる感触があったが、武神様の加護の力の赴くままにそのまま拳をねじ込んだから、あっさりとそれを突破できた。

 流石は武神様の総合格闘術! 相手がモンスターだろうが魔法だろうがお構いなしの破壊力だ!


 混乱しつつも悶絶するペルマンに対し、オレは悠々と眼前に立ち尽くして話を続ける。


「悪いな…… オレはアルグランスに属していない人間だから、使者に手を出す云々の話なんて関係ないだよ……。そして今さっきお前はオレの従者であるソルムに危害を加え、その行為を認めた。だからオレはお前を殴る権利がある!!」

「ばっ……馬鹿な…… その獣人の小娘はアルグランスの…………」

「だったらその御自慢の鑑定スキルでもう一度見てみろよ!」

「きっ、貴様! なぜ私のスキルのことを⁈⁈」

「いいからさっさと見ろ!」


 オレはペルマンにおもいっきりビンタを食らわせてから髪の毛を掴んで、その汚らしい顔をソルムに向けた。


「そ……そんな馬鹿な…… 小娘の職業欄が……さっきと違う……」


 つまりこうだ。


 最初にペルマンがソルムを鑑定したときはこう。


>名前 :ソルム

>レベル:25

>種族 :獣人(狼種)

>年齢 :21歳

>職業 :アルグランス武王国王家付き一般メイド

>称号 :ソーマお世話役特別編成メイド


 で、今はこう見えているはずだ。


>名前 :ソルム

>レベル:25

>種族 :獣人(狼種)

>年齢 :21歳

>職業 :ソーマ専属メイド

>称号 :ソーマのメイド第一号


 つまり、さっきのライラの宣言によって、ソルムはその時点でアルグランス所属でなくなり、再びオレと契約したので職業、つまり所属が完全にオレだけのものになったってワケだ。


 これはオレが今からクレイトに喧嘩を売るために「正当な理由」の一つとして、どうしても必要だったものだ。


 結果的にオレの我儘にソルムを巻き込んでしまったわけだが、その辺りはキチンとケジメは付けるつもりだ。


 それに、このままソルムをアルグランス所属のままにしておくと、さっきペルマンに手を出した所業について責任を取らされる可能性もあるので、それから守るためでもある。




 ソルム――

 成り行きでオレの屋敷のメイドとしてやって来てくれた狼系獣人の女性。

 背が高く凛々しい顔つきの美人さんだけど、少し間の抜けたところもあって、そのギャップも含めて可愛らしい娘だ。

 そんな彼女だけど、オレのために怒ってくれて、そして傷ついた。

 だからオレは怒る。

 マークたちも含め、オレの庇護下にある者を侮辱するどころか、殺そうとまでしたクレイト帝国のやつらを絶対に許しはしない。




「お前はオレの庇護下にあるソルムを傷つけた。今からその代償を支払わせてやる……。誰を相手に宣戦布告したのか、その目でしっかり確認しやがれ!」


 ペルマンの髪の毛を掴んだまま、今度はその嫌らしい顔をオレに向けさせる。


「さあ、もう一度そのスキルでオレを見ろ!」

「な……何を今更……………………っな⁈ な……んだ貴様は…………?!」


 オレのステータスを見たペルマンの苦痛の表情が、徐々に恐怖に染め上げられてゆく。


 今ペルマンに見えているオレの情報はこうだ。


>名前 :ソーマ

>レベル:300

>種族 :人族

>年齢 :15歳

>職業 :自由人

>称号 :クレイトを亡ぼす者


「レ……レベルさんびゃ――」

「それ以上余計なこと言うんじゃねぇよ!」


 オレはペルマンにアッパーカットを食らわせ、後方へ吹き飛ばす。


「「「「伯爵様!」」」」

「ぐっ……ぐぎゃる…………」


 護衛の騎士がペルマンの身を案じるが、まともに返事もできない様子だ

 フン、顎を砕いたからまともに喋れないだろ?

 これで傲慢に満ちた、鬱陶しい声を聞かずにすむってなもんだ。

 まぁチート能力にものを言わせてイキってるオレも大概だが……。


 にしてもペルマンの奴、表示レベルを見て愕然としてるな。

 最初は一〇〇くらいでいいかなと思ったんだけど、この世界で最強クラスと言われているドランの爺さんでもレベル八四と考えると、

恐らく一〇〇前後がこの世界の住人の限界値なんだろうと判断した。

 で、どうせならその三倍くらいがインパクトあるだろうということで設定した次第だ。


 ……うん、三倍……実に心地良い響きだ……。




「きっ……きしゃま! わらひにこんなころをひて、ひゃだでしゅむとおもっていりゅのか⁈」


 まだ減らず口を叩くペルマンのオッサン。

 顎を砕かれてまともに喋れないから、鬱陶しい声が更に鬱陶しい。

 んじゃ黙らせるために、お次の恐怖パートツーいってみよ~。


「マーク、キャスト、ガドラ。元の姿に戻ることと発言を許可する」

「「「そのお言葉! 待ち焦がれておりました!」」」


 オレの命令と共に、犬の姿から神獣へと姿を変えるマークたちの姿を見て、ペルマンたちの表情が凍り付く。


 凄まじい覇気を纏う全高四メートルにも及ぶマークの巨体。

 その神々しい白銀の毛並みと、額に輝く美しい緑の宝石。

 そしてそこから発せられる人智を超えた迫力を放つ姿は、ペルマンたちクレイトの人間には、かくも大きく見えていることだろう。


「ひっ! 人の言葉を喋る獣⁈」

「まさか……本当に神獣⁈」

「ひぃいいい!」

「た……たす……たすけ…………」


 四人の護衛騎士も脚をガタつかせながら完全に戦意を喪失している。

 だが一番脅えているのは、そのマークたちを殺すと宣言したペルマンだ。

 尻もちをついた状態で立ち上がることもできない。


「おい……貴様…………」

「ひ……ひぃぃいいいいい!」


 マークがギロリと鋭い眼と大きな顔を向けると、ペルマンの体が一瞬で硬直する。


「貴様……我への侮辱だけならまだしも、よくもぬけぬけと我が主様を侮辱しおったな…… その所業、万死に値する!!」

「ひっ! ひっ! ひっ! ひっ!……」


 凄まじい迫力のマークの言葉にペルマンは恐怖を通り越し、まるでひきつけを起こしたような荒い呼吸を繰り返すだけだ。

 涙と鼻水と口からの出血で、先ほどまでの偉そうな貴族の面影は微塵も感じない。


「貴方の嫌らしい顔を見るだけで反吐が出そうです。このまま頭を食ってやりましょうか?」

「ええ~ コイツ凄く不味そうだよ、姉上~」


 相当腹に据えかねたのか? 普段は大人しめのキャストとガドラもかなり辛辣だ。


 三頭の神獣を目の当たりにし、最早動くことも言葉を発することもできなくなったペルマン一行。

 誰に喧嘩を吹っ掛けたのか、十分に思い知ったようだな。

 では最後の仕上げといくか。




「今から三時間後だ」

「えっ?」

「今から三時間後、オレたちはクレイト帝国に攻め込む。オレはアルグランスどころか、東大陸のどこの国にも属していない自由人だ。お前らはそんなオレに宣戦を布告したどころか、オレの従者まで傷つけた。だからその報いを受けさせる! 解ったらさっさと帰って皇帝とやらに伝えろ!!」


 最後の言葉と同時に、威圧スキルを中程度に発する。

 MAXだと気絶どころか心臓が破裂しかねないからな。


「主様のお言葉を刻み、さっさとこの場から立ち去れ下郎!」

「「「「「ひっ! ひぃいいいいい!!」」」」」


 マークも威圧を放ち、動けないペルマンは護衛騎士に担がれて逃げるようにこの部屋から退散した。

 ちなみにペルマンには地図(マップ)レーダーによるマーカーを付けてやった。

 地図(マップ)表示範囲外から出てもマーカーは継続されるので、世界中どこに行っても絶対に逃げられない優れものだ。


 さて……クレイト帝国へ攻め込む前に、もう少しだけ準備と手筈を整えとかないとな……。

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