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神愛転生  作者: クレーン
第三章
80/210

074話:アルグランス武王国一周の旅へ

 ライラとシルフィーの様子がおかしい。

 というか、こういう症状をオレは知っている。

 完全な寝不足ってやつだ。

 となれば、思い当たる原因は一つしかない。

 というか、アレしかない!


「ててって ててって ててって ててて♪」

「「ててって ててって ててって ててて♪…………ハッ⁈」」


 オレが労働ランナーのBGMを口ずさむと、眠気眼の二人も釣られてそのBGMを無意識に口ずさむ。

 そしてハッとした表情で我に返るがもう遅い。


「おまえら……徹夜しただろう?」


 オレの言葉を聞くや否や、二人揃って左右に目を反らす。

 こういう時もほんと息ぴったりだねキミら。


「一日一時間の制限かけるか……」

「待った待った待ったなのじゃ! 正直に謝るからそれだけは堪忍してたもれ~!」

「すいませんソーマ殿! もう止めよう、もう止めようと思ってはいたのですが、宝が……レンガが……梯子が……」


 オレがカマをかけると二人共あっさりと白状した。

 どうやら予想通り、徹夜で労働ランナーを遊んでいたらしい。

 いや、気持ちは解るけどハマり過ぎだ。


「まったく……ある程度予想はしてたけど、初日でコレかよ……」

「面目ないのじゃ……」

「というか、アレ面白過ぎますよ……」

「まぁそうなんだろうけど、のめり込み過ぎると体にもよくないからほどほどにな」

「了解なのじゃ……」

「以後注意します……」

「しばらくの間は毎日遊んだ時間を確認するから、あまり度が過ぎると本当に制限かけるからな。注意するように!」

「「はぁ~い……」」


 オレの説教で二人ともしおしおだ。

 適度な量なら問題ないが、度が過ぎれば遊びでも毒だ。

 その辺りは本当に注意してもらいたいよ……。

 …………一つ気になることがあったから聞いてみよう。


「ところでどこまで進んだ?」

「二三ステージまでなのじゃ!」

「なかなか歯応えのあるステージでした♪」


 一日でもう半分近くまで進めたのか……。

 このペースだと明日くらいにはクリアしそうだな。


「よしお前ら、いいことを教えてやる。実は労働ランナーにはより高度な続編が存在する」

「なん……じゃと…………?!」

「ソーマ殿! それは本当なのですか⁈」


 ワハハハ……すげぇ食い付き。

 だが「チャンピオンシップ労働ランナー」はかなりの骨太ゲームだぞ。


「ああ本当だ。それが遊びたかったら、徹夜は二度とするな。言いつけを守れば、帰った時に遊ばせてやる。いいな?」

「了解したのじゃ! 二度とゲームで徹夜はせぬ!」

「私も名にかけて誓います!」

「じゃあ約束だぞ」


 そう言いながら踵を返して出発しようとすると、おもむろに後ろからライラに手を引っ張られた。なんだよ?


「ソ……ソーマ殿……その…… い、行ってらっしゃい……なのじゃ……」


 …………ああもう! こいつのこういう、たまに見せる可愛いところって本当に反則だよな~。

 ゴラス島での最初の別れの時を思い出しちゃったよ……。

 まぁでも、こう言われたらちゃんと返事しないとね。


「ああ……行ってきます」

「早く帰るのじゃぞ……」

「ああ、わかってるよ」


 オレはそう返事をしながら、ライラの頭を優しく撫でてやる。

 ハハハ、なんだか出勤する夫と、それを見送る新妻みたいな会話だな…………って、おっとイカンイカン! そういう気は毛頭ないっての!

 昨日のフラメン姉さんとの話が尾を引いてるのか?

 少し気持ちを落ち着けよう。


『じゃあ行ってくる。念話で毎晩必ず一度は報告を入れるから安心しろ』

『わかったのじゃ!』

『毎晩連絡が来るなら安心ですね』

『あと、くれぐれもゲームのやり過ぎには気を付けろよ?』

『わかっておるのじゃ!』

『それと、なにか困ったことがあれば、その時はフラメン姉さんを頼れ。きっと力になってくれる』

『その通りなのだよ♪ 遠慮なく頼るのだよ♪』

『うおっと! なんで姉さんが念話に⁈』

『神の力を甘く見ないで欲しいのだよ♪』


 そういやそうか……これくらいのことは造作もないか……。

 いつの間にか、背後からライラとシルフィーを抱き寄せたフラメン姉さんがにっこりと微笑んでいる


「ライラちゃんたちのことは任せるのだよ。だから安心して行ってきなさい。ソーマ」

「あ……――」


 ……初めて呼び捨てで名前を呼んでくれた気がするな……。


「――はい、姉さん。ライラたちをお願いします」

「例の修行も怠りないようになのだよ」

「ハイ! では行ってきます!」


 オレは元気にそう返事すると、颯爽とマークに跨って号令をかける。


「みんな! 出発するぞ!」

「おう! いくぞガドラ!」

「うん! ダイルお兄ちゃん♪」

「キャストちゃん、よろしくね」

「振り落とされないように気をつけて下さいね、ソルム」


 ダイルとソルムもスコル姉弟に跨り、出発準備が整った。


「みんなも留守のあいだ頼んだよ!」

「「「「「お任せ下さい旦那様!! どうぞ行ってらっしゃいませ!!」」」」」


 うん、いい返事だ。

 みんな元気で笑顔がいい!


「じゃあ行ってくる! 出発!!」

「「「御意!!」」」


 オレの号令と共に、マークたちが颯爽と市街地を駆け抜けて城壁の門をくぐると、王都エトロスタンを後にした。


「い~やっほ~~~う!!」


 さあ! アルグランス武王国一周という名の冒険の始まりだ!

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