表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神愛転生  作者: クレーン
第三章
83/210

077話:特異点のスキル効果と男女関係

 神気の朝修行を終えて野営地に戻ると、既にダイルとソルムが目を覚ましてテントから外に出ていた。


「お、ソーマのやつが戻ってきたぞ」

「旦那様、お帰りなさいまし。起きたらお姿が無かったので慌てました。キャストちゃんからお話を伺って安心はしましたが……」

「ハハハ、ごめんごめん。ちょっと離れた場所で朝の鍛錬をしてたんだ。驚かせて悪いね」

「いえ……それは問題ないのですが……」

「ん? なにか他に問題でも?」

「いくら寝ていたとはいえ、私に全く気配を気取られずにお出かけになられていたので……。フラメン姉様もそうなのですが、旦那様方はなぜか気配が読みにくいんですよね……。少し自信をなくします……」


 ああ、そういうことね。

 普通ならオレの起きた気配や物音で、感覚の鋭い獣人族であるソルムはいち早くそれに気付くんだろうが、まぁそれは普通の人だったらの話だ。

 どうやらオレやフラメン姉さんみたいな、神様縁の人間や神様そのものの気配は察知しづらいようだ。


 ソルムはその獣人族の特性を活かし、オレの護衛役という形で今回の旅に同行している。

 だが、その護衛対象を見失なったという事実は、彼女自身にそれなりのショックを与えてしまったようだ。

 耳をペタンと閉じ、尻尾を丸めてションボリしてるソルムの頭を……届かん。

 少しつま先立ちして体を伸ばしてなんとか届いたので、それを優しく撫でてやる。


「旦那様?」

「ありがとうソルム。心配かけちゃってごめんね。でも、あんまりそういうことで気落ちはしないでくれよ。こう見えてもオレはソルムより凄く強いんだからね」

「そうだぞ。お前はソーマの強さを体感したことないから不安なんだろうが、コイツはアリオス陛下やドラン殿をも赤子扱いするほどの傑物だぞ? 俺らが心配するだけ無駄だよ」


 ダイルが援護射撃をしてくれる。

 最後の一言に若干ツッコミを入れたいところだが、今は良しとしておこう。


「それはお話に伺っておりますが……でも……」

「ソルム、これはオレからのお願いだ。オレもライラに負けず劣らずの我儘な性格だ。あまり過保護にされ過ぎるのは好きじゃない。ソルムの立場や言い分も理解しているつもりだけど、そこは折れてくれないかな?」


 そう言いながら、もう少し気持ちを込めて頭を撫でてやると、少しソルムの表情が軟化したように感じた。

 尻尾が左右に揺れているから、嫌がってはいないようだね。


「旦那様に頭を撫でられると、本当に心が癒される感じがします……」

「そうかい?」

「はい……とっても心地良いです。旦那様、駄々をこねるようなことを申し上げ、大変失礼しました。今後は旦那様の御気を煩わせることのないよう従事させていただきますので、どうかお見捨てにならないで下さいませ」


 ソルムはそう言いながら一歩後ろに下がり、深く頭を下げてお辞儀する。


「ああ、そうしてくれると助かるよ」

「ありがとうございます。旦那様」

「あと、この際だから聞いておきたいんだけど、なんでお屋敷の獣人メイドたちって、みんなあんなにオレを慕ってくれるのかな?」


 うん、実は結構気になってたんだ。

 エキルス女史との一件があったとはいえ、少しモテ過ぎな気がしてたから……。


「う~ん……なぜだか分からないのですが、旦那様には不思議な魅力を皆感じております。それが答えでは駄目でしょうか?」


 理由としてはイマイチだな。

 特に獣人娘たちからは別のベクトルで好意を感じるんだよなぁ~。

 ドワーフ族たちからの「友好的」って感覚じゃなく、どちらかっていうと「従順に懐く」って感じ?

 なんでだろう?


>原因判明

>スキル「調教(獣)」の影響です


 ………………ハイ? っていうか久しぶりだねAR表示さん。

 調教スキルが影響してる? いや……だってアレって獣系の動物やモンスターなんかをテイムするスキルだろ?


>獣人族にも獣の血が混ざっておりますゆえ


 えええ~⁈ そんな理由⁈ じゃあ獣系の調教スキル持ちって、みんな獣人族にモテるってことか?


>通常の調教スキルでは知性ある獣人族を従わせる能力はありません

>此度の事例は、特異点の発する調教スキルという点が大きく作用しています

>そしてその余波は獣人族にも影響を及ぼすことが判明しました


 …………つまりオレの持つスキルってのは、他の人が使う同一のスキルでも微妙に性能が違うってことか?


>肯定です

>実に興味深い事例なので、どんどん色々なスキルを習得しましょう


 勝手なこと言うな!

 しかしまさかこの体質とスキルが影響していたとは……。

 と思っていたら――


「あと大変恐縮なのですが……旦那様って可愛らしい面持ちですのに、兄のような頼もしさも感じておりまして……その……私個人の趣向に非常に合致しているというか…………」


 ――ソルムが凄く恥ずかしそうな表情で両手の指をモジモジと絡ませながらでそんなことを言いだし、オレは思わず赤面してしまった。




 聞いたところでは、オレの屋敷のメイドたちは全員、特にその辺りの趣向が強い連中ばかりらしい……。

 ショタ好きって、この世界にも普通にいるのね……。


 まぁ嫌われるよりかは、好かれている方がいいか……。

 親になりたくないから一夫多妻のハーレム路線なんてのは御免だが、普通にこうして女の子と親しい仲になるのは嫌いじゃない。

 一応オレもKENZENな男子なんだよね。


 要は一線を越えないように気を付ければいいだけの話だ。

 オレは親となって家庭を築くのが嫌なだけであって、普通に女遊びは好きな方だ。

 事実、前世では何度か風俗にも行っていた。

 いくらオタク趣味でも、中年になってまで「どどど童貞ちゃうわ」なんて台詞は言いたくなかったしね。

 相手が娼婦だからこその後腐れの無さが、オレの生き方と性欲の狭間を上手く埋めてくれていたと思う。

 もしオレに愛なんてものがあるとするなら、そういうビジネスライクでインスタントな愛で十分なんだよ……。




 ということで、改めてこの世界で生きる上での男女関係についての注意事項を再確認。

 ソルムにも今後も気負わず、いつも通りに接してくれていいと念を押しておいた。

 無論スキンシップは程々にと付け加えたが……。


 ああ……腹も減ったし、さっさと朝食済ませて出発しよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ