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神愛転生  作者: クレーン
第三章
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060話:新しい住居と使用人たち

 雷の月、一日の朝。

 オレと舞踏神様……もとい、フラメン姉さんの二人と、マーク、キャスト、ガドラの三頭はお屋敷……いや、豪邸の門前に立ち尽していた。


「これが……お礼の屋敷?」

「ほほう、なかなかに良いお屋敷なのだよ♪」

「庭が広くて運動に丁度よさそうですな」

「ガドラ、あとでかけっこをしましょう!」

「うん姉上! ボク楽しみ♪」


 せいぜい五、六部屋くらいの大きな一軒家程度に思ってたんだけど、どう見ても二〇部屋以上はあるよね?

 そして門番をしている二人の衛兵ドワーフが門を開けると、その豪邸の玄関前には二〇名ほどの人たちが綺麗に横一列に並んで待ち構えていた。


「お帰りなさいませ、ソーマ様。そしてフラメン様と神獣様方」

「「「お帰りなさいませ! ソーマ様! フラメン様! 神獣様方!」」」


 綺麗に整えられた口髭を生やすハイドワーフ紳士がそういうと、周りの人達も続けて声を揃えて挨拶をする。


「お~♪ これは大歓迎なのだよ♪」

「えっと……貴方は?」


 最初に挨拶をしたハイドワーフ紳士がリーダーっぽいので声をかけてみる。


「私、当屋敷の執事を任されましたハルガスと申します。以後お見知り置きを……」


 ハルガス氏が深々と頭を下げると、周りの使用人たちも続けて頭を下げる。


 一応ライラから「小さな屋敷じゃし、少ないが使用人も付くので安心するのじゃ!」とは事前に聞いていたが、まさかこんな大きな豪邸で、こんな大所帯になるとは思ってもみなかった……。

 つか、どこが小さい屋敷と少ない使用人だよ⁈

 心の中でライラに文句を言いつつ、オレは王城での四日間を思い出す。







 初日の歓迎パーティーの顛末だが、まぁ色々と大騒ぎでした。

 神獣を従える謎の少年に、踊りの達人の姉の登場。

 しかもその姉にも神獣は服従してるのだから、騒ぎにならない方がどうかしてる。

 しかし裏を返せば、オレ同様に敵対さえしなければ、特に社交界では非常に心強い味方となる。

 シグマ陛下は舞踏神様改め、フラメン姉さんもオレと同等の待遇をもって迎えてくれることを確約。

 昨夜のパーティー最終日までの間、盛大にもてなしてくれた。

 まぁ当然ながらアリオス爺とかから色々と質問責めにはあったけど、今まで通りはぐらかして誤魔化した。

 オレ一人だけの問題なら別にいいんだけど、神様絡みとなればシラを切り通すしか道はない。


 ちなみに舞踏神様ことフラメン姉さんだが、その美貌から男性たちに囲まれて大層な人気だったが、パーティー三日目と最終日は、オレに作らせた燕尾服を着こなし、さながら男装の麗人として多くの女性たちのダンス相手を務めていた。

 それゆえか、女性陣からは「フラメン姉様」と呼ばれだし、絶大な人気を獲得するに至った。

 この人、恋愛神様と同じ顔で超美人なんだけど、言動や表情が凛々しいのもあって、どうやら女性受けするタイプのようだ。

 あと、その燕尾服にギラついた視線を送る宰相さんとダイルが少し怖かったです……。







 とまぁ、そんな感じで四日間の王城での生活をなんとか終え、今こうしてオレの為に用意してくれた屋敷にやってきたんだが、いやもうほんと……色々と想像を絶していました……。




 ハルガス氏に促されながら屋敷に入ると、まずは広々としたホールが広がり、その左右には各部屋に通じる廊下と、二階へと通じる階段があった。

 とりあえずそこで、使用人一人一人と挨拶を交わした。

 

 使用人の構成は執事のハルガス氏を筆頭に、その補佐執事が一名。

 コック三名と庭師が二名。

 門番をしていたドワーフ衛兵を含めた警護担当が六名。

 そして掃除や給仕、雑務、身の回りのお世話役をするメイドが一〇名の計二三名が、この屋敷を切り盛りしてくれるそうだ。


 そしてその中には二人ほど見知った顔がいた。

 まずはコックを担当してくれるのが、なんと王城の料理長さんだ。

 ライラとシグマ陛下の計らいで、料理修行も兼ねてこの屋敷に特別勤務となったらしい。


「色々と勉強させてもらうことになるでしょうが、どうぞ宜しくお願い致します」

「こちらこそ宜しくです。ここにいてくれるなら、王城までお邪魔する手間が省けて助かりますね」


 そして一〇名いる和服割烹着のメイドさんの中に、以前オレの相手をしてくれたサーシャさんもいた。

 なんでも、先日オレのお相手を無事に果たした功績が認められ、見習い筆頭から正式にメイドへと昇格を果たしたそうだ。

 でもって、これまたライラの計らいと本人の強い希望もあって、この屋敷に配属となったそうだ。


「まだまだ至らぬ身ではありますが、誠心誠意お尽くしさせていただきます」

「こちらこそ宜しく。あとでお茶、お願いしますね」

「はっ! はいっ!」

「ハハハ、どうやらお茶の係はサーシャに取られてしまったようですな」


 満面の笑顔で返事するサーシャさんに対し、ハルガス氏が優しい笑顔で場を更に和やかにする。




 使用人全員との挨拶を終えたオレは、ハルガス氏の案内で屋敷を一通り見て回った。

 まぁAR表示の地図でも把握はできてるんだけど、こういうのはやはり直に見たほうが色々と都合がいいと思う。

 ということで、詳細にこの屋敷の構造を把握したので、皆の待つホールに戻る。


「ライラ殿下からは、この屋敷はソーマ様の自由に改装なさっても結構とのお言葉をお預かりしております。なにか気になる点などございましたら、どうぞなんなりとお申し付け下さいませ」

「え? そんなことしちゃっていいんですか? ハルガスさん」

「ソーマ様、どうか我らに敬称付けや敬語はお止めください。それと、もし許されるのであれば、どうか旦那様とお呼びする許可をいただきたく存じます」

「ええ~ それはちょっと……」


 こんな老紳士相手にタメ口とかハードル高いよ。

 ファンタジーノベルでも、平民だった主人公が一気に上流階級にのし上がって経験する「身分ギャップ」ってやつだ。

 でも確か、こういう世界ではそうしないと対外的にも示しが付かないってのもよく聞く話だ。

 ハルガス氏たちを困らせるのにも少し抵抗はあるので、ここは言葉に乗っておくか……。


「わかった。じゃあハルガス、これでいいかい?」

「はい旦那様。大変に宜しゅうございます」

「みんなも宜しく頼む」

「「「はい! 旦那様!」」」


 ハハハ、底辺オタク生活の人間が旦那様呼ばわりだよ……。

 ほんと、人生なにが起こるか分からんね。

 でも、あんまり調子に乗り過ぎないように注意しておこう。

 慣れないものは、やっぱり慣れないのだから……。


「あ、そういや舞……フラメン姉さんとマークたちはどう呼ぶんだ?」

「通例ですと、どちらもお名前に様付けでございますが、なにかご希望などはございますでしょうか?」

「だそうだけど、マークたちはどうする?」

「主様、私どもは好きなように呼ばせて結構でございます」

「ということらしいので、マークたちは好きなように呼んで下さい。でも一応、彼らもオレの大切な家族ってことは忘れないで下さいね」


 なんて注意付けを言ったら、マークたちが感動のあまりに泣き出した。


「あ、主様! なんと勿体なきお言葉……! このマーク、感激でございます!」

「父上! キャストは嬉しくて嬉しくて……」

「今度母上にも教えてあげようね! 姉上!」

「あー……とりあえずそういう事なんで、あとはヨロシク~」

「かしこまりました」


 次にフラメン姉さんの呼び方だけど、普通に様付けで呼ぶことになったが、姉さんが一つだけ変な注文を出した。


「メイドの女子だけは私をフラメン姉様と呼ぶのだよ♪」

「「「キャ~! フラメン姉様~~!!」」」

「うんうん、みんな可愛い妹たちなのだよ♪」


 メイドたちからの黄色い歓声に、大層御満悦のフラメン姉さんである。

 もう好きにやってくれや……。




「で、話を戻すけど、改装なんてやっちゃっていいのかい?」

「はい、ライラ殿下からは旦那様の御眼鏡にかかれば恐らく不満の多い物件でしょうから、好きなようになされて良いと仰せつかっております」


 さすライ! オレの家で生活してたから色々と気を回してくれたみたいだな。

 じゃあ早速……まずは風呂を改装させてもらいましょうか!

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