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神愛転生  作者: クレーン
第三章
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055話:踊る神と特異点(ワルツ)

今回は少し会話多めです。

 AR表示では「正体不明」と表示されてるけど間違いない。

 オレの目の前には恋愛神様が立っている……。


「な、なんで貴方がこんなところに?」

「ハハハ。どうやらキミは少し誤解をしているみたいなのだよ。その辺りはどうだい? 私と踊りながら話すというのは?」


 恋愛神様はそうお道化ながら人差し指をオレの額にチョンと当てると、ライラの隣に立って同じように手を差し出す。

 と、同時に、AR表示のログに新しい情報が流れた……。


>「舞踏神の加護」を得た

>スキル「舞踊全般(極大)」を得た




 ……

 …………

 ………………




 ナンデスト?




 AR表示を見てポカ~ンと放心面のオレだが、ライラはオレに手を差し出すこの人……舞踏神様? に抗議している。


「な、なんなのじゃおぬしは⁈ いきなり現れたかと思えば、わらわを差し置いてソーマ殿を誘うとは⁈」


 だあああああ! ライラやめ~~~!! 神様に喧嘩売るんじゃなああああい!


「ライラ! 落ち着け! いいからちょっとこっち来い!」

「なんなのじゃ⁈ いったい⁈」


 オレは舞踏神様からライラを引きはがしてそのまま少し距離を置くと、シルフィーとマークたちも呼び寄せて円陣を組みようにしゃがみ込み、眷属通信をフルオープンした。


『一体どうしたのじゃソーマ殿! 念話まで開くとは!』

『いいかお前ら! あの人に絶対失礼なことをするな!』

『無礼なのはあやつのほうじゃ! わらわを差し置いてソーマ殿と先に踊ろうなどと!』

『そうですよ! それにその次は私とも踊る約束なんですよ!』


 ああもう、踊る順番とかでそんな躍起になるなよまったく!


『いいかよく聞け! あの人、神様だ……』


 オレの言葉を聞いてみんなの顔が一瞬で真顔になると、更に円陣の径が縮こまるように顔を寄せ合った。


『そ、それは本当なのかの?』

『間違いない……。しかもフォーランドの神様より上の存在。上神様だ』

『な、なんでそんなお方がこんなところへ⁈』

『なんでって言われても……』


 そう返事しながら全員で舞踏神様に視線を向けると、当の舞踏神様はにこやかな笑顔でオレたちに小さく手を振っていた。

 そんな舞踏神様のお姿を見て、再び円陣を組む。


『そんなのオレが知りたいよ! とにかく、今から話を聞いてくるから、すまないがダンスの件に関しては後で頼む!』

『りょ、了解したのじゃ…………』

『流石に相手が悪過ぎますよね……』

『『『『主様、御武運を!』』』』

『お、おう……死ぬ気で踊ってくるよ…………』


 というか、何でオレら念話でもヒソヒソ声で喋ってるんだろう?

 とにかくみんなの了解を得られたので、オレは舞踏神様の前で跪いて手を差し出す。


「お待たせしました。どうかわたしと一曲踊って下さい……」

「ウン♪ ありがとう♪ 話はついたみたいだね。では是非お願いするのだよ♪」


 舞踏神様は笑顔でオレの手にその細い手を重ね、そのまま二人でダンスの行われている場所へと移動する。


「おお、ソーマ殿が躍られるようだぞ?」

「それにしてもあの美しい御婦人は何者だ?」

「ほほう、どれほどの踊りを嗜んでおるのか見物ですな」


 オレと舞踏神様に注目する者たちから、そんな声が聞こえてくる。

 くそ~~ 人の気も知らないで~~。

 おっと! イカンイカン! 今はダンスに集中する時だ!


「さあ、私の加護の力を使うと良いのだよ♪」

「では遠慮なく……」


 新しい音楽が流れ出すと同時に、オレの左手と舞踏神様の右手が握り合い、空いた手を互いの背。正確には肩の後ろ側に回す。

 社交ダンスの基本姿勢であるホールドだ。

 曲調はワルツ。

 緩やかで優しい曲に合わせ、オレたちは優雅に足を運びながら上半身を揺らすように上下させて踊りだした。


「フフフ、どうだい? 初めてのダンスの感想は?」

「加護のおかげで踊り方が理解できてますけど、思ってた以上に心が楽しくなりますね」


 うん、これは本心だ。

 地球にいた時は、正直社交ダンスってのは上流社会の人間が嗜む異質なものという認識があって興味の欠片もなかった。

 だけどこうして自分が踊ってみると、文字通り心が躍るように楽しくなる。

 加護の力で踊れてるからそう思ってるわけでもない。

 音楽に乗せて体を動かし、その動きで色々な表現をする。

 それが凄く心地良くて楽しいのだ。

 う~ん、これはちょっとハマりそうだぞ?


「それは重畳なのだよ。妹から聞いていた通り、キミはなかなか見所のある人間だね」

「妹……? あっ! もしかして……」

「御明察。恋愛神は私の双子の妹なのだよ」


 双子か~ どうりでそっくりなわけだ。


「しかしまた、なんだってこんなところにまで?」

「一言で言えば退屈しのぎ。要は暇つぶしなのだよ」

「ええええ~~ 本当にそんな理由なんですか~?」

「ああ、少なくとも私に関しては本当に他意は無い。妹からキミの話を散々聞かされて興味が湧いたので、時空神様の御神力(おちから)でここに来ただけなのだよ」

「しかし世界神様たちもよくそんな事を許してくれましたね? 普通「下界とは無干渉」って感じのルールとかがあるものなんじゃ?」

「本来はそうあるべきなんだろうが、今回に限っては特異点というキミの存在が大きく作用しているのだよ」

「オレが……ですか?」

「そのことについては詳しくは話せない。しかし今のここ「フォーランド」に限っては、そのルールがかなり緩和されているのだよ」

「なんでまたそんなことに? 沢山の神様からの加護をいただいているとはいえ、オレみたいな小さな人間一人が来ただけで、この世界がどうこうなるとは思えないんですが? まぁ……多少オーバースペック気味なのは感じてますが……」

「さあ? そこまでは私も分からないのだよ。だが我々上神がこのように気軽に下界を訪れる機会は滅多にない。少しくらいこうして退屈しのぎをさせてくれても良いのではないのかな?」

「まぁ元々この世界も五大神様たちが創ったものですし、あの方たちの意向でしたら、オレはなにも文句は言いませんが……」

「我々もこの世界に少しは干渉するかも知れないが、壊すような真似だけは禁じられているから、その辺りだけは安心するのだよ♪」

「物騒なこと言わんで下さい! いやホントお願いしますよ?」

「了解なのだよ♪ ああそうだ。そういえば世界神様から言付けを頼まれていたのだよ」

「世界神様から?」


 その言付けを聞こうと思ったらそこで音楽が終わり、気付くとオレと舞踏神様はフィニッシュを決めていた。

 しかも周りにペアが一組もいないぞ⁈

 いつの間にかダンススペースはオレと舞踏神様の独壇場と化していたみたいだ。

 そしてダンスの終了と同時に、周りから盛大な拍手が飛び交った。

今回から更新ペースを少し変えてみます。

詳しくは活動報告を御覧下さいませ。

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