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神愛転生  作者: クレーン
第三章
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058話:神様降臨大会

「先も言った通り、今ここにいる舞踏神様は一回目の抽選会でフォーランドにやって来た……」

「ふむ、それは理解しておるが、なにが問題なのかの?」

「いや、今となってはそこは問題じゃない。問題なのは二回目の抽選会が開かれるタイミングだ」

「あ! まさか⁈」


 流石にシルフィーは気付いたみたいだな。


 そう、問題なのは「ひと月に一柱」という内容。

 つまり次の月、雷の月に入ったタイミングで二回目の抽選会が直ぐに執り行われる可能性があるということだ。


 今日が火竜の月の二七日だから、あと四日後には、また新しい上神様がこのフォーランドに降臨する可能性が極めて高い。


「なるほどのう……四日後には早くも新しい上神様が降臨なされると……。しかもこのペースでいけば、今年の内に舞踏神様を含めて六柱もの上神様が、このフォーランドに降臨なされるという話になるのじゃな……」

「そういうこと……。でもそれだけだったら、オレもそこまで慌ててないんだよなぁ~……」

「どういうことですか?」


 オレの若干諦め気味な表情に、シルフィーが心配そうに声をかけてくれる。


「今、オレの体には五大神様を除いて、一七柱の神様の加護が宿っているんだけど――」

「正確には、私のも含めて今は一八なのだよ。どうする? あの時は成り行きで勝手に加護を与えたけど、不要だというなら外すのだよ? 無理矢理はルール違反だからねぇ」

「いえ、これから先の社交のことを考えれば、舞踏神様の加護の力は超有効です。ここはありがたく頂戴させてもらいます!」

「うむ、それは重畳なのだよ♪」


 オレの即答に舞踏神様は御満悦の御様子だ。

 って、おっとと。また話が脱線した。修正修正っと!


「話を戻すけど、その一七柱の神様のうち五柱の神様が…………もう既にフォーランドに降臨しているらしいんだよ…………」


 オレが頭を抱えながらそう言った瞬間、部屋中がシ~ンと静まり返った。

 オレと舞踏神様を除く他のみんなは予想通りの絶句の表情だ。

 うん、仕方がないよね……驚くよね……頭抱えたくなるよね……。


「つつつ、つまりじゃ? もう既に舞踏神様を含めて六柱の上神様が降臨なされておるということなのかの⁈」

「そうなんだよぉおお~~~!!」


 オレは両手で顔を隠しながら、床にゴロゴロと転がり込んだ。

 この異常な現実から逃走したい気持ちで一杯です。ハイ……。


「しかして、一体どの上神様が降臨なされておるのじゃろうか?」

「いや…… それがね…………」


 舞踏神様の話では、それは判らないらしい。

 舞踏神様も当選した嬉しさのあまり、当選したその時点で直ぐに降臨したらしく、詳しい情報をまったく確認していなかったそうだ。

 ただ、オレに加護を与えている一七神のうち、五柱が既に降臨しているという情報しか知らないのだ。


「いやあ~、思い返せばあの時ははしゃぎ過ぎていたと、少し恥ずかしい気持ちになるのだよ。アハハハハ♪」


 全然そんな風には見えませんけどね……。

 というか、この状況を楽しんでるようにしか見えないです。ハイ。




「とにかく状況は理解したのじゃ。しかし今までの話をまとめると、その五柱の上神様も、どこに降臨しておるのかまでは判らんのじゃろう?」

「まぁそうなるね……」

「なら、今はそこまで慌てる必要はないのでは? 神々たちがその神の御力というのを使えないのであれば、ソーマ殿がどこにおられるのかまでも判らないでしょうし、もし仮に判ったとしても、別の大陸におられたら、そう簡単にはここまで来られませんよね?」

「御明察なのだよ。神力の使用は基本的に禁じられているし、神力を行使したところでソーマ君の居場所までは判らないのだよ。それに下界へ降臨した神はたとえ上神といえども、相当な力を抑制される。今の私の体も人間とそう大差はないのだよ」

「最後の言葉に若干の突っ込みを入れたくなりますが……。でも確かに、言われてみればそうだよな?」


 別にこの世界をどうこうしようと考えて来てるわけでもない話だし、力もかなり制限されている様子だし……。アレ? もしかして案外そこまで深刻に考える必要なくね? この話?


「ようやく気付いたのだよ……。私が余りに早過ぎるタイミングでソーマ君と出会ってしまったから、少し気が動転していただけの話なのだよ? こんな偶然はそう何度も起きるものではないのだよ」

「少し慌て過ぎではないのかの? ソーマ殿よ?」

「凄く深刻そうなお顔をされていたから、この世の終わりかと心配しましたよ……」

「スンマセン……少し取り乱し過ぎました…………」


 そうだ……まだ慌てるような時間じゃない……。

 オレはそう思い込むことにして、この話を切り上げた。

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